奉仕の理想探求語録 第29号
長崎東ロータリークラブ 雑誌委員会
追いつめられた子供たち
(友1997―11号 福岡城西 松本寿通)
近年、RIの活動方針は家族、子供に力点が置かれています。前年度のジアイ会長は
「築け未来を」のテーマで特に新世代の育成について強調されました。
いままで若い世代について青少年Youthという言葉で慣れ親しんで来ましたが、
1995年から手続き要覧の第8条がかなり書き換えられ、Youthに代わって、
New generation 新世代という言葉がつかわれるようになりました。
どうして「青少年」ではなく、「新世代」という言葉に代わったのでしょうか。これは
青少年より、さらに範囲をひろげて乳幼児、そして子供を育てる家族にも、奉仕の対象として
活動を広げよう、ということにあると考えます。
今、世界では小さな子供による過酷な労働、貧困、飢餓、ストリートチルドレン
などが問題になっています。学校に行けない子供はユネスコの調査で、全世界の20%にも
達しています。
従って、キンロス会長は貧困への対策として識字運動を強力に推し進めているわけです。
しかし、経済的に豊かな我が国では、幸いにもこのことは問題になっておりません。
現在、少子化社会の我が国において最も注目すべきことは、まさに心の問題です。
死に至るいじめ、虐待、麻薬、援助交際など、現代の子供の、心の問題について、早く適切な
対応をしておかなければ、21世紀の日本の将来は、かなり厳しいものになることが指摘されて
います。
最近、ある県の教育委員会の調査で、小中学生の3分の1以上が「生まれて来なければよかった
と思うことがある」と答えているそうです。
若さ、未来、希望の象徴であるべき子供達の多くが、このような、およそ厭世的な感情を
もっている事実を、私どもは直視する必要があります。
疲れて、目の輝きを失った子供達、そして他人をいじめることで、はじめて自分をまぎらわす、
といったような状態まで追いつめられた子供達。(中略)
ロータリーの新世代に対する活動の力点を、子供の心の豊かさを育てること、に置くべきで
そのためには家族、子供達にもっと目を向け、身近なところから奉仕しようではありませんか。