冷 暖






「あったかーい。」

冷房が効き過ぎた部屋から、一歩外に出れば、
じりじり照りつける太陽が冷えた身体を暖めてくれる。

「あの中、冷房効きすぎ。」

ぶつくさ言いながら、わたしはお日さまに向かって手を掲げ広げた。
指の先から じんじん 温まっていく感覚。

「だけど、この感じは・・・。」

痺れにも似た、この感じは嫌いではなかった。

それでも完全に冷え切った身体はそう簡単には温まらない。

隣を歩く乱馬ともっと話したいけど、
口元が震えて、歯がかちかち鳴るのが自分でもよくわかる。

なにか話せば、舌を噛んでしまいそう。

こんなんじゃ、きっと上手にはしゃべれない。



「そんなに寒かった?」
「え。」

急に乱馬は立ち止まり、わたしの顔を覗き込む。

「うん・・・すごく。」
「仕方ねぇな・・・。」

そう言うと、おもむろに、肩を抱き寄せられて、近くにある木陰へと連れて来られた。

「・・・ここなら。」

そう言って、きょろきょろっと周りを確認した乱馬は、顔を思いっきり近づけて・・・。

「目、閉じな。」

促されるまま、わたしは目を閉じた。



口元から伝わってくる、熱。
お日さまの発する熱と違って、生暖かい。
だけど・・・それは身体の内側から暖めてくれた。


「・・・温まった?」
「うん。」
「・・・それじゃあ、アイス、食べよっか?」
「え・・・また、冷えちゃうよ。」


その後、にこやかな笑顔で手渡されたアイスクリームを口にしながら、
身体が再び冷えていくのを感じていた。

たぶん・・・また、温めてもらえるんだろうなって思いながら。







                             =おしまい=







隠 的 呟 言

隠してない「温み」っていう話の、続きっぽい感じしますけど、
私の中での場面設定では、図書館から出た後だったりします。
夏休みにふたりで図書館に宿題しに行った帰り道・・・って感じです。
説明は文中に入れろよって話ですよね(汗)
いやいや、雰囲気雰囲気ってことで(逃)

・・・乱馬くん命令口調ですな。いや、語尾を て にしようかとは、書いてる時、
これっぽっちも思いもしなかったので、これが私の本性かということで。
                       ひょう

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