奉仕の理想探求語録 第48号
長崎東ロータリークラブ 雑誌委員会
子供は宝ぞな
(友1995−4 長崎北 三原 茂)
毎日の通勤バスが小さな商店街を通り抜ける。朝はまだシャッターをおろしている店も
多い。その中の一軒のシャッターに
子供を叱るな、自分の来た道だ
年寄りに邪険にするな、自分の行く道だ
という文章が書かれている。
私にも苦い思い出がある。年子で生まれた二人の子供を連れて街を歩いているときのこと。
妹が生まれたため、幼くて「お兄ちゃん」にされた息子がむずがって先に進まない。
わたしが大声で叱っていたら、とんとんと肩ををたたかれ、振り向くと見知らぬご老人、
「旦那さん、子供は宝ぞな・・・」と言って、にこやかに立ち去った。
私は顔の火照るのを感じた。
今は2人の子供に5人の孫達がいる。たまにみんなで集まると、にぎやかなもの。
子供達夫婦に私の30年前の体験を話して聞かせる。
言外に「子供を叱るな」という思いを込めているのだが子供達は子供達流の躾も
あるようだ。
昨年は国際家族年であった。「児童の権利に関する条約」が、日本でも発効した
記念すべき年である。その一方で母親による家族殺害や「いじめ」による自殺など
ショッキングなニュースの絶えない年でもあった。
この機会に、すべての「人間の尊厳」について、あらためて考えてみたらいかがだろう。
(私の要請に応え、三原さんには最後までいろいろとご協力をいただきました)