2月27日(土)13時半から城山カトリック教会聖堂において、城山憲法九条の会、結成5周年の集いが開催され、約50名が参加しました。
記念講演 「平和を求めなさい」 ヒルデン神父最初に、代表世話人の楠田昌子さんの開会あいさつの後、会の世話人の1人でもある城山カトリック教会のマイケル・ヒルデン主任神父が「平和を求めなさい」と題して記念講演しました。
ヒルデンさんは、冒頭に米のオバマ大統領の「Yes we can!」に対して、私たちは憲法九条を変えようとする人たちには「No you can!」と言おうと訴えました。37年間日本に在住しているが、25才まではアメリカで過ごし、その後日本で司祭として生きてきた立場から、平和に対する思いを語られました。
自分の祖先はドイツ人とアイルランド人の血を受け継いでいる。幼い頃はとても貧しい暮らしの中で生きてきて、やがて宗教者の道を歩み始めた。アメリカにいるときは、長崎のことは原爆の写真を通じてしか知らなかった。しかし、日本に来てから原爆のことを深く知り、これは人間の立場からも神の立場からも許されないものであると感じた。
平和についての思いは、いろんな方々の書いた本を読むことで目を開くことができた。また、キング牧師、ガンジー等の偉人と同時代を生きてきたことは、今の自分にも大きな影響を与えた。
聖アウグトゥスは「平和は秩序ある静けさである」と教えた。平和を壊す者は誰だろうか?また、誰が平和の言葉を広げるのだろうか?イエス・キリストは「汝の敵を愛しなさい」と教えている。
日本は、遠くの国の平和の問題より前に、隣国の言葉を学ぶ等、アジアを平和の共同体としてとらえることが必要ではないか。世界は武器のない世界へ動いている。憲法九条で世界に貢献することができるのではないか…。と外国人として、また宗教者の立場からの憲法九条への思いを語られました。
パネルディスカッション 「アイラブ憲法九条」その後、「アイラブ憲法九条」をテーマに、5名の方々がパネルディスカッション形式で、それぞれが9条への思いを語り、会場からの意見も交えながら論議を行いました。
まず、進行役の廣瀬方人さんが発言。日本は1991年湾岸戦争で1兆3千億円も資金を出したのに、金しか出さないとバッシングを受け、マスコミは「国際貢献のために改憲を」とのキャペーンを張り、当時の世論調査では、「憲法を変えるべき」とする人が7割だった。2004年に9氏が呼びかけた「九条の会」は全国に広がり、昨年には「憲法を変えない」とする人が7割に広がった。このなかで憲法九条の会の果たした役割は大きい。3年前に改憲勢力によって強行された「国民投票法」が今年の5月から施行されることになるが、城山九条の会がこれからどう活動していくか、それぞれに思いを語ってもらいたいと口火を切りました。
奥山忍さんは、学校で日本史を教えているが、日本の加害責任にも目を向けつつ、戦争の実態を生徒と一緒に学びながら、9条の大切さを伝えたいと思っている。一方で、国民投票法が施行されたら、教員の言動にどのような規制がかかってくるのか心配であると語り、子どもたちへの平和教育の中での教師としての思いを語りました。
楠田昌子さんは。城山憲法九条の会に参加して5年になるが、これまでいろいろな集いや取り組みに参加して、戦争の実態を感じることが出来た。2003年にイラクを訪れたが、劣化ウラン弾によるとみられる白血病の子どもが多く、病院には薬が足りない。イラクから友人の医者を日本に招き、彼が帰国してからはメールのやりとりをしているが、目の前で苦しむ子どもを救ってやれない苦しみをつくづく感じている。一方で平和な日本の風景を見て、当たり前のことが当たり前である世の中に心が安らぐ、と医師としての立場からの体験や思いを語りました。
熊谷紘子さんは。昭和19年に父親が召集されて、戦死の知らせは昭和31年に来た。その後母子家庭に対する差別が激しかったと語りました。自分に子どもが出来た時、憲法9条によって守られていることを実感したこと等を切々と語りました。
里見公義さんは。1941年に上海から引き上げ、博多から貨物車で嬉野にたどり着き、その後小学校6年のとき城山小学校に編入になった。城山に医院を開業して21年になるが、毎日子どもたちを診ていて思うのは、若い人たちに九条への理解を広げたいことであると語りました。
山口秀樹さんは。この地区にはカトリックとプロテスタントの教会があり、共に九条の会に関われていることに喜びを感じる。幼稚園児を、原爆資料館に連れて行き、振り袖の少女の絵や像を見せる。来年には嘉代子桜の苗木を植樹する。憲法前文に初めて触れた時は、夢と希望を感じた等と語りました。
会場からは、毎年夏に子どもたちに向けた被爆者の話や映画会などを取り組んでいる。昨年には270人が参加し、140通の感想文が寄せられた。城山憲法九条の会は、ささやかだが、地域とつながることが大事だと思う。住民の過半数が「ノー」の声を上げるよう努力していきたいとの発言がありました。また、東京から参加したという学生は、集いの会場がカトリックの教会であることに驚きを感じている。とても良い雰囲気だと思う。長崎ゆえの特殊なことなのかとの質問も寄せられました。
コンサート 星野恵利さん(オペラ歌手)、後藤美樹さん(ピアニスト)つづいて、長崎の音楽界の第一線で活躍されている、オペラ歌手の星野恵利さんとピアニストの後藤美樹さんによるコンサートがありました。
客席後方から「アメージンググレイス」を歌いながら登場した星野さんは、「この会場で歌えることを楽しみにしていました。」とあいさつ。その後、「早春賦」「中国地方の子守歌」など親しみのある歌を演奏した後、マスカーニの「アヴェマリア」を自ら作詞したラテン語の典礼文で披露しました。
また、後半は後藤さんがショパンの「ノクターン」をピアノソロで華麗に演奏、続いて星野さんが聖堂を舞台に見立てての「おお幾度か」、「マダムバタフライ」から「ある晴れた日に」を情熱的に演奏、またアンコールでは歌劇「トスカ」から「愛に生き恋に生き」を歌われ、5周年の集いを締めくくるにふさわしい、格調高く、聖堂に響いた素晴らしいコンサートとなりました。
最後に、佐久間洋子事務局長が閉会のあいさつを行いました。なお、この日会場で募金として32,521円が寄せられました。
2010年2月27日