ケミカルピーリングについて
ケミカルピーリングについて教えてください
ピーリングとは果物などの皮を剥くこと。ケミカルつまり化学薬品を用いて、顔の皮を剥くことで、面の皮の厚いやつにききます、というのはうそです。使われる薬品は、グリコール酸、フルーツ酸、サリチル酸などの酸で、これらを塗ると、皮膚の一番外側の角質という部分をはがす作用があり、にきびの出発点である毛穴の詰まりを改善する効果が期待されます。剥がすといっても、二十面相や多羅尾伴内のように、ペロリと皮をむけば下に新しい顔ができているわけではありません。
ピーリングってどうして効果がでるの
そもそもケミカルピーリングの原理は、皮膚に軽い傷害を与えて、その人の体がそれを治そうとする、いわゆる自然治癒力を利用するものです。みなさんは、ちょっとした擦り傷程度の怪我が、化膿せずにきれいに治ったとき、その部分がなんとなく周りの皮膚と比べて、若々しいとか、瑞々しいような感じを持ったことがないでしょうか。つまり、傷が治るとき、フレッシュな皮膚が作られるわけです。ケミカルピーリングの場合は、使用する酸の濃度や施術時間などを変えて、皮膚のどれくらいの深さまで傷害を与えるか調節します。にきびの場合は、一番外側の角質を剥がすのが目的なので、与える傷害も最小限ですみます。施行中少しヒリヒリする程度です。日本皮膚科学会という、日本の皮膚科医の総本山といえる学会で、ケミカルピーリングのガイドラインをだしていますが、2008年発表の第3版でも、にきびに対する治療の選択肢の一つとされています。なお、ピーリングにより、角質が剥がされるため、紫外線の影響を受けやすくなります。ピーリングを行っている方は、日焼け止め(サンスクリーン)はちょっとした外出程度でもこまめに使用してください。
「しみ」「そばかす」などにもいいって言われていますが
残念ながら、ケミカルピーリング単独では、十分な効果は期待できません。皮膚科学会のガイドラインでも、第2版までは、適応のある疾患に挙げられていましたが、いろいろな研究論文を調べた結果、有効であるという十分な根拠がなく現時点では推奨できないということになりました。ただし、角質を剥がすことで、いわゆる「くすみ」は改善されますし、美白剤の皮膚への吸収も良くなることが期待されます。医療機関によっては、ピーリングとイオン導入をセットで行っているところもあるようです(私たちは行っていません)。詳しくは、「しみ」についての項に書きます。
ピーリングは保険が効かないそうですね
日本では、ほとんどあらゆる医療行為(治療)について、それを行っていい病気や症状と費用が事細かに決められています(決めるのはお上です)。これを、保険適応が有るとか、保険で認められているという言い方をします。残念ながら、ケミカルピーリングという医療行為には、行うことが保険で認められている病気がありません。皮膚科学会がいくらにきびに効き目があるといっても、国が認めなければ保険が使えないのです。したがって、自費診療(自由診療)ということになります。
早い話がいったいいくら位掛かるのですか
顔のにきびに軟膏を塗布する治療であれば、保険診療では、3割負担の方で、初診の場合、千円程度でしょうか。薬を処方したり菌の検査をすると数百円増えますが、二千円を超えることはめったにないと思います(薬局で支払う薬代、調剤費は別)。自由診療では、治療費はそれぞれの医療機関によってちがいます。それからもう一つ、混合診療の禁止という問題があります。これは、ある病気の治療を、自由診療で行った場合、保険診療を併せて行ってはいけないというきまりがあるのです。つまり、保険診療で、にきびの塗り薬や飲み薬を処方してもらって、自由診療でピーリングの治療も受けるということが制度上できなくて、薬代なども自費にしなければならないということです。
ですから、いきなり自由診療でピーリングをするのではなく、まず保険でできる治療をしてみて、それで十分な効果がない場合に、費用の点も含めて説明をきかれてから考えられたらよいと思います。