スーパーの一角に設けられた特別な売り場があったわ。

 女性陣が群がっているわね。

 手には可愛らしい箱を持っているわね、何かしら?

 今日は確か二月十四日・・・そうバレンタインデーね。

 どいつもこいつもお菓子会社の策略に乗せられているわね〜

「おかあさ〜ん、チョコチョコ〜〜」

「お父さんに贈りたいの」

「そうね、お父さんに贈りましょうね」

 マナとレイに手を引っ張られたわ、アタシもお菓子会社の策略に乗せられているのよね。













FAMILY

バレンタイン

















「何がいいかな〜これなんか美味しそう〜」

「マナお姉ちゃん、自分で食べるの選んじゃダメ、ちゃんとお父さんに贈るのを選ぶの」

「うん、わかっているよ〜でも見ているだけで美味しそうなんだもん」

 ふふ、二人とも選びきれないほどのチョコの種類に戸惑っているわね。アタシはどれをシンジに贈ろうかしら。

 高級チョコなんてどうかしら?量は少ないけど一流ホテルで売ってあるのなんて良いかもしれないわね、ちょっと値段が高いけど・・・

「う〜〜ん、どうしようかな?」

「マナ、決まったの?レイは?」

「私はこれにする」

 レイは可愛いお人形の形をしたチョコね。

「ええと〜これにき〜〜めた!」

 マナは色んな種類のチョコの詰め合わせね。

「お母さんは決まったの?」

 そうね、アタシは・・・やっぱりさっきの高級チョコかな。これにきめ〜た。

「お母さん、どうして同じチョコを二つ買うの?」

「えっ何のことかしら?」

「お父さんに二個あげるの?」

 レイったら見なくていいところを見るんだから。

「本当だ〜お母さんどうして二個買うの?」

「そ、それはね・・・」

 ど、どうやって返事をしようかしら。

「マナお姉ちゃん、それはね。一個はお父さんに贈って、一個はお母さんが自分で食べる用なの」

 ギクッ!

「おかあさん、ずる〜〜い。マナにもちょうだ〜い」

「私も食べたい」

 レイは変なところで鋭いから困ったわね。

「わかったわ、お父さんには内緒よ。明日のオヤツに食べましょうね」

「「うん!!」」

 折角一人で味わおうと思っていたのに、六個入りだから、一人二個か・・・











 夕食を食べて、一家だんらんの時間・・・シンジにチョコをあげましょう。

「お父さん」

「ん?どうしたんだいマナ」

「これ〜お父さんにあげる」

「お父さんにかい?」

「うん」

「ありがとうマナ」

「えへへ」

 うふふ、シンジに頭を撫でられて嬉しそうだわ。

「お父さん」

「ん?どうしたんだいレイ」

「これ、お父さんに」

「お父さんにかい?」

「うん、食べさせてあげる。あ〜〜ん」

「食べさせてくれるのかい、あ〜〜ん」

 あ〜〜レイ、その役目はアタシよ。

「レイずる〜〜い、お父さんマナのもあ〜〜ん」

「おお、マナも食べさせてくれるのかい、あ〜〜〜ん」

 マナも、するんじゃないのよ!それはアタシの役目よ。

「美味しいでしょう」

「うん、美味しいね。ありがとうマナ、レイ」

 も〜〜シンジも鼻の下伸ばしちゃって、アタシも贈るわよ。

「これはアタシからよ」

「アスカ、ありがとう」

 うふふ、アタシに向けられた笑顔が一番だわ、さっすがアタシの夫だわ。

「お母さんどうぞ」

「ん?何が」

「うん、お母さんどうぞ〜〜」

 マナまで、なにがどうぞなの?

「「お父さんにあ〜〜〜〜ん」」

「バ、バカ!何言ってんのよ」

 そんな事言われると頬が真っ赤になるじゃないのよ。

「そうだね、アスカあ〜〜ん」

「バ、バカどうしてあ〜〜んしなくちゃいけないのよ」

 子供の前で恥ずかしい、でも・・・

「レイ、部屋に戻ろう」

「うん」

「それじゃあ、バイバ〜〜イ」

「バイバイ」

 ご、五歳児にくせに気が利くじゃない。ってませているわね。



「はは、二人とも気が利くね」

「ませているだけよ」

「アスカによく似ているよ」

「ふふ、自分でもわかるわよ。ほらあ〜〜んして」

「うんあ〜〜ん」

「美味しい?」

「うん、美味しいよ」

「うふふ、良かった」

 ちょっと照れるわね。でも二人が気を利かせてくれたお陰でシンジにあ〜〜んすることができたわ。


 バレンタインデー、アスカちゃん達はシンジ君へ贈るチョコ選び。

 シンジ君はチョコを食べさせてもらって幸せです(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


FAMILY バレンタイン