奉仕の理想探求語録 第 5号
長崎東ロータリークラブ 雑誌委員会
教育について
ロータリーは長い歴史の中で、拡大に次ぐ拡大、増強に次ぐ増強だった。
その中で一番なおざりにされてきたのが会員の教育の問題である。
(第7回 ガバナー座談会で工藤ガバナー)
今時の若いもの
(友2000−7号 長崎北 三原 茂)
当クラブでは過去10数年に渉って行ってきたプログラムの一つに、青年海外協力隊への
慰問と激励があります。しかし会員の多くは残念ながらその活動の詳細を知りませんでした。
そこで帰国したばかりのT君を、そのフォーラムの席に招いて、体験談を語って貰いました。
同君は近郊の市役所に勤務する地方公務員です。
東欧のブルガリアにシステムエンジニアリングとして2年間滞在し、無事に任務を終えたの
です。
まだ英語も通用しないという、かつての共産圏での活動は、お国事情への関心もあって
大変興味深いものでした。
それにしても、T君が青年海外協力隊員として活躍することになった経緯が私の心を捕らえ
ました。
T君が生まれた翌年の昭和32年の夏、彼の住むI市は200年に一度といわれる大水害に
見舞われました。死者539人という想像を絶する被害を蒙りました。T君の父は青年団の
一員として救援活動に参加して災害の犠牲者となってしまいました。
幼いT君は仕方なく祖父のもとで育てられることになったのでした。
彼はそのお祖父さんにずっとこういわれてきたそうです。
「おまえの父親は自分から進んで人を助けにいって、まだ若い命を失ったんだ。
おまえも大きくなったら、お父さんのように、人を助けるような人間にならなくてはいけない」
と。
同君は小、中、高校を卒業後、大学に進学、卒業とともに地元へ戻りました。
そして地域に役立つ人間になるために、と市役所勤務を希望したと聞きました。
T君をして青年海外協力隊に参加させたのは、その体に染みついた、お祖父さんの教え
だったのでしょう。
それにつけても「今時の若い者」のいることに誇らしさを感じるのです。