県議会・総務委員会
長崎「新幹線」建設の中止を求める請願者・深町孝郎氏の発言
深町でございます。堀江県議の紹介に加えていくつかの点について述べさせていただきます。
第一は、国交省の技術評価委員会の報告についてです。堀江議員からありましたので簡単にしますが、台車すなわち車両の改良だけでは解決できないと結論付けている点が重大です。開発を続けるとなっていますが、見通しはありません。また、お金と時間をかければ採算性が問題になります。フリーゲージ導入の全国各地の計画は事実上立ち消えで、長崎だけといわれています。仮に完成してもフリーゲージの単価は新幹線の約10倍になるともいわれているうえに、線路までが特別あつらえの線路でメンテナンスの経費も高くなれば、JRが導入できるかが問題です。9/8日経新聞は、採算性からJRがフリーゲージトレインを導入するかどうかの懸念にふれて報道しているほどです。付言すればJR九州は鉄道部門では一貫して赤字で、株も上場できない会社なのです。
第二は、長崎県の誇大宣伝についてです。例えば、これまで利用者数は1日6100人から6800人に増える。約11%増加するとしてきました。ところが長崎まで延伸の想定のもとですが、今回突如2.8倍、280%に変更。実に25倍増えるとしました。現在のカモメは諫早・長崎間は途中浦上駅に止まってもわずか16分しかかかりません。そこを新幹線に変えたら、なぜ一気に25倍にも増えるのか疑問です。経済効果でも同じです。直接便益は3910億円が、一挙に2倍以上の8586億円に増えています。信じられますか。9/12付毎日新聞が報道した福岡大学と毎日新聞の共同調査では、九州新幹線の開業による鹿児島への関西からの観光客の増加はわずか+7.2%しかありません。本物の新幹線でもこの程度なのです。
これまでと基準を巧妙に変えて、まさに大きいことは良いことだと言わんばかりの数字です。数値目標を変えるのならば、いままでの県が示してきた数値はウソだったと県民に謝罪すべきです。それもしないし数値の整合性も説明しません。「これまでの数字は、国が計算したもので、県としてはその計算内容を詳細には把握していません」と誤魔化すことは許されません。
これでは、全国で問題になっている「飛行機が来ない空港」「船が入らない港」などと同じように、税金のムダづかいの道を歩む危険性を感じます。
長崎新幹線の根本の問題点は、「新幹線でない」ものを「新幹線」と偽ってきたことにあります。ここが全国の新幹線計画と根本的に違うところです。長崎新幹線の建設費は整備新幹線予算から出てはいますが、出来上がるものは新幹線ではありません。今年の4月6日の九州5県が参加した第6回整備新幹線問題調整会議でも、国交省は「全国新幹線整備法に基づく新幹線は、時速200キロ以上という定義になっている。従ってフル規格のものを前提にしている」と述べて、西九州ルートを新幹線とは見ていません。同会議で佐賀県は、改めて「フル規格にしないことで出発した」ことを強調しており、将来的にフル規格、すなわち本物の新幹線にはなり様がありません。
民主党や自民党の国会議員から、今の計画では「役に立たない」、「全線フル規格にすべき」などという声が出るのは、今の計画では時間短縮効果も経済的効果もないことが分かったからにほかなりません。
こういうなかで、これまで言ってきたことと整合性のない誇大な数字を並べて、建設推進をはかることに、県民はけして納得するものではありません。
この名ばかり新幹線が大型開発や大型公共事業推進の理由になっていることも問題です。また「新幹線」建設で地元中小業者にほとんど仕事はまわってきません。県民の多数はこんな「新幹線は必要ない」と考えています。知事選に立候補した元県議の女性は、新幹線建設に賛成してきた方ですが、「県下を回ってみたら、県民の多くの声は新幹線はいらないだった。私は反対します」とテレビで語り、候補者カーにも新幹線はいらないと大きく書いて走ったほどです。
県民の声を真摯に聞いて、長崎「新幹線」の建設を中止し、県民の暮らしを守る施策、交通問題ではJR在来線やバス路線の利便化にとりくむ県政にしていただくことをお願いして、説明とします。