2005年1月初旬。スバルと接近した
「マックホルツ彗星」を狙えっ!


冬の撮影は「ワンチャンス!」ほんの数分の晴れ間を狙うデジタル一眼レフカメラ

ten.的、マックホルツ彗星観望記
 2005年新春。話題はもちろん「マックホルツ彗星(C/2004 Q2)」です。
 昨年2004年の秋ころから見ていますが、その成長ぶりが順調で2005年1月6日の地球最接近後、1月24日に近日点(太陽と一番近づく日)を通過し、地球から遠ざかっていきます。

 その間、1月8日ころにはおうし座のスバル(M45)と接近し、1月20日にはペルセウス座のアルファ星あたりの星数が多い賑やかな所を通過、さらに1月26日には二重星団の近くを通過。その後、周極星(一晩中沈まない星)となって、北の空で楽しませてくれるでしょう。

 私、ten.は、1月7日(金)に「くまんたけ」へ。翌日1月8日(土)は長崎県県民の森天文台駐車場にて「スバルと接近するマックホルツ彗星」を撮影できましたのでご覧下さい。(^^)
1月7日(金曜)17:23

 職場を出て空を見上げる。曇りがちな空は、ところどころに晴れ間があるものの、とても撮影に出る気にはなれない。しかし、今夜はマックホルツ彗星が「スバル(M45・プレアデス星団)」と接近する日。しかも明日は休み。これまで正月休みもなく、明日からの三連休の前日の今夜、チャンスがあれば撮影に出撃と行きたいものだ。

1月7日(金曜)17:58

 空を見上げる。市内の街明かりの中で「オリオン座」がスッキリと見えている。雲量はかなり減って30%くらいか。。。意を決してN草野氏に携帯電話でメールを送信する。

 「いま、撮影の準備中でいそがしい。ああ、車への積み込みよ。設営に時間がかかるし彗星の南中時刻は21時すぎだから、急がなくっちゃ。ああ、行き先はもちろんくまんたけよ。」

 しまった。ヤツは常にぬかりない綿密な準備をする人だということを忘れていた。当然、準備に余念がない時間帯だろう。。。
こちらも急いで帰宅して、一気に車を走らせる。もちろん、くまんたけへっ!走れっ!カロゴン!


1月7日(金曜)21:00

 くまんたけに到着。先に到着しているN草野氏は、撮影システムを組み上げ、もうすぐ撮影開始といったところ。「(俺の赤道儀、これから組み上げるけど) 大丈夫?」と声をかけ、組み上げる。気温は5度くらいか?結構寒い。時間が経過して彗星が西空に傾いても大丈夫なように、駐車場の東側に寄って組み上げた赤道儀。スバルとマックホルツ彗星は天高く輝き、肉眼での確認も容易だ。

 もちろん、肉眼でも見たかったので双眼鏡を出す。天頂に高いものを見るときには対空型の双眼鏡。覗き込む姿勢が楽です。明るく輝く彗星は難なく視野へ導入され、スバルの方向に伸びる彗星の尾(イオンテール)が視野をはみ出している。限りなく淡く細いベールが視野の外に向かって伸びている。

   「こ、これは。。。。。幸せな光景だあ。。。」
   「もちろん、百武第二彗星にはかなわないけど、彗星らしい彗星だね。(^^)」
   「そそ。ひと晩、ゆっくり見える彗星って、あれ(百武彗星)以来だよね。」

 などと話しながら、七輪に火熾しする。柔らかい燈色の炎が暖かい。山の向こうでは木々のざわめく音が聞こえるが、ここではほぼ無風。今夜もくまんたけは穏やか。気温は4度。風は無風。いつものスタイルで色んなレンズを使って楽しみながら、冗談を言い合いながら撮影が続く。

 「そろそろ彗星も西に傾いたね。」
 「なんかお腹が空いたね。」
 「ここは、撮影成功を祝してリンガーハットでチャンポンを食べて帰ろうか。」
 「そうね。どこかのHPの人の分も食べましょうかね。(^^)(祝!リンク:みなみじゅうじ

気温は3度。風は無風。今夜もくまんたけは静かだ。



1月8日(土曜未明)02:30

「ふぅ〜〜(^^)チャンポンうまかった!」
その日の夕方。

1月8日(土曜)18:00


 翌日、どんよりとした天候は、撮影するかどうか悩むところである。雲量はほぼ10。絶望的な天候だ。今夜の観望場所は、長崎県県民の森天文台の駐車場。撮影機材はいつもと同じ「ヒノサワカメラHB120T+高橋製作所P−2z」。慣れ親しんだ愛機。明るいうちに機材を組み上げて少しの晴れ間でも狙える準備をしておく。

 その機材の組み合わせも今夜はちょっと違う。最近、ご一緒している「H高さん」がデジタル一眼レフカメラを所有しているので、ガイド撮影をするために私の赤道儀に同架するのだ。当然、カメラを二台取り付けることが出来るように準備をおこなう。(な、なんて大げさな言い方だろう。。。笑)
                      

二台のカメラを同架された「高橋製作所P−2z」よく見ると、カウンタウェイトが二つ載っている。。。こんな事久しぶりです。


1月8日(土曜)20:30

H高さんが到着し、カメラの同架も完了。あとは晴れるのを待つばかり。空はドン曇り。風は少々。。。寒々とした駐車場で七輪を囲んで話にふける。。。。

突然、H高さんが
「ああっ!晴れていますよっ!!」

おお。確かに。ここで心の中の私が呟く、「落ち着け。まずはカメラレンズのキャップを外すのだ。(笑)」いや、冗談ではないのだ。今までもキャップの外し忘れやモーターのクラッチを締め忘れたなどと、「てきとー精神旺盛」なten.は、数々の失敗をやらかしている。しかし、今夜は違う!私の赤道儀に同架しているのは、これから赤道儀を購入しようと一生懸命な若人の運命を左右するカメラなのだ。今夜の失敗は許されない!!

落ち着け!次はまだセットされていないはずの極軸を素速く正確に合わせるのだ。」

ああ。私のカメラにはフィルムが入っていない。


H高さん、クランプの使い方はこんな風に。それからセットできたら一枚でもいいから、先にシャッター切ってね。」(俺の分まで頼む。。哀願)いそいそと車からフィルムを取り出し、カメラに近づく。

H高さん:「曇っちゃいました。。。。セットしてシャッター押そうとしたら、ダメでした。^^;」

今夜は「ワンチャンスの戦い」になりますよ。次に晴れたら一気に勝負ですっ!気合いを入れましょう。こうして得られた写真が下の写真です。最近のデジタル一眼レフカメラの速写性能を目の当たりにする結果となりました。

ヒノサワカメラによる撮影(135mmレンズ+フジクローム400F)と日高氏所有のNikon D70(85mmレンズ)の画像です。

ま、フィルムだと、こんなもんだな。。。それにしてもデジタルは速写に優れますね。

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 「ワンチャンス!」を活かして、わずか5分露出(日高さんは2分と3分露出)に成功し、見る見る間にどんよりとした雲が空一面を覆ったのを確認した我々は、「ずっと待ってて良かったねっ!!」と互いの健闘を讃えました。!(^^)!

 「さあ。県民の森の駐車場入り口ゲートも閉めなくてはならないし、片づけて帰りましょうか!気分良く帰れるね。^^

ささっ!っと片づけをして、キレイさっぱり車の積み込みが終了しようとしたその時!

突然、H高さんが「ああっ!晴れていますよっ!!」


もう、片づけたっちゅーねん。(;−−)  晴れるんなら「さっさと晴れんかいっ!!(#>_<)

   # 教訓:「マーフィーの法則」は未だに健在である。。。。