「ついに!」言いましょうか、ピント合わせに必要な大事な右目に乱視が入ってきました。ひのさわさんちのアストロカメラを使っているうちに、ちょっとした短焦点の望遠鏡に接続する事もあるかもしれないと思っていましたが、一番やっかいなのは、ひのさわさんちのアストロカメラにはファインダーが付いていませんので一眼レフのように「撮影対象が視野内にある」かどうかも判らず、そのピントが確実に合っているかどうかが確認できないことでした。
まず、確認したかったのは、対象が視野内に入っているかどうかです。なるべく視野の中心に撮影対象が導入されていると確信したいのですが、ヒノサワカメラではそれが出来ません。さらに、ヒノサワカメラのボディーは、無限遠のピントが出ている(はず)のマニュアルフォーカスのカメラレンズであれば「∞マーク」に合わせるとピントがでるようになっています。しかし、今後、無限遠の向こうまで回ってしまうオートフォーカスのレンズを使用したり、望遠鏡での直焦点撮影を行ったりすることがあれば、ピントをチェックするための方法を考えなければなりません。
今回は、レンズリヤキャップを利用した「ピントチェッカー」を紹介します。
まず、必要な物は「レンズリヤキャップ」です。Nikonのものはプラスティックですが、安価なのでこれを利用しましょう。
真円ではなく、ちょっと複雑な形になってしまいましたが、「36.5ネジ−31.7接眼アダプター」が入れば大丈夫です。その接眼アダプターは、これです。
VIXEN社の「36.5ネジ−31.7mm接眼アダプター」と穴を空けた「レンズリヤキャップ」に、そのアダプターを取り付けた画像です。
この状態だと、レンズ取り付け面から31.7接眼アダプターの上端までが
「約44mm程」でした(Nikonのフランジバックは46.5mmですから余裕あり。)。スリーブ位置に視野環があるアメリカンサイズの適度な接眼レンズを取り付けて2〜3mm浮かせると概ねピントが合うようです。この状態で直焦点用の接眼部へ取り付けると撮影する対象が確認できます。しかし、これだけだと
撮影用のピントは確認できません。実はピントが合っているように見えても、自分の眼自体が
視度を勝手に調整して正確なピントではないからです。そこで登場するのがナイフエッジです。
ナイフエッジでのピント合わせは、天文雑誌などでよく紹介されているので割愛しようかとも思ったのですが、一応、原理の画像を付けておきましょう。
前ピンはナイフと同じ側から暗くなります。ピントが合うと対物レンズの星の明かりは「ふっ。。。」っと一瞬で消えます。後ピンになると前ピンの逆でナイフの移動方向の逆から暗くなります。
ナイフの位置がそれぞれ「1.」「2.」「3.」にあるとき、接眼レンズを取り付けずに対物レンズを眼で見ます。その時に対物レンズに見える星の明かりはピントが合っていない時には光束はナイフで少しずつ切られるのですが、ピントが合った「2.」ところにナイフを置くと、対物レンズの光が
一瞬で真っ暗になります。事前にナイフの位置をカメラレンズのフランジバック(レンズ取り付け面からフィルム面までの距離)に正確に合わせておけば良いわけです。
さて、その次のパーツはフィルム面に相当する場所へ光束を切るものを置けば良いのですが、適当な物がありません。最終的にはナイフの代わりにアクリル板でも貼り付けようかと考えました。光束を切る位置の調整と見やすさを考えて24.5mmの接眼レンズ「K−12mm」のスリーブ端にエッジを貼り付けた後、「VIXEN31.7mm−24.5mm接眼アダプター」に取り付けてピントが合っているレンズなどで調整します。接眼アダプターのレンズ止めネジは、何かの拍子に不用意に動かさないように
イモネジで固定しました。
イモネジを使って「31.7−24.5mmアダプター」固定された接眼レンズ。イモネジを使うと固定ネジを不用意に弛めてしまうこともなくなり、正確に位置調整したナイフの位置を崩すこともありません(と思っている)。
次は、24.5mm接眼レンズ「K−12」のスリーブ端に取り付けられる「ナイフエッジ状のもの」をつくります。実際に片刃のナイフを取り付けても良いのですが、内部に取り付けるとはいえ暗闇で作業をするときに手を切りそうで危険を感じます。また、鉛筆削りなどの片刃のナイフを24.5mmスリーブの幅に合わせ半月状に削るのも面倒そうです(笑)。と言うことで、ten.はフロッピーディスクケースのアクリルを利用することにしました。薄手のアクリルなら工作も楽ですし、平面性も「まあまあ」でしょう。
フロッピーディスクケースに接眼レンズスリーブの大きさを書き込み、接するようにカッターでアクリルに傷を付けて折るようにして割ります。ジワジワ折り曲げて割るよりも、「せぇ〜のっ!パリッ!」っていう感じで一気に割った方が思った通りに綺麗に割ることができます。余分な所を
爪切りで「パチパチ」と切っていき整形します。
爪切りって便利ですよね。爪を研ぐヤスリで更に綺麗に仕上げましょう。爪もアクリルも堅さは同じくらいですよね。
この円形アクリル板に
「黒マジック」で半分を黒く塗ると、光を通さない部分の端がナイフの変わりのエッジになってくれるのだろうと考えました。あ、使ってみて調子が悪ければ「宛名用タックシール」を上手に切って貼ることも考えています。何より工作が楽で何度でも作れそうです。それでも調子が悪ければ本物のナイフを貼ることにしましょう。
手持ちの180mmレンズに取り付けてみました。ピントチェッカー全体は、こんな感じです。。
l←フランジバック→l
「K−12mm接眼レンズ」のスリーブ端の位置がいわゆる「フィルム面」です。Nikonのレンズリヤキャップを利用することで、望遠鏡の直焦点撮影時にもピント合わせが可能になります。(と、思っています。だって、直焦点撮影機材なんて所持していないので。。。(爆))
今後は、ナイフ位置の微調整を行っていきます。もちろん、まだ作られたばかりですからピントチェッカーとしては使用していません。今後、使用感などを加筆していこうと思います。
というわけで、調整+試運転してみました。
2006.03.25 白木峰にて使ってみる。。。
まずは、予備調整として普段使用しているカメラレンズを使い、ある程度調整しておきました。「ある程度」とは言え、このレンズはヒノサワカメラを使用するときには無限遠に合わせるだけで撮影しているのですから、このレンズで調整をしておけば
当たらずとも遠からずといったところでしょう。
白木峰では、「SKY90」鏡筒をお借りしました。ナイフエッジピントチェック治具に交換して光束を切ってみます。さすがSKY90!アポクロマート屈折ですから、ピントが合うと光束は「一瞬!」で消えてしまいます。ピントが合っていないときにも
はっきりわかります。
あらかじめNikonマウントでピントを合わせた状態でK−12を固定しているイモネジを緩め、光束が一瞬で消える位置へ「抜き差しして」位置調整しました。ナイフエッジピントチェック治具の調整はこれでOKです。念のため、いつも使用している「ヒノサワさんちのアストロカメラHB120T」に付け替えて確認してみました。あらかじめ別に準備しておいた
タックシールで作ったナイフエッジアクリル板をフィルム位置に当てて光束を切ると
こちらも一瞬で真っ暗になります。
つまり、これで
「F氏撮影システム合焦=ナイフエッジピントチェック治具=ヒノサワカメラ」の状態になりました。ここで一度、ドローチューブを前後に動かし、ピント位置を狂わせて、今度はナイフエッジピントチェック治具
のみを使用してのピント合わせを試みます。ピントを合わせたら、フランジバックが同じ「Nikon D70」で確認のため撮影を試みました。以下、その結果です。ピントが分かり易いよう散開星団M44を撮影しました。
(SKY90+フラットレデューサー直焦点、露出時間2分、ノイズリダクション無し)
ピクセル等倍に拡大しました。
これなら
まあまあ使えるでしょう!なんと言っても乱視の眼で「nFM2」のマット面(マイクロプリズム部分)でピントを合わせていた頃と比較すると
すばらしく分かり易いです。さすがにピクセル等倍に拡大するともう少し、極僅か追い込めそうな気がしますが、これなら大丈夫だと確信しました。
一番心配されたのは、アクリルに油性マジックで塗布された「エッジ」が使えるか使えないかと言うことでしたが、アクリルに塗るときに境目が散って(滲んで)いなかったので、(まあまあ)使えました。今回の工作は、
市販のパーツと工作しやすいFDケースの
アクリルやプラスティックのレンズキャップを利用することで比較的
簡単に自作出来るので興味のある方は頑張ってみて下さいね。
ちなみに「エッジ」部分を宛名用タックシールで作る場合、エッジ部分をカッターで切るときに、なるべく斜めにカッターの刃を寝かせて切るようにすると、結構使える「紙のエッジ」が出来上がります。(タックシールを用いたエッジは、ヒノサワカメラのフィルム位置確認用に作ってみました。これもキチンと切れましたので
効果のほどは確認済みです。)
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