青い空の下で ちょっぴり具合が悪いのはわかってたけど、だからってこんなことになるなんて思わなかった。 「二週間ほど、入院してもらうことになります。」 お医者さんに言われた言葉は、ぐさりと胸に突き刺さる。 お昼ご飯を食べた後、しばらくしていつものように乱馬が現れた。 「どうだ? 具合は?」 「うん。別になにも変わったとこはないよ。」 「本当に?」 「うん。でもどうして? いつ来ても確認するよね?」 「そう言って、急に倒れたからさ。」 「・・・・・・。」 乱馬がわたしのことを責めてなんかいないってわかってるけど、 それでもやっぱり自己管理を怠ったから、こうやってる自分がいるのだと、罪悪感が襲ってくる。 「あかね?」 「・・・え? なに?」 乱馬は少しあきれたような顔をしてみせる。 「なによ。」 「いや、別に・・・にしても、いいよな、おめーは。一日中、こうやって寝てりゃいいんだから。」 「・・・すっごい退屈なんだから。」 「そおかぁ? おれだったら思いっきり楽しむけどな。」 「楽しむ?」 「そうさ。例えば・・・。」 と、乱馬が話し出したそのとき、隣のベッドで眠っていたらしい女の子が、閉じていたカーテンを開けた。 「さっきからうるさいわね。おしゃべりなら、廊下に出てやりなさいよっ!」 しゃっとすごい勢いでカーテンは閉じられる。 「ご、ごめんなさい。」 「怖ぇー。」 そういえば、少し神経質だって、看護婦さんが言ってたっけ。 がさつなわたしが隣なんて・・・いい迷惑よね。 自己嫌悪に陥りながら、ふっと外を見る。 窓から見える景色に、気分は少し晴れそうになる。 だけど・・・。 「どうする? 廊下に出るか?」 「・・・外に行っちゃ駄目かな?」 「外?」 「うん。窓の向こう側。」 「だっ、駄目に決まってんだろっ!」 大きな声を出してしまった乱馬は慌てて口を塞ぎ、隣をおそるおそる見る。 しばらくそのまま見つめていたけど、反応がなく、ほっと胸をなで下ろす。 「ほんの少しでもいいから。」 「んなこといったって、おめーは病人なんだから仕方ねぇだろ。」 「わかってるけど・・・息が詰まっちゃう。」 「仕方ねぇな。」 おもむろに乱馬は立ち上がり、窓を開けた。 途端に外から冷たい風が吹き込む。 「や、寒い。」 「息が詰まるっていうから。」 「そういう意味じゃない。」 「ったく、わがままだな。」 「・・・・・・。」 そうじゃない・・・わたしはただ・・・。 「・・・ああもう、どうなったって知らねぇぞ。」 「え?」 突然、乱馬はわたしの身体を抱え上げる。 「ちょ・・・乱馬、や、やだ。」 「・・・ちっと痩せたか?」 「ばっ、馬鹿っ!」 「いいから、しっかりつかまってろよ。」 乱馬はそのまま窓から飛び出した。 「こ、ここ、三階っ。」 「しゃべると舌噛むぞ。」 ・・・・・・・・・あれ? 予想していた衝撃はない。 「もう、目、開けていいぞ。」 気がつくと、わたしはぎゅっと目を閉じて、乱馬の身体に腕を回ししがみついていた。 「・・・・・・らっ、乱馬っ!」 「はいはい、後でおれが怒られればいいんだろ?」 「・・・・・・。」 「ん? どうした?」 「・・・・・・。」 「こ、怖かったのか? あ・・・具合悪くなった? ごめん・・・おれ、その・・・。」 「・・・ううん、ありがと。」 「へ。」 「乱馬と・・・もっと自由に話したかったの。大きな声出して・・・たくさん。」 =おしまい= 呟 言 入院記念ということで(嫌な記念だな)。 というか、入院してて、ちょっと元気な時に書いたものです。 ・・・今年初めてパソコンに打ち込んだものでもあります。 すっげぇブランク(と、こんなへっぽこでも言っていいんでしょうかね?)があったので、いつもよりも難ありですかね。 うん・・・そうだねって、読み返して思いますけど、記憶の記録ということで。 よい子の皆さんは乱馬くんのような真似しちゃだめよっ!(しねぇよっ!!) ひょう