スタミナ
「シンちゃ〜ん、アスカ〜焼肉食べに行くわよ」
「いゃった〜〜〜焼肉焼肉ぅ〜〜〜!」
焼肉かあ、暑いときにはスタミナつけないとバテちゃうからね。特にこれからの月は気温が高くなっていくから夏バテに注意しないといけないんだよね。
「ミサトさん、お金は大丈夫なんですか?」
「子供は気にしない気にしない〜〜ボーナス出たからたくさん食べていいわよ」
ボーナスかあ、一昨日でてミサトさんは浮かれまくっていたんだよね。
「よ〜し、ガンガン食べるわよ。早く行きましょう」
アスカも久しぶりの外食を喜んでいるぞ。僕も外食は家事の手間が省けるから好きなんだよね。
「準備をしてきなさい、すぐに出発するわよ」
「うんっ!」
アスカは着替える為に部屋へ戻ったぞ、僕も着替えてこなきゃ。
「準備できたわね、行くわよ〜」
「ゴ〜ゴ〜焼肉〜」
アスカ、ハイテンションだなあ。ミサトさんのテンション高くて車飛ばしすぎだよ。
「ミサトさん、どこへ行くんですか?」
焼肉店と言ってもたくさんあるからなあ、ミサトさんのお奨めはどこなんだろう。
「最近郊外に出来た焼肉店よ」
「あそこね、ちょっと値段が高いけど美味しいって評判になっているわね」
「へ〜そうなんだ」
高いお肉は美味しいんだよね、ボーナスが出たなら問題ないや、たくさん食べるぞ。
「結構混んでいるわね〜空いてる場所あるかしら」
ミサトさんの安全運転?で焼肉店に着いた、広い駐車場だけど駐車スペースはほとんど埋まっているよ。
「あ、ミサトあそこが空いているわ」
「オッケ〜〜」
車を止めたら店内へ行くぞ。でも多いから待たなきゃいけないだろうな。
「広〜い」
「凄いね」
駐車場も広かったけど店内も広い、待たずに席に座れたよ。
「さあて何を食べようかな〜」
「ジャンジャン食べなさい」
メニューには多くの種類の肉が載っている、どれも美味しそうだなあ。
「ファミリーセットなんか良いんじゃない?五人分だからこれを頼みましょうか」
アスカと一緒にメニューを見ていたミサトさんの目に留まったセット、確かにボリュームがあって肉の種類もたくさんあるからいいかもしれないなあ。
「いらっしゃい」
「あれリツコさん」
声がしたから顔をあげてみたらリツコさんが居たぞ。
「リツコも来てたの」
「ええ、いつも来てるわ、ここのお店は私がオーナーなの」
「ええっリツコがオーナーなの」
「そうよ」
ここの焼肉店はリツコさんがオーナーなんだ、凄く繁盛しているから儲かっているんだろうなあ。
「でも副業していいの?」
アスカの疑問だ、僕も思うけど副業していいのかな?
「いいわよ、本業に支障がなければ何でもしていいのよ」
「へ〜〜良いんだ。アタシも何か副業しようかな〜」
「アスカの副業はお嫁さんじゃないの〜」
「な、何馬鹿な事言ってんのよ!どうしてシンジのお嫁さんなのよ!」
「あれ〜?シンちゃんって一言も言ってないんだけど」
ミサトさんまたアスカをからかっているよ。お嫁さんが副業って、どういうことかな?僕のお嫁さんが副業って事はアスカが僕のお嫁さんになったら僕が給料を払わないといけないのかな?
「バカミサト!ふんっだ」
「相変わらず元気が良いわね、それはそうと注文は決まったかしら?」
「あ、はい。このファミリーセットをお願いします。それとウーロン茶を三杯」
「それと麦酒!」
「飲酒運転になりますからウーロン茶で我慢してください」
「う〜〜残念」
残念じゃないですよ、車に乗ってきたって自覚があるんですか?
「ファミリーセットね。それとこのお肉が当店のお奨めなんだけどどうかしら?」
リツコさんがお奨めのお肉か、凄く美味しいんだろうなあ、でも高そう。
「えっ使徒?使徒ってあの使徒ですか」
「ええあの使徒よ」
そ、そんな肉使っているんだ。
「使徒なんて食べれませんよ」
「ど、どっから仕入れてきているのよ?」
「うげ〜〜気持ちわるそ〜」
「企業秘密よ」
リツコさんの不気味な微笑み、こ・・・恐すぎる。
「ファ、ファミリーセットだけでいいです」
「そう残念ね」
リツコさんは呟くと向こうへ行ってしまった、使徒って食べれるんだ。
暫くしてお肉が運ばれてきたぞ、さあ食べようかな。いただきま〜〜す。
「どんどん食べて夏バテしないようにスタミナつけなさいよ。特にシンちゃんはね」
「あ、はい」
ミサトさんの笑顔が気になる。『食べにつれて来たんだから、家事お願いねん』って顔しているよ。
「じゃあアタシはシンジにお肉を焼いてあげるわよ」
「あ、うん」
アスカの笑顔が気になる。『お肉を焼いてあげているんだから夏休みの宿題をしてね』って顔しているよ。
「美味しい」
二人の笑顔でちょっと喉の通りが悪かったけど流石高いだけあるよ、お肉が口の中でとろけちゃうよ。
「美味しい〜〜食が進むわ〜」
アスカもご満悦だ。ご飯にお肉、ご飯にお肉の繰り返しだ。
「アスカ、野菜も食べなさいよ」
「食べているわよ、ミサトだってお肉ばかり食べているじゃないの」
「私はいいのよ、日頃の激務で疲れているから力をつけないとね」
「アタシだって日頃の家事で疲れているのよ」
「・・・」
二人とも全然してないよ。ってツッコミたいけど言えない。言ったら多分僕は明日の朝日を見れないだろうな。
「シンジ、このお肉焼けているわよ」
「うん」
アスカがお肉を取ってくれた、何か食べている時は優しいんだよなあ。
「アスカ、口の周りにタレが付いているよ」
「あ、ありがと」
箸が上手に使えないからお肉を口にちゃんと運べないんだよね。タオルで口の周りを拭いてあげてっと。
「ん〜〜仲が良いわね、二人を見ていると食が進むわ」
ミサトさんもガンガン食べているよ、でも麦酒はダメですよ。
「ふ〜〜お腹いっぱいだわ」
「美味しかった〜〜」
「もう動けないよ」
美味しいから食べ過ぎちゃったよ、満足だあ。
「もう思い残す事はないかしら?」
「ええ、満足よ」
「すごく美味しかったです」
「それじゃあ行きましょうか・・・え?」
ん、立ち上がろうとしたミサトさんの動きが止まったぞ、そしてまた座ったしまった。どうしたんだろう。
「ミサト行かないの?」
「どうしたんですか?」
「シンちゃんアスカ、二人に重要な事を話さなければいけないわ」
「何が重要な話よ」
ミサトさんの表情が暗く声のトーンも低い、気分でも悪いのかな。
「実は・・・」
「「実は?」」
「財布忘れたみたい」
「「ええっ!?」
さ、財布を忘れた?
「ど、どうするのよ!アタシお金持ってきてないわよ、シンジは?」
「僕も持ってきてないよ」
「あ〜〜どうするのよ〜〜!」
こんな事になるなら僕もお金持ってくればよかったなあ。
「食い逃げよ、食い逃げしましょう」
「そ、そんな事できるわけないでしょうが!」
「そうですよ、食い逃げは犯罪ですよ」
それにここはリツコさんがオーナー、捕まれば絶対に改造されて終いにはここのテーブルに並ぶかも・・・
「財布を忘れた事をリツコさんに話して明日ネルフで返せば良いんじゃないんですか」
リツコさんならわかってくれるよ。
「流石シンちゃんだわ、明日返すなんて全然思いつかなかったわ。食い逃げが一番ベストだと思ったんだけどね」
思いついてくださいよ、食い逃げは思いつかないで下さい。
「兎に角リツコを呼んで事情を話しましょう」
「聞いていたわ」
「うわっリツコ!いつの間に?」
ビックリした〜リツコさんがいつの間にか立っていたよ。
「財布を忘れたの、しょうがないわね」
「すいませんリツコさん、明日返しますから」
「ええ、シンジ君に頼まれたら断りきれないわね」
「ありがとうございます」
良かった〜これでピンチを免れたぞ。
「でもミサトはダメよ」
「え?私がダメ」
「財布が無いから食い逃げ?私のお店で食い逃げできると思っているのかしら?」
リ、リツコさんの気が高ぶっている。
「な、何のことかしら?食い逃げなんてするわけないじゃない。リツコったら〜〜もう聞き間違えじゃないの〜おばかさん、うふっ」
「問答無用!」
パチンッ!
「あっ、ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
ああっリツコさんが指を鳴らしたらミサトさんが座っていた席の下が開いて落ちていった。
「ミサト〜〜〜」
「ミサトさ〜〜ん」
ミサトさんはどうなるんだろう、もしかして改造?それともメニューに載るの?
「ミ、ミサトはどうなったの?」
「ちょっと躾けるだけだから大丈夫よ。タクシーを呼んであげるから二人は帰って良いわよ」
「あ、はい・・・」
リツコさんの不気味な微笑み、多分ミサトさんはもう帰ってこない気がするけど・・・恐ろしいよリツコさん、ウッカリ変な事言えないよなあ。
焼肉を食べに出かけたミサトさん達、焼肉店はリツコさんがオーナー、副業が儲かっています(笑)
食べまくる三人、食べ過ぎて満足ですね。でも最後にピンチが(^^;)
食い逃げを提案するミサトさんでしたが、リツコさんには通用しませんね。ミサトさんは奈落の底へ落されてしまいました。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION スタミナ