長崎ブリックホール完成記念・松林静風開軒10周年記念コンサート
「奥州薩慈」を演奏する静風 |
一月住職の声明にあわせて谷林、柴田両師の「虚鈴」 |
平成10年12月14日(月曜日)、長崎市内に新しく建設された文化の殿堂
「長崎ブリックホール」の完成記念行事として ”尺八その伝統と創造”と題して
松林静風開軒10周年記念コンサートを開催いたしました。
長崎は幕末の頃、「玖埼寺・のちに松寿軒」という普化寺があり高い尺八文化を有していた。
特に琴古流の宗家、初代黒澤琴古が19歳のとき、長崎を訪れ松寿軒で、
一計士に「真虚鈴」、「呼び返し鹿の遠音」など古伝7曲を伝授されたことは有名である。
また、大阪で「宗悦流」をおこし、外曲を取り入れるなど関西尺八界に新風を
巻き起こした近藤宗悦もまた、松寿軒で学んだ長崎の尺八家であり、のちに中尾都山に
引き継がれ、都山流として花開き、今日に至っている。
私達長崎に住み尺八を愛好するものが、もう一度こうした貴重な歴史文化を認識し、
後世に伝承できるよう、今回のコンサートは第一部を「虚無の世界」と題して
古典本曲のプログラムとした。
中でも圧巻は幕末の関東虚無僧寺の総本山「一月寺」の住職、一月氏の御子孫で
あられる一月正人住職に御登壇いただき、御唱和いただいた真言声明「散華」と、
京都明暗寺よりお招きした谷林、柴田両師の奏する「虚鈴」とのハーモニ−であった。
声明と尺八の音が誠に荘厳なおももちで、咳一つしない静寂の中に溶け込んでいった。
第一部は他に小生の「奥州薩慈」、田島直士師と合奏で「鹿の遠音」ほか「手向け」
「鶴の巣篭り」
第二部は「合奏の歓び」と題して、妻の二胡との合奏で讃美歌「神ともにいまして」
「ふるさと」、妻と田島直士師との合奏で「月光幻想曲」など
田島直士師と「琴古流呼び返し鹿の遠音」 |
第三部は長崎が生んだ世界的ギタリスト 山口修氏のギターと田島直士師の
尺八による「創造の世界」を演出していただいた。
コンサートにさきがけ、午前中は松寿軒跡で市民の見守る中、「虚鈴」
「手向け」を献奏、京都明暗寺隊と一朝軒隊に分かれて、市内寺町界隈を行脚した。
このとき、松寿軒あとに看板を立てて、献奏したのだが、
後に私が松寿軒跡碑を建立しようと思い立ったきっかけになった。
寺町界隈には黄檗宗の禅寺、国宝「興福寺」、「崇福寺」などがあり、
どの寺でも久しぶりの普化僧の到来とあって温かいご接待を受けた。
午後は平和のシンボル、平和祈念像の前で献笛、世界平和を祈願した。
松寿軒跡で「虚鈴」献笛、まだこの時は碑は建っていない。 国宝崇福寺正門前で「呼び笛」献奏し、入場
平和祈念像前で「手向け」献笛