誕生日 「あかね、誕生日おめでとう。」 「ありがとう。」 「これ、プレゼント。」 「嬉しい!」 今日はあかねの誕生日。 男女年齢を問わず、人気のあるあかねは、 クラスの女友達はもちろん、男子や先輩たちからも、お祝いのプレゼントを貰う。 その様子を遠巻きに見ている乱馬。 心中は穏やかではない。が、素直にその気持ちを表せるはずもなく。 たくさんのプレゼントを抱えて家に帰ったあかね。 「いっぱい貰ったのね。よかったわね。」 「えへへ。」 居間で雑誌を読みながらお菓子を頬張る乱馬を、あかねは横目で見つめる。 乱馬は、何かくれるかな? ちょっとくらい期待してもいいよね? 乱馬の隣に寄り添うように座ると、いきなり乱馬は立ち上がった。 「おれ、今日疲れたから、もう寝る。」 えっ? なんでっ? あかねは慌てる。 ひょっとして、わたし・・・避けられてる? どうして? 「お、おやすみ、乱馬。」 乱馬を見て微笑んでみる。 「ん、ああ。」 気のない返事。 機嫌悪いみたい。笑顔、見せたのに反応ないし・・・。 あかねは乱馬の態度にがっかりする。 乱馬、誕生日忘れてる? ううん、知ってて何も言ってくれないんだ。 「おめでとう」って言ってくれるだけでいいのにな。 乱馬に祝ってもらいたいのに・・・・・・。 悲しい気持ちをひきずりながら、部屋に戻ろうとして廊下を歩いていると、 乱馬にばったり、であってしまった。 目が合う。 「・・・・・・。」 あかねは何か言おうとするけど、声にならない。 乱馬は目をそらし、無言のまま横を通り過ぎる。 あかねのこころは弾けた。 乱馬は足早に通り過ぎながらも、視線はあかねを外さない。 ・・・あかねの肩が震えているのを確認する。 あ・・あれ? 慌てて振り返り、声をかける。 「あかね?」 「・・・・・やだ。こんな気持ちの誕生日なんて。」 あかねはやっぱり泣いていた。 乱馬の胸は締め付けられる。 「わたしのこと、どうでもいい? 乱馬にとって、関係ない?」 「・・・ち、違う。」 「だったら、どうして、言ってくれないの?」 乱馬は赤くなる顔を見られまいと、あかねに背を向けた。 「い、いつだって、あかねが生まれてきてくれたこと、感謝してる。 だから、おれにとっては、あかねがいつ生まれたかなんて関係ない。 おれにとっては、毎日が大切な日だ。」 あかねの身体は固まる。 その頬だけが真っ赤に染まっていく。 「・・・でも、ちょっと意地悪してた。 おめーが他の奴からプレゼント貰って、嬉しそうにしてたから。」 「ごめんなさい。」 「・・・え?」 急 に謝りだすあかねに、乱馬は戸惑う。 「何でおめーが謝んだよ。」 「わたし、自分のことばっかりでっ、ごめんなさい。 乱馬がそんな風に思っててくれてたなんてっ・・・。」 そう言って泣くあかねの頭を、乱馬は優しく撫でる。 「いいから、もう泣くな。」 「・・・・・うん。」 あかねが泣き止んで顔をあげると、乱馬は優しい瞳であかねを見つめた。 「・・・・・あかねにとって、大切な日だから、ちゃんと言っとく。 誕生日、おめでとう・・・・・・生まれてきてくれて、ありがとう。」 =おしまい= 呟 言 乱馬くん、くさっ!! って、自分書いといて言うなって感じですが(汗) 何故に今回この話を? というつっこみは微妙に受け流しつつ・・・。 って、今リク小説を4つ、抱えているのに、 これ書いてる暇あるんだったら、早くそっち書けよって 言われそうですね、本当本当。 だけど、ちゃんと意味があるのです。これはこれで(大汗) ひょう