田上長崎市長へ 抗議と発言撤回の申し入れ     2008年4月25日戻る

  田上市長の発言

田上富久長崎市長は4月14日、「新幹線着工推進議員連盟」設立総会で、市会議員を前にして、長崎「新幹線」建設の中止を求め、批判している市民への許しがたい内容のあいさつをおこなった。

市長は、「水道の百年誌」を引用し、「水道が敷設されて、そして、敷設された後におきた火事の時に、反対派の代表の近くで火事がおきて、その火事が消火栓で消火できたことで、反対派の人が次の日から賛成に変わってくれた」などと、長崎新幹線に建設に反対しているがあたかも、100年前の水道建設に反対した人たちと同じだと言わんばかりの発言である。

また、市長は「まだ出来ていないものを、これから未来を見通して、話しをするというのは非常に、それくらい難しい」とも述べている。反対している人たちが、「新幹線」が出来てどうよくなるかが分かっていないと言っている発言である。

100年前の水道建設はまさに未知、未経験からくる反対であるが、新幹線建設以来40数年の歴史の中で、いい面も悪い面も見たうえで、多くの県民が反対、批判の声を上げているのである。今回の市長発言は、反対や批判的な県民、市民を侮辱する発言として、許せない。


 
 
  市長発言への抗議と撤回の申し入れ

長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会は、4月25日、田上富久市長に対して、「新幹線建設推進議員連盟」設立総会での発言への抗議と撤回を求める申し入れをおこないました。

申し入れには、大橋由紀子代表委員、中里研哉事務局長など9人が参加し、直接田上市長へ申し入れました。
大橋代表委員が申し入れ書を市長に手渡し、県民の会をはじめ、多くの県民は理由をあげて、長崎「新幹線」建設の中止や凍結、見直しを求めていることを述べて、100年前の水道建設反対者のたとえを上げて批判することは許せない、撤回することを要求しました。

市長は「新しいことをやるときはなかなかわかってもらえないものだ」ということのたとえ話をしたんだと弁解し、今後発言には注意するというだけで、撤回しませんでした。逆に、名ばかり新幹線はあたらない、建設費は2600億だなどと述べて、「県民の会」の批判はあたらないと主張しました。

参加者から、市長の説明にたいして「長崎新幹線についての問題点を明確にして批判しているのであり、明治時代の水道建設反対と同一視することは許せない」、「のぞみやひかりも走れないで新幹線なのか」「2600億円の工事だけで、『新幹線』が走れない、3000億円以上の工事が必要になるではないか」、「市民の声をもっと聞いて行政にあたってほしい」などの発言が相次ぎました。
 
   
               申し入れ書全文


長崎市長
田上富久様

      新幹線をめぐる市長発言への抗議と撤回を求める申し入れ

 田上富久長崎市長は4月14日、「新幹線着工推進議員連盟」設立総会で、長崎「新幹線」建設の中止を求め、批判している市民への許しがたい内容のあいさつをおこなった。市長は、「水道の百年誌」を引用し、「水道が敷設されて、そして、敷設された後におきた火事の時に、反対派の代表の近くで火事がおきて、その火事が消火栓で消火できたことで、反対派の人が次の日から賛成に変わってくれた」などと述べている。
 このあいさつは、長崎「新幹線」の建設中止を求めたり、批判している市民が、明治時代に水道建設に反対した人たちと同じで、時代遅れの社会進歩に逆らう人たちと言わんばかりのものであり、きびしく抗議し、その撤回を求める。
 私たちは、すべての新幹線を批判しているのではなく、問題点が多い長崎「新幹線」について批判し、その建設中止を求めているのである。新聞の投書欄には財政や経済効果を疑問視する声や、県民の合意がないなどを指摘する批判や反対が大多数である。
 長崎市長が、わざわざ水道建設反対をたとえ話に持ち出したこうした批判は、同意しない多くの市民への無理解を示す、不当なものである。

 また、市長は「まだ出来ていないものを、これから未来を見通して、話しをするというのは非常に、それくらい難しい」と述べているが、この長崎「新幹線」の問題点は明確である。
 @路線の大半がJR在来線の上を走り、スピードも出せない、新幹線基準にあわない名ばかり新幹線である。A厳しい財政を理由に県市民の福祉予算を削るなかで、総額三千億円以上の巨費を使いながら、わずか20分程度の時間短縮効果しかない。長崎まで延伸すればさらに1100億円が必要となる。B新幹線で観光客の増加、経済浮揚には根拠がない。バラ色ばかりの宣伝でデメリットも含めて事実を知らせていない。Cこうした問題点をもった「新幹線」建設に、各種の世論調査にあるように、県民も市民も同意していない。

 こうした市民の批判や疑問、意見には答えず、明治時代の水道建設反対運動までもちだして、批判や反対の声を抑えて、何が何でも長崎新幹線建設をすすめる姿勢は到底容認できない。
 「市民力」というのであれば、市民との対話や住民投票などで真摯に市民の声を聞き、市民の合意を得て事にあたるべきであり、今回の発言に抗議し、その撤回を強く要求する。
      2008年4月25日
             長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会
                 代表委員 菅 政和
                 長崎市恵美須町7-19danビル 建交労長崎県本部内
                   電話095(801)8800