■□ KONI=K's writings □■
01 KYMCO Sooner 50SS ( 50cc scooter )
■原付乗り替えを検討
コニケーの住む長崎において最も便利な移動手段、それは原付スクーターだ。長崎と言えば、坂と夜景の街。こう言うと聞こえはいいが、そこで暮らす者にとってこの地形は不便以外の何物でもない。 nothing but 不便!!誰か巨大なローラーで長崎を平らにしてくれ!! とにかく坂だらけ。というよりも、「山の中を切り開いて住んでいる場所がほとんど」という表現が正しい気もする。右も左も山。というか今立ってるココもよく考えてみりゃ元は山の中、てなことが多い。そんなわけで、自転車で移動することは多大の苦労を伴う。自転車に乗ってるのなんて、数少ない平地に住んでいる人がちょっと近所に行くまでの足とする以外は 元気の有り余っている子どもか、自転車大国からやってきた中国人の皆様くらいのものである。実際、長崎で育った人の中には自転車に乗れないという人も多い。自転車に乗るとかえって疲れるので、わざわざ練習してまで乗る必要がなかったのだろう。
だったら車で移動すれば良い、と思うかもしれない。しかし長崎の道はそんなに甘かぁない。とにかく狭い道と階段が多いこと。特に長崎市内中心部。 車ではまず入れないのだ。他県ではあまりないことだと思うが、車で横付けできない家もかなり多い。家を出て狭い道と階段を上り下りしてやっと駐車場、という家が非常に多いのである。そんなところにはたいてい、車の通れない細い道にスクーターが置かれていたりする。目的地に最も近いところまでたどり着ける乗り物、それが二輪車なのだ。そして、なるだけ小型であるほうが良い。ちなみにウチは車で横付けできるところではあるけれども、長崎市内をウロチョロするにはこうした地形のことを考慮する必要がある。
さて、導入が長すぎたが、そんなわけで私コニケーも18歳で普通免許を取って以来原付スクーターに乗っている。そのスクーターとは、マフラーつまりやすいが元気なエンジンで有名な HONDA スーパーDio AF27 であった。これには最近までかなりお世話になっていた。距離計が二回転しても、セルモーターが全く反応しなくなってもなお頑張ってそれなりのスピードを出してくれていた。が、しかし7年以上酷使したので外装とかさすがにもうボロボロ。まぁでも今んとこまだ走るからいいかなぁと思っていたそんなある日、妹がバイトに行く時に時々乗っていたことが判明。いくら家族とはいえこのバイクに乗せるのはあんまりだ、と思えたのでついに買い替えを検討することとなった。
■やっぱホンダじゃろ、と思ったら
とりあえずこれまで乗っていたのが Dio だし、やっぱりホンダが良さそうな気がするし、何よりホンダ車には特有の「ブレーキロック」という機構がありこれがまたムチャ便利なので、各社の各車をいろいろ調べてはみたものの(つまらんね)、実質もう Dio、というかホンダ以外は眼中になかった。がしかし、調べていく中で一つ大きな問題点が浮上。それは・・・
4ストロークエンジンの原付しかなくなっているんですな、ホンダ。
もともとコニケーはバイクに興味があるような人間ではないので、何のことじゃ?と最初は思ったがどうやら低騒音、低公害のためにクリーンな4サイクルエンジンというタイプに各社移行してきているとのこと。音が静かで排気がきれいならバッチリやんと思っていたら、どうも4サイクルエンジンってパワーないらしいですな。それを知った時、以前友人の買ったばかりの
Today に乗らせてもらった時のことを思い出した。長崎にはよくあるタイプの普通の坂道もとい山道を走ったとき、フルスロットルでも30キロ以上針が上がらなかった。衝撃だった。坂道はたまにしかない他県ならいいかもしれないが、デフォルトで山の中な長崎においてこれは致命的である。どうやら、エンジンの特性上今の4サイクル
Dio もそれと大差ない雰囲気。むむむ、 これはまずい。
調べてみたところ、国内の大手メーカーで現行モデルの2スト原付を売ってるのはヤマハだけのようだった。でもヤマハ、高めのモデルでない限り、ハンドルまわりやメーター付近の雰囲気が非常にちゃちいのだ。どうしても好きになれない。せめてこれまで乗ってた
Dio とさほど遜色ないくらいの質感が欲しいところである。仕方が無いから他に2ストでよく走るバイクがないかとネットで探していく中で、安くて爆速という噂の原付の名を目にした。「キムコ」という、冷蔵庫に入ってそうな名前のメーカーが作ってる「スーナー」というやつ。どうも台湾のメーカーらしい。そういえば以前どこかでマフラーに中国語の注意書きが刻印されている変わった形の原付を見たっけ、と思い出した。あんな感じなのだろうか。中国語好きのコニケーとしてはちょっと興味をそそられる。台湾製って大丈夫なの?って気もしたが、もともとホンダにゆかりのあるメーカーらしいし、
Today や Dio だって中華圏で作ってるんだから、そう変わらんかも?と思い、Sooner を購入することに決定。見た目が少しかっこいい(?)Sooner
50Z と、爆速なのに Today よりも安い Sooner 50SS のどちらにするか迷ったものの結局安いほうの SS に決定。台湾製なんだし、どうせならとことん安さで勝負である。よく考えると、デザイン的にもこっちのほうがまだマシな気がしてきたし。てなわけで、長崎市内で唯一キムコの代理店をしているモーターサイクルマワタリにて
Sooner をゲット。ある晴れた朝のことでした。
■風圧を感じてメーター見てビックリ
さっそくバイク屋から国道を走って家に帰る途中、あまり感じたことのない風圧を感じてメーターに目を落としてビックリ。スロットルを軽く握っていただけなのに、時速60キロを超えているではなかですか。もちろん以前の
Dio でも平坦な道なら50キロを超えるくらいは出てしまうこともあった。が、それはもちろんフルスロットルで Dio くんも結構「がんばってる」という雰囲気でのことだったのだ。ところが今度の
Sooner、普通に走ってるつもりだったのに軽く60キロを超えてしまったのである。こちらは全くそういう気構えがなかったため少し身を前傾させることもなく、風圧を感じてしまったというわけなのだ。むむ〜、そういえばスポーツタイプでもなんでもない普通の原付なのにメーターも90キロまであるし、少々デンジャラスだけど頼もしい奴!これならきつい坂道もなんのそのに違いない!そして実際、我が家に至るまでのデカい坂道を申し分のない走りで乗り切ってくれた。決して緩やかな坂ではないから55キロくらいしかでなかったけどね。ともかくこれぞ長崎で走りまわるワタクシにピッタリの理想的原チャリ!これであなたもわたしも夢の原チャリライフが満喫できます!!・・・となるはずだった。
■写真で見る Sooner
詳しいことはさておき、Sooner
50SS の各部を写真で紹介してみたいと思う。ちなみにこれらの写真は全て au のケータイ W31S の内蔵カメラで撮影したもので、画質等の悪さについては勘弁していただきたい。面倒くさいのでリサイズもしませんぞ。少々かさばった感じがいたしますがお許しくださいませ。
Sooner を見てまず目がいくのは、ボディ後部の立体ロゴだと思う。10万円を切る値段なのに、ちょっと豪華な仕様だ。そもそもボディやメーターまわりなど全体の質感も、国内メーカーの安いほうの原付よりこっちのほうが高品位な気がするのはワタクシだけであろうか。
しかも、後ろのサスが赤い!!これは何気にかっこよか!!しかし全体的に言って日本人的にはちょっと奇抜なデザインであると言わざるを得ないかもしれない。まぁ人と違うのが好きならオッケーかも。以下、レイアウト的に面倒なので説明文はもう代替テキストで済ますことにしまっす。画面の上にマウスポインタを置くと説明が表示されるのでそれを参照されたし。
まぁ見た目の奇抜さに慣れてしまえばあとは爆速だから超快適だ!と思っていたら、使っていくうちに意外な落とし穴が発覚することになった。・・・うーん、後悔はしないまでも、微妙に失敗したかも?!
■爆速だから坂道に強いはずが・・・実は坂道に弱かった Sooner
これは決して坂道を上らないという意味ではない。少なくとも国産の原付に比べると、パワーの面では文句なしで急な坂道もノープロブレムであり没問題でありかつトレビア〜ンであると言える。が、しかし。道があればそれは坂道であるのが普通であり、走る時だけでなく一時停車するのも駐車するのも坂道の途中であることが多いここ長崎のような場所では決定的に不利にもなる要素があった。ずばり言いまして、それは以下の三点なのであった。
(1) サイドスタンドの立ちが非常に浅い。
(2) おまけにメインスタンドまで結構浅い。
(3) さらに、上り坂に停めてアイドリングしてるとそのうちエンジンが止まっちゃうんすよこれが。
まず (1) のサイドスタンドについて言えば、これは坂の街で頻繁に乗り降りを繰り返すにはかなり致命的とも言える弱点となる。傾斜のないところではサイドスタンドでもしっかり立つものの、少しでも傾斜がつくと途端に不安定になる。緩やかな上り坂なら何とか一時的に停められなくもないが、下りとなるとサイドスタンドで停めることは完全に無理。この点以前の Dio であれば、まずオプションでつけたサイドスタンド自体ががっしりとしていてなおかつしっかりと角度のついたものだったため、少々の下り坂でも問題なく停まってくれた。逆に上りがダメだったのだが、その点はホンダ特有の前輪ブレーキロックを併用することで問題なくサイドスタンドを使えていたのである。しかし残念ながら、ホンダ車でない以上 Sooner にはブレーキロックがついていないのだ。このため、サイドスタンドが非常に不安定でこれまでにすでに何度も車体を左に倒してしまった。では坂道、特に下りではメインスタンドを使ってはどうか。一度そうしてみたことがある。しかしなんと、メインスタンドの立ち方が本当に浅いため、下りの角度がある程度になるとスタンドがもちこたえず前のめりになって倒れてしまうのである。これで一度、立ったものと思って離れてしまい、戻ってみると思いっきり倒れていて右ハンドル付近のパネルが割れてしまっていたことがある。そんなこんなで、買ってから1ヶ月半ほどですでにあちこち無残な姿になってしまっていた。さらに (3) の点だが、上り坂の途中に停めてエンジンをかけたまま少し離れていると、ほどなくしてアイドリングの音が弱弱しくなっていき、エンジンが止まってしまう。そもそも上り坂に駐車しているとエンジンがすぐにはかからないという傾向もあり、これにはガソリンをエンジンに送る部分が上りの傾斜に弱いということが考えられる。変わった位置に給油口があることも関係しているのかもしれない。この給油口自体は、給油の際にキーを抜く必要がないという点で便利ではあるが、鍵穴付近のポケットが小さくなってしまうという弱点も生み出している。まぁこれは仕方がないしそれほど困ってはいないが、エンジンが止まってしまうのはいただけない。しかも、一度止まるとそのままではすぐにエンジンがかからず、車体を水平にしたり下に傾けたりして少し待たなければならないという厄介さがある。とはいえもちろん、上り坂を走っている最中にいきなりエンジンが止まったりすることはないので安心してほしい。走っている最中は、なぜか問題なくガソリンが流れるようだ。ともかく、これらを考えると、走りの面では非常に有利でも、坂道環境の中で常用するには留意しておかなければならない弱点が存在する、ということがわかった。せめてブレーキロックが装備されていれば、ある程度満足できるレベルにまで到達するところだけれども・・・ホンダ車にしか装備されていないところを見ると、特許か何かの関係なのかもしれない。もちろん Sooner には Sooner の良さがあるわけだが、スタンドの質や様々な環境への適応という点で、ホンダ車は装備うんぬんだけでなく目立たないところにまで実は配慮が払われているのかもしれないと感じたのだった。ヤマハやスズキは常用したことがないのでよくわからないが、ブレーキロックがないのなら特別大きな魅力は感じない。
■その他の弱点
結局のところKONI=Kにとってはブレーキロックがないのが最大の弱点だが、しかしそれは最初からわかっていたことだし、それ以外の弱点はまぁ別に構わないかな、という程度のものでしかない。が、参考になるようにいくつか思いつく点を挙げてみたいと思う。まずは、結構地上高が低いのか、曲がり角等でちょっと傾けただけでメインスタンドを地面で擦ってしまうことがある。しかしこれはちょっと気持ち悪いくらいで、おそらくスタンドが壊れてしまうほどの影響はないと思われるのでコニケー的には余裕で許せる。さらに、後輪のタイヤが普通の日本の原付と違うサイズであることが気になるかもしれない。が、代理店の話では日本の普通のタイヤ(ちなみに前輪はこのサイズだ)を換わりにつけても、レースのようなシビアな使い方でもしない限りそう問題はないということだった。ということは、後輪がいきなりパンクしても近くのバイク屋に持ち込めば交換は可能ということになる。まぁ、これも大きな問題ではないだろう。
■総合的に見て Sooner はオススメか
自分の場合不満も結構大きいので最後には結局かなり真面目路線で厳しく書いてしまったが、総合的に見て Sooner は十分オススメできる。というのも、普通は平地ばかりのところで使う人のほうが多いわけだし、長崎のような場所で乗るにしても、頻繁に乗り降りする人でなければ問題はさほど大きくない。間違いなく安定する停め方をするように心がければ済むだけのことだし、後はとにかく軽快に走ってくれるほうが気分もいいというものだ。しかも、なんと言っても激安。この値段だけでも十分に価値がある。そして、人があまり乗っていないという点も良い。街中を走っていると 50cc のスクーターと言えばだいたい Dio か JOG だったりするが、Sooner はそうそう見かけない。長崎なんて、田舎なだけにまだキムコがそれほど知られていないのかこれまでに Sooner を目にしたことは二度しかない。人と違うものを選んでいるという嬉しさも味わえる。というわけで、あなたのバイクを置く場所が上り坂でない限りは、激安で爆速のキムコ Sooner。コニケー的一押しであります。
2006/03/17 KONI=K