奉仕の理想探求語録    第 4号

            長崎東ロータリークラブ 雑誌委員会

 

あなたの心に触れたのは誰ですか?

(2000年国際協議会講演集より リチャード D キング)



私は、
2人の人物を覚えています。

私は今でも、その一人が私のオフィスに座って私をロータリーの例会に招待した様子が

目に浮かびます。この人は、地区ガバナーとなり、彼を知る全ての人々から大変愛され、

尊敬されました。彼は、私の人生を変えました。

私の心に触れました。この人が私をロータリーに入れたのです。


それからほんの
23年後、私はインドのタール砂漠にいました。

GSEチームのリーダーとしてここに来て、シャワーや水、べッド、便座にもしばしば

事欠きながら、34週間旅行していました。私は非常に疲れていました。

ただ風呂に入って、一晩ぐっすり眠ることだけを欲していました。

ロータリー・クラブは真夜中頃に会を終え、クラブの会長が私にこう言いました。

「リックさん、今晩あなたのためにすばらしく名誉なことを用意しましたよ。

あなたは、94歳のヒンズー教徒と一晩過ごすんです。」ああ、これで風呂も水道も便座もない、

と思いましたが、すごく疲れていたので、少なくともいくらか睡眠がとれる、と考えました。

深夜の12時半、私のホストは私を自分の居間に連れてゆき、床の真ん中に腰を下ろしました。
この人は、ロータリアンとして半世紀を過ごし、その
50年間インド・タイムズ紙の

ジャーナリストでもありました。伝説的な自国の歴史に関わった20世紀の大物たちについて、

また新しいインドの民主主義について、ヒンズー教とその寛容の哲学について、永遠のもの、

すなわち、希望、愛、友情、知恵、彼の夢、将来の抱負について語りました。

夜のふけるのもかまわず、語り続けました。

人生について、自由について、ロータリーについて、平和について、人間の魂の最も深い感情に

ついて。最後に彼は腰を上げ、居間の隅にあるヒンズー教の小さな祭壇の所に行きました。

小さな色槌せた紙切れを取ると、もどってきて、私の前に立ちました。

「リックさん、この詩は、私の人生と私の国についての私の夢を反映するものです。」

94歳ですよ!

「これは、あなたの国、米国の偉大な詩人、ロバート・フロストが、ジョン・ケネディー大統領

就任式で詠んだものです。」

老人は読み始めました。私は腕時計を見ました。朝5時でしたが、もう疲れは感じませんでした。

私の魂が刷新されたのです。そして、私は、この小さな白髪の老人を引き寄せ、私の胸に

抱きしめずにはおられませんでした。心の底から、私はこの老人に愛情を感じました。

彼の人生が私の人生に交わるという奇跡、私にあのような大きな賜物を与えた奇跡とは

何だったのでしょう。この奇跡はロータリーでした。彼はロータリアンであり、幸運にも、

私もそうでした。一人目は私をロータリーに入れ、二人目は、ロータリーを私に入れました。

この二人の人物は私の心に触れたのです。