「ふあああ〜」

 今日は日曜日だから朝は楽でいいわ。

「ふんふんふ〜〜ん」

 アタシは碇アスカ、二十五歳。旦那様は当然シンジよ、そして可愛い子供達はマナとレイ。幸せな日々だわ。

「zzz」

 ベッドではまだシンジが寝ているわ、毎日のお勤めで疲れているのね。アタシは静かに着替えを済ませると台所に向かったわ。

「きゃっ、何?」

「zzz」

 台所に着くとテーブルの上に、パジャマ姿のレイが寝ていたわ、びっくりするわね。

「レイ、起きなさい」

「う、う〜〜ん。お腹いっぱい」

「いっぱいじゃないでしょ、こんなところで寝ていたら危ないわよ」

 寝返り打って落ちたりしたら怪我ではすまないわ。

「危ないの?」

「そうよ、寝るならベッドで寝なさい」

「うん、もう起きる」

「あら、まだ早いわよ。もう少し寝たらどうなの」

「お手伝いするの」











FAMILY

母の日








 トントントントン

 包丁の音がリズミカルに台所に響いているわ、ふふアタシも上手になったわね。

「お母さん、お皿はこれでいい?」

「ええ、いいわよ」

 レイが小さい手でお皿を並べているわ、ふふ頑張っているわね。

「ところでレイはどうしてテーブルで寝ていたの?」

 まさか夢遊病じゃないでしょうね。

「わからないわ、私三人目だから」

「・・・」

 ちょっとボケるには早すぎるわよ。

「テーブルで寝てみたかったの」

「そ、そうなの」

「でも身体が痛かった」

「そうよね・・・」

 う〜〜ん、相変わらずどこかぬけているわね、シンジにそっくりだわ。

「マナお姉ちゃんはそこに寝ているわ」

「えっ?」

 レイはテーブルの下を指さしたわ、まさか・・・

「zzz」

「マ、マナッ」

 テーブルの下を覗いてみたらマナが寝ていたわ、気づかなかった。

「ふあああ〜、あっお母さんオハヨ〜〜」

「おはよ〜じゃないでしょ、どうしてそんなところで寝ているのよ」

「え〜と、ここで寝たい気分だったの」

「・・・」

 マナといいレイといい、二人そろってどうしてこうあるのかしら。将来がちょっと心配だわ。

「お母さん、手伝うことない?」

 おっ手伝ってくれるのね。

「じゃあ、お父さんを起こしてきてくれるかしら」

「は〜〜い」

 そろそろ起きる頃だわ。

「お母さん、次は何をすればいい?」

「ん〜〜もういいわよ。座ってなさい」

「うん」

 パジャマ姿だけど日曜だからいいわね。




「おはよう」

 シンジが起きてきたわ、髪の毛がちょっとはねているわね。

「おはよう、ご飯できたわよ」

「うん」

「お父さんおはよう」

「おはよう、早起きだね」

 どこで寝ていたってのは言わない方がいいわね。きっと心配するわ。

「さあいだだきましょう」

 ちょっと遅い日曜日の朝食。

「「「「いただきま〜す」」」」

 簡単な朝食だけど味には自信があるわよ。













 朝食が終わったら後片付け、パッパ〜と終わらしてゆっくりしましょう。

「「お母さん、お皿は私達が洗うからテレビでも見てて」」

「あらあらどういう風の吹き回しかしら」

 珍しいわね、自分達だけで洗うなんて。

「別になにもないよ、ゆっくりしていて」

 マナとレイに背中を押されて台所から出されたわ。それじゃあお言葉に甘えてテレビを見ようかな。





「おや、もう片付けは終わったの」

 リビングではシンジが新聞を読んでいたわ。

「マナとレイがやってくれるって」

「へえ〜偉いなあ」

「今日に限って進んでやっているのよ。何かねだられるんじゃないかしら」

 欲しいものがある時は必ずお手伝いを進んでやるのよね。

「そうかな〜アスカがいつも大変だから感謝しているんじゃないかな」

「そうかしら?おもちゃが欲しいんじゃないの」

 あとで広告を見せられて駄々をこねられたらどうしようかしら。

「そんなことないよ、マナもレイも良い子だからね」

「そうよね、アタシ達の娘なんですものね」

 シンジとアタシの愛の結晶、マナとレイ。元気に育ってほしいわ。

「「お母さん終わったよ」」

「ありがとう、偉いわね」

 マナとレイが報告しにやってきたわ、あら?何かモジモジしているわ。

「「お母さん、毎日お疲れ様!」」

 手に持っていたのはカーネーションと画用紙だわ。あっ今日は母の日だったわね。

「これレイとお金を出し合って買ったの」

 一本の赤いカーネーション、嬉しいことしてくれるじゃない。

「これマナお姉ちゃんとこらぼれ〜しょんしたの」

 画用紙にはアタシの絵が描かれていたわ。『おかあさんありがとう』って書かれている。グッと心にくるわね。

「ありがとう。マナ、レイ」

 アタシは二人を抱きしめて愛情と感謝をあらわしたわ。流石にアタシ達の娘ね、優しいわ。

「ね、感謝していただろう」

 シンジが笑っているわ、な〜んだ知っていたのね。

「ええ最高だわ」

「これは僕から、毎日ありがとう」

 シンジはソファーの裏からラッピングされた箱をアタシにくれたわ。

「あら何かしら?」

 丁寧にラッピングをはがして箱を開けたわ。

「素敵〜」

 手さげバックだわ。デザインが可愛いわね。

「気に入ってくれた?」

 シンジがくれるものが気に入らないわけがないじゃない。

「ええ、ありがとう」

「あ〜〜お母さんいいな〜〜」

「私も欲しい」

「ふふ〜〜ん、いいでしょう〜〜」

 娘達にも自慢したくなっちゃうわね。

「お父さん、マナも欲しい〜」

「私はお父さんが欲しい〜〜」

「こら、今日は母の日なのよ。それにレイ、お父さんはお母さんのものなのよ」

 油断も隙もないわね。こんなに素敵なバックを貰ったからには父の日には、これより素敵な贈り物をしないといけないわ。


 毎日家事が大変な主婦アスカちゃん。そんなアスカちゃんに感謝をこめて贈り物をするシンジ君達、素敵な家族です。

 でもマナちゃんとレイちゃん、台所で寝ていると風邪をひきます(^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


FAMILY 母の日