6倍×30mmのファインダーは、以前から標準的なファインダーとして永く愛用されてきましたが、最近のカタログには7〜8倍×50mmの、ファインダーとしては比較的大口径なものに変わったり、透明ガラスに赤い点が表示され星空と重ねて見るドットサイトファインダー(等倍)が多くなってきました。
では、6倍×30mmのファインダーはダメなのか?というとそうでもありません。ひとみ径は5mmありますし、視野も標準的な「7°」くらいが確保されています。使い慣れれば軽量で安価(3000〜5000円程度)ですからten.にとってはまだまだ現役です。
丁度、星空撮影架台「ten.11」の極軸望遠鏡に使用するため6×30ファインダーを購入し、8等星前後の明るさの星をつかって極軸を合わせる方法を使っているのですが、明視野照明では8等星は視野の明るさに消えてしまいますし、照明無しでは肝心の十字線が見えません。そこでやはり暗視野照明を作ろうと決意したのですが、ten.が作るものですから「やっぱり安価」です。(笑)
製作の様子をちょっとだけコンテンツにしましたのでご笑読下さい。
1.照明装置の確保
暗視野照明とは、暗い視野内の十字線やスケールのみを照明して十字線やスケールを見易くする方法です。逆に明視野照明は視野全体を明るくし、十字線やスケールを黒い線として浮かび上がらせる方法です。暗い星を見るのであれば暗視野照明装置の方が使いやすいのですが、十字線のみを照明するのが難しいです。
今回、ファインダー内の十字線を照らし出す照明には「高輝度LED」を用いた釣り用のウキを使いました。商品名は「National
BF−893A」という替えトップで、600円程度で市販されています。
2.ファインダーの接眼レンズに穴を空ける。
まず、ファインダーの接眼レンズを取り外して、視野環の位置を確認します。視野環には視野導入用の十字線が張ってありますが、視野環自体が一つのネジになっているので真横から照らすことができません。ちょっと奥に入っているのですが、その位置を確認しておきます。
3.視野環の位置へ向けて穴を空ける。
下の画像、一枚目の位置に視野環が収まっています。その位置から少し離した場所から視野環の十字線中心へ向けてピンバイス(手回しのドリル)で穴を空けていきます。
VIXENのファインダーでは、接眼レンズ外側のこの部分はプラスティックなので容易に穴が空きますが、内部には接眼レンズを押さえるアルミ筒がありますので、途中で視野環とレンズとレンズ押さえ筒に分解し、レンズ押さえ筒単独で穴を空けました。
このピンバイスの先が視野環の位置です。 視野環の中心に向けて穴を空けるのだ。
4.さて?どうやって穴から照明しようか?
その穴から釣り用ウキLEDで十字線を照らす訳ですが、ウキを横に取り付けるのは難しいし、かといって取り外し/取り付けなどをするとウキLEDを無くしそうです。
そこで発見したのがこれですっ!....って、これ(↓)お子ちゃま用の飴ぢゃんっ?
ふっふふ♪(^m^)
そうです!格安の暗視野照明装置を作るためには
見た目を気にしてはいけません。ましてや、スーパーで
お子様達がひしめく「お菓子コーナー」で棒付き飴をひとつだけ握りしめている
ten.の姿を想像してください。
そうです!これです!これが欲しいのですっ!欲しいのは、ここの部分です。
光ファイバーのように光を導くんだっ!頼むぜ飴棒!(照明装置として幸せにしてやるぞ。)
と、いうわけでレイアウト的にはこんな感じでやりたいなぁ。。。。。
接眼レンズ視野環を斜め下から照らして、釣り用ウキ(LED)は鏡筒部分に取り付ける....いや、縛り付ける!さて、飴棒を曲げなきゃいけないみたいです。納まりが悪いと運搬中に外れてしまったり壊れる危険をはらんでいますからね。
5.炎を使って、光を導けっ!
さて、上の画像のようなレイアウトを実現するために透明プラスティックで出来た飴棒をライターなどの炎を使って暖めて成形していきます。「
ボッ。。。。(ライターの音)」シュワシュワ....あ、やべぇ。暖めすぎた!この飴棒はほんの
1〜2秒だけ炎に近づけるだけでグンニャリと曲がります。いや、
曲がりすぎます。遠火でほんの少しだけ近づけて....と、もうちょい曲げなきゃかな?あ、ここんところも少し曲げなきゃならないみたい。。。。
と、いうことで、こんな感じになりました。
微妙なラインは苦労の証(あかし)! ファインダーとファインダー脚に沿って視野環へ。
6.とにかくファインダーに取り付けるんだっ!
プラスティックの飴棒がこのような状態にされてしまった以上、レイアウトを実現するしかありませんっ!どのような形であれ、釣り用ウキ(LED)と飴棒の接続をせねばならないでしょう。そこで用意したのが吸引ポンプに使用しているエアレーション用のゴムパイプ(正確にはシリコン系)です。
とりあえず、今日のところは輪ゴムで止めていますが、後々は結束バンドなどでの固定でよろしいかと考えています。
7.飴棒は幸せになったか?(反省点)
TOPの画像に置いてある十字線は、この「暗視野照明付き6×30ファインダー」の視野を撮像したものです。暗い視野にある十字線を照明して浮かび上がらせるという暗視野照明の本来の姿は「なんとか形に」出来ました。難点を挙げれば、(現段階では)照明装置の光量調整が出来ない状態です。このままで丁度良い光量なのか、それとも明るすぎるかは現地で使っていないのでまだ判りません。
まあ、ten.,の場合は極軸を合わせるだけのホンの少しの時間だけなのでこれでいいのですが、望遠鏡の導入用として使用するのであれば、光量調整の部分をちょっと考えなければなりません。
えっ?ボリュームもついていないのにどうするのか?って?
ん〜〜、もしも暗視野照明が明るすぎの場合ですが、今の時点で考えている調整方法をご紹介します。下の画像はウキのLEDの部分ですが、LEDの頭に
マジックを少しだけ塗ればいいのでは?と考えています。あ、入り込んでいるLEDの頭でななく、
飴棒の断面に塗る方が良いかもしれませんね。
8.見た目を気にしてはいけませんっ!
このように、身近にある材料で改造した「
ten.的、明視野照明装置付き6×30ファインダー」ですが、材料費は
1.釣り用ウキTOP ¥515円
2.棒付き飴 ¥ 50円
購入したのは上記の2点のみで、あとは自宅にあったものを使いました。ここで再度言っておきますが、これだけ格安で出来たのですから、
「見た目を気にしてはいけません!」
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