許せない久間発言    2008/6/10  BACK
フリーゲージ方式での建設起工式をやりながら、
「ミニ新幹線がいい」「フル規格も検討」発言は県民を愚弄


−「新幹線」建設中止の会 久間発言で県知事へ申し入れ−

 6月10日、長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会は、久間章生衆院議員(自民党新幹線調査会長)の長崎「新幹線」発言に関して、長崎県へ申し入れをおこないました。
 申し入れ行動には、大橋由紀子代表委員、堀江ひとみ県会議員をはじめ、参加団体から14人が参加しました。県は、久村豊彦・新幹線建設推進課課長らが対応しました。

申し入れる「会」代表ら(右手前堀江県議、2番目大橋代表)

申し入れる大橋代表委員(左側手前)
 
 今回の申し入れは、与党の自民党新幹線建設調査会会長が、建設着工式の日に、これまで県民に宣伝してきた方式と違うものがいいなどと発言したことに対して、県民を愚弄するものであり、またいかに「新幹線」建設計画がいいかげんなものであることを示しているとして、新幹線建設を中止することを求めたものです。
 
 対応した県地域振興部・新幹線建設推進課久村課長は、「久間氏の発言は否定をしない。佐賀県のことであり関与しない。」と見解を述べながらも、文書で回答するとしました。

 参加者からは、「ミニ新幹線やフル規格など、規格が変われば、当然事業費も増えるのではないか」、「県民の負担はさらに増える」、「消費税の導入の際使われた『小さく産んで大きく育てる』を新幹線建設でやろうとするものだ」、「とにかく着工してしまえば、あとは何とでもなる考えの公共事業の進め方は認めらない」など、抗議の発言が相次ぎました。

 
 
 
   
  
久間発言に関わって金子知事への申し入れ書全文

 九州新幹線西九州ルート(長崎「新幹線」)建設の起工式の4月28日、自民党整備新幹線調査会の久間章生会長が、「フリーゲージトレインは完ぺき(な新幹線)ではない。十分な金があればフル規格がいい」と述べたと西日本新聞が報じました。また5月18日付同新聞は同氏が、「フリーゲージトレインの考えにこだわらず、ミニ新幹線、フル規格への変更を視野に、どうすれば長崎ルートの開業効果を十分に発揮できるのか、柔軟に考えるべきということ。フル規格でないといけないということではない」「車輪の幅を何度も変えながら走るのは効率が悪い。変えるのにも時間がかかる。個人的な見解だが、長崎ルートの現実的な規格としては、ミニ新幹線の方が適していると思う」と語ったと報じました。

1.新幹線建設を推進する与党の責任者が、フリーゲージトレインで建設が着工したとたんに「この方式は効率が悪い、完ぺきではない」とか「別の方式での建設の検討」を語るとは誠に重大です。フリーゲージトレイン方式での新幹線建設を推進し、県民に宣伝している長崎県の責任も問われます。この久間発言についてどう考えているのか、ただちに知事の見解を示していただきたい。

2.この久間発言の背景には、フリーゲージトレインの実験開発が難航し、実用化のメドが立っていない問題があります。報道でも「フリーゲージ開発難航・高速走行で台車振動」「実用化へ見通し甘く 技術より期待優先」「夢の列車実用化険し 高速やカーブに壁」「武雄温泉−諫早間完成に間に合うか不透明」と繰り返し伝えられています。このような段階で建設に着工し,多額の予算をつぎ込み始めた県の責任は重大です。県は長崎新幹線が、フリーゲージ方式で、予定されたスピードで安全に走行できるというどのような保証を持って推進しているのか。知事の見解を示していただきたい。

3. 長崎「新幹線」はフル規格にはじまり、新幹線ではないスーパー特急方式になり、4年前には時間短縮効果が少ないことや相互乗り入れが出来ないなどからフリーゲージトレイン方式へと代わりました。今度はミニ新幹線だというのでは、いったいきちんとした計画と見通しがあってやっているのかと疑わざるを得ません。 スーパー特急、ミニ新幹線のいずれも、新幹線とは言えない「名ばかり新幹線」に変わりなく、時間短縮効果も、相互乗り入れ効果も期待できません。 結局、どういう鉄道をつくるのかも定かでないのに建設工事だけは始めるでは、大型公共工事推進だけが目的だと言わざるをえません。トンネルと鉄橋ばかりの「新幹線」工事をやれるのは、大手ゼネコンだけで、地元業者ができるのは「砂利運びくらい」と言われるほど、地元業者にメリットのない工事です。
 また、昨今の鉄や石油などの値上げから、建設費用の増額は必至であり、地元の財政負担はふくれあがります。「新幹線」建設に便乗した大型公共事業も税金の浪費につながります。さらに巨費を投じても時間短縮効果の少ない新幹線もどきでは、利用者や観光客の増加を期待することはできません。すでに今年度の県予算では、「新幹線」建設費の増額にあわせて、福祉、医療、教育など県民の生活に直結する予算の削減が始まり、今後強められようとしています。県財政が深刻になることも避けられません。県がおこなった県政世論調査でも、「新幹線」建設より在来線やバス路線の充実を求める声が多数です。久間発言によって長崎「新幹線」建設への疑問、批判の声がさらに広がっています。
 金子知事が「県民主役」と言うのなら、県民の多数が求めていない「新幹線」建設は中止し、再検討するよう強く申し入れます。
       2008年6月10日
                    長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会
                    長崎市恵美須町7-19 建交労県本部内 TEL095-801-8800