県民の会申入れ 「新幹線」諫早・長崎間延伸反対
長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会は、2011年12月28日、大石久仁子代表、中里研哉事務局長など8名が、中村法道長崎県知事へ申入れました。

 この申し入れは、政府が新幹線建設の新規着工区間に、長崎・諫早間を加える決定をおこなったことをうけて、以下のような趣旨で建設を中止することを求めるものです。
 堀江ひとみ県議秘書・前川美穂氏も参加しました。

 これに対して、長崎県は1月13日付で申し入れへの回答書を送ってきた。

 回答分と中里研哉「中止の会」事務局長の談話を紹介します。

長崎県知事  中村 法道                                      2011年12月28日                                                  長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会                                                              代表委員  大石久仁子

長崎「新幹線」建設にかかわる懸念事項についての申し入れ

政府、民主党は、九州新幹線長崎ルートの諫早―長崎など整備新幹線未着工3区間の建設を決定すると発表した。

長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会として、この決定について以下の懸念事項について関係当局の見解を求めるとともに、国民と県民にあらたな財政負担を強いる新幹線の建設中止をあらためて申し入れるものである。

                      
1、  新幹線長崎ルートは、スーパー特急方式に比べても時間短縮効果が小さいとか、諫早・長崎間の費用対効果は1以下になるなどの指摘もあるが、安定財源の確保や収支の採算性、費用対効果の見通しはあるのか正式な見解を聞きたい。

2、  国交省の評価委員会は、フリーゲージトレイン開発の現状について「現行特急並みの走行性能」は達成したが、今後は、「耐久性、保全性、経済性」の分析が必要。さらに、軽量化や長編成化を行ったうえでの走行試験が必要と述べている。公共交通で最も重要である安全性は確保できるのか見解を聞きたい。

3、  各種世論調査で、長崎県民や佐賀県民の多数が新幹線建設に反対や疑問だと述べている。沿線住民の声を無視しての建設強行は、民主主義に反するものである。なぜ、沿線住民の声を無視するのか見解を聞きたい。

4、  建設予定地の用地買収は、地権者の納得・同意が原則である。強制収用しないか見解を聞きたい。

5、  バス、飛行機、鉄道など総合的な交通対策を考えた場合、今長崎新幹線が必要なのか見解を聞きたい。

6、東日本大震災の復興に莫大な財源が必要な時期であり、また様々な国民負担を強いる増税まで検討されているなかで、費用対効果に疑問がある新幹線建設(特に諫早・長崎延伸)を強行することは、国民の納得を得られないと思うが、見解を聞きたい。
                                                         以上。


  
長崎県の回答に対する「新幹線」建設中止の会中里研哉事務局長の談話

 
県の回答は、財源問題や費用対効果は国策なので県には責任はないという回答で、無責任極まりないものです。40年前の発想で、八ツ場ダムをはじめ、公約違反の不要不急な大型開発優先政策のために、国民・県民に負担を押し付けるものです。

 フリーゲージについては、耐久性、保全性、経済性に問題があるという指摘をされています。
 県民の中に、反対の声が多いことは認めながら、県議会や市議会が賛成しているからいいという主張です。

 用地買収については、地権者の納得が基本であると述べていますので、今後強制収用がないように、見張っていくことが必要です。

 交通網の総合的対策については、採算のとれない私鉄やバス路線はどんどん減便や廃止が進んでいます。新幹線に予算が増える分、地域の足が奪われていくことは明らかです。

 将来の採算については、長崎市の人口が25年後は22.5%減少し、新幹線の利用者が減ることは確実なのに、交流人口によって新幹線利用者が増えると言っています。つまり、新幹線利用者は、県内の人ではなくて、県外の人というわけです。新幹線建設のために使われる県民の税負担は、人口が減れば一人当たりの負担が増えることになり、将来の子や孫に、より高いツケが回るということになります。


申し入れ書を渡す大石代表(左)