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おいしい〜
バチ〜〜〜ン!!
シンジの部屋、乾いた音が響く。
「こら!シンジ起きろ〜〜」
「痛いな〜何するんだよ〜」
右頬を叩かれたシンジは目を覚ました。幼馴染の顔をブス〜っと見つめる。
「何が何よ!今何時だと思っているのよ?もうお昼よ!お昼!」
ペンペン型の目覚まし時計をグイっとシンジの顔面につきつける。
「んわっ、そんなに近づけたら見えないよ」
「あらそう?じゃあこれで見えるわね」
アスカは部屋の隅っこに時計を持っていく。
「・・・・アスカ、からかっているね?」
「アッタリ〜!!」
「はあ〜〜・・・・」
にこやかなアスカ機嫌が良さそうである。一方ため息をつくシンジ、そしてまた布団をかぶる。
「今日は休みじゃないか、寝させてよ」
「ぬあに言ってんのよ!それだけ寝れば十分でしょうが」
ガバッ!
力任せに布団を剥ぎ取る。
「!!」
そこでアスカが見たものは・・・・
「きゃ・・・・きゃあ〜〜〜シンジのヘンタイ!!!!」
バッチイイイイイイイインン!!!
アスカの強烈な叫び声と強烈なビンタが左頬に炸裂、部屋を揺るがし棚の本が床に落ちる。吹っ飛ぶシンジは『朝だからしょうがないじゃないか・・・・・・』と思い口に出そうとする前に沈黙。ちなみにもう昼だ。
一方、台所にいるゲンドウ、ユイは
「アスカちゃん今日も良い美声とビンタだわ」
「ああ、問題無い」
とノホホンと夫婦の会話を交わしていた。
そこへ今シンジに制裁?を食らわしたアスカがやってくる。
「まったく!」
「あらあらどうかしたの?不満そうね、おばさんは今日のビンタはこれまでで三位以内に入るビンタと思うわよ。ねっアナタ」
「ああ、スナップが効いているな。流石キョウコ君直伝だ」
「そ、そんなんじゃありません〜〜!!」
二人のからかいかに思える言葉に赤くなる。
「それでシンジは起きたの?」
「起きましたけど・・・・・・」
アスカは先ほどのシンジの姿を思い出し、指をモジモジさせ俯いた。
「そうね〜〜あの大きさじゃ後五分ね」
ユイはビンタの音からシンジがいつ起きてくるのか計算した。
「ふっ流石だ」
「はあ〜〜」
そんなにこやかな?夫婦にアスカはため息をつく。
そして五分後・・・・・・
「イタタタタ、父さん母さんおはよう」
キッチリとシンジがやって来た。両頬に紅葉をつけて。
「ああ」
「もうお昼よ。アスカちゃんをご覧なさい。休みでも早起きするのよ」
「そんな事ないですよ〜、ただシンジがものすごく遅いだけですよ」
にこやかに話すユイとアスカ、シンジは顔を洗いに洗面台へ。
ジャブジャブ!
顔を冷たい水で洗う、叩かれた頬が痛い。鏡で見るとまだ腫れていた。
「痛いなあ。まったく、今日は一段と気合が入ったスナップだったな」
いつも叩かれているので痛さでわかる。
台所に戻ると昼食が用意されていた。と言ってもシンジに残されていた朝食である。ご飯と温めなおされた味噌汁、焼き魚、手を合わせると食べ始める。
「はいアスカちゃん、熱いから気をつけてね。はいアナタも」
「はい、いただきま〜〜す」
「うむ、いただくか」
アスカとゲンドウの前に出されたのは漆塗りのお椀、中身はおしるこであった。
「おいしい〜」
満面の笑みを浮かべ食べる、甘いものには目が無い。
「沢山食べてね〜約束だから」
「は〜い」
(約束?)
シンジは?マークを浮かべた。それは少し前にさかのぼる。
「おばさま、こんちには!」
「こんにちは、アスカちゃん」
アスカは何も用は無いのだが、暇なので家にやって来た。何時もの事である。
「あ〜良い匂い〜、何作っているんですか?」
「ふふ、おしるこよ。食べる〜?」
アスカは『おしるこ』に目を輝かせた。
「はい!いただきます」
「ふふ、じゃあその前に一働きしてもらおうかしら」
「え?」
「それがね。シンジったら休みだからって起きてこないのよ〜、起こしたらたっぷりサービスしちゃうわよ」
アスカは掛け時計を見た。針は十二時を過ぎている。そしてテーブルにはシンジだけの朝食。
「わかりました!シンジを起こしてきます」
ドンと胸を叩き、シンジの部屋に向かう。ユイはその姿を見て『今日の起こし方は豪快になるわね』と思っていた。
「おばさま、おかわり!」
「はいはい」
ユイは笑顔で空になったお椀を受け取りタップリとつぎ渡す。アスカは渡されると目を輝かせ食べ始める。
「ふむ、アスカ君の食べっぷりは気持ちが良いな」
「ええ」
「ママよりおいしいから、ついつい食べちゃうんです。作り方にコツがあるんですか?教えてください」
教える事は簡単である。しかしユイは頬に手を当てるとため息をついた。
「教えたいのはやまやまなんだけど、作り方は門外不出の一子相伝なのよ」
「ぶっ!」
ユイの言葉にシンジは飲んでいた味噌汁を飛ばしそうになった。
(門外不出に一子相伝?何を言っているんだ母さんは)
「え〜〜そうなんですか?残念〜」
肩を落とすアスカ、だが食べるのをやめない。
「ああ、すまんな。だが教えられる方法が一つある」
「えっ?本当ですか?」
テーブルでいつものポーズ、そして眼鏡をクイッとあげてニヤリと笑う。アスカはそれに気づかずに目を輝かせた。
「ああ、なあユイ」
「ええ、そうよ」
ゲンドウとユイ、夫婦のアイコンタクト。
「アスカちゃんが私達の娘になったら教えちゃうわよ〜」
「ぶっ!」
ユイの言葉にシンジは飲んでいたお茶を飛ばしそうになった。
(アスカを娘に〜?養子を取るのか〜?何を言っているんだ母さんは)
「え〜〜娘ですか?でもパパとママが・・・」
「大丈夫よ。親戚になるんだから」
「「親戚〜?」」
ユニゾン
「ええ、結婚すれば問題なしよ」
「ぶっ!」
ユイの言葉にシンジは食べていたご飯を飛ばしそうになった。
(な、何言っているんだよ〜母さんは〜)
「な、何を言うんですかおばさまったら、シンジも黙ってないで何か言いなさいよ〜」
バチ〜〜ン!
ゴンッ!
アスカは頬を赤くしながら、シンジの背中を叩いた。その拍子でシンジはテーブルに頭をぶつける。
「痛・・・・い・・・・・・・・・・」
そのまま沈黙。
「おばさま冗談がすぎますよ〜」
「ふふ、ごめんなさいね。アスカちゃんがあまりにも可愛いからからかいたくなっちゃったのよ」
「もう〜意地悪〜〜、シンジ!ご飯食べている時に何寝てるのよ」
寝ているのではない、気絶している。
「シンジは照れているのよ。相変わらず表現が下手ねえ、ねっアナタ」
「ああ、呆れるな。おかわり頂こうか」
「はいはい、アスカちゃんは?」
「はい!いただきます」
こうしてシンジが寝てる(気絶)している間に、おしるこは無くなり食べられなかったのである。
「あ〜〜あ、美味しかった。シンジ、いくら休みとはいえ食べてる時に寝るのは行儀悪いわよ」
「・・・・・・・・・・・」
満足してお腹をさするアスカ、シンジは気絶していたので満足に食べられず空腹に耐えていたのであった。
初めましてって、ずっと前に一回投稿しましたjun16です<_>
ストーリー・・・・・・・・・べたべただな(^^;)
「学園」版をベースに日常の風景を描きました。
夫婦にからかわれる、シンジ君とアスカちゃんですが、シンジ君がへっぽこになりましたね。
それでは〜〜(^^)
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