ずっと、わたしの






 しばらく乱馬の胸に耳を押し当ててると、ふいに・・・大きな手が髪を触って・・・。


乱馬!!
お、起きた?!
どうしよう、離れなきゃ!!

 ・・・だけど、乱馬はわたしを離そうとしてない。
もう片方の手を背中に回してる。

寝ぼけてるのかもしれない・・・かな?


「・・・あかね。」

 静かに名を呼ばれた。

やっぱり起きてた!


「ご、ごめん、あの。」

 慌てて顔を離そうとするけど、乱馬がわたしの髪を撫でているから・・・その手から離れられない。

「なんで・・・? おめー、おれのこと、怒ってたんじゃなかったのかよ」
「え!?」

 驚いて顔を見上げた。

 その瞳の中にある優しさと哀しみに・・・乱馬の顔がぼやけていく。
背中の手の力が強くなるのがわかる。

「泣くなよっ! お、おれ、おめー傷つけたよな・・・ごめん。」

違う、わたしが悪いのに・・・どうして乱馬が謝るの?
そんなことされると余計に胸が痛んだ。

「わたしの・・・こと、怒ってないの?」
「はぁ? なんで?」
「だって、すっごく・・・嫌なやきもち、わたし・・・。」
「・・・んなことかよ。」

 ・・・んなこと に、わたしは妬いてしまったんだけど、
乱馬にとってはささいなことなんだろうな。

そう思ったら、やっぱりわかってもらうのは無理かなって、寂しい気持ちになった。


「手、つないでくれなかったろ。」
「え?」

何言い出すのかと思ったら。

「・・・だから、おれのこと、怒ってて・・・もう、嫌いになって、
 手、二度とつなげないかなって・・・おれのこと、もうだめかなって。」
「ち、違うよ、わたし・・・。」

 わたしは乱馬に、わたし以外に触れてほしくないって、そう伝えた。

それから、わたしは思ってること、わたしのこころの中、全部吐出した。

このままじゃ嫌だったから。
乱馬、わたしのこと誤解してる。
わたしは乱馬が思っているような女じゃない。
すごく身勝手だって、すごくわがままだって、
本当のわたし、知ってほしいから。

それで嫌われてしまうなら、悲しいけど仕方ないもん。


 すべて話して、ひと息。全部言えたら、すっきりした。


きっと、重たいんだろうな、わたしの想い。
だけど、どうしようもない。
わたしには乱馬だけだから。他が見えないの。


 乱馬はきょとん・・・としてる。

そりゃそうよね、あきれるよね・・・わたしの独占欲って尋常じゃ・・・。

 突然に、がばっと、乱馬の両腕が勢いよく飛び出して、わたしの身体を包み込んだ。

「あー、もう! ぜったいに、おれのっ!」

え・・・な、何?!

 混乱する。

わたし、乱馬の腕の中にいる、でも、どうして?

あれ?
乱馬、あきれてない? 怒ってない? 幻滅してないの?

「いいなっ!!おれから、目、そらすなよ!
 一生その瞳でおれを見ろ!おれのことだけ見ろ!!」

ええ・・えぇぇぇ!!

それって・・・いいの?
乱馬のこと想ってていいの?
好きでいていいの?
こんな愛し方でいいの?


すごく嬉しくて・・・だから乱馬にくちづけた。

わたしのこころ、すんなり受け入れてくれた乱馬に、お礼したくて。


 口を離すと、顔、真っ赤にした乱馬に強く抱きしめられて、
わたしも乱馬の胸に顔を押し当てて腕を回した。


「わたしで、いいの?」

「あかねが、いいんだ。」


よかった。

ここはこれからもずっと、わたしだけの。

わたしだけのもの。






                             =おしまい=


呟 言
どうしても、どうしても、『わたしの』をあのままで終わらせたくなくって、
ついつい書いてしまいました(汗)
その時はそれでいいと思っていても、私の心は毎日変わっていくので、
というか変わっていくものなので、このような続きが出来てみたりです。
やっぱり、私は乱馬くんとあかねちゃんがくっつくものしか駄目みたいです。
ちょっとぷらとにっくとはかけ離れてきておるような気がしますが・・・
夏だからちょっとだけこういうのもいいかと。刺激的ってほどでもないですが・・・

さらにいうなら、私をよく知る人ならおわかりかとは思いますが・・・
秘密の続きあります。こっちは刺激的かな(笑)        ひょう

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