2006.11.9(木)見逃せば26年後.... 
水星日面通過を見たぁ〜!!


せっかく仕事が休みだから「見逃したくない」の一心で出撃!の巻

ten.的、水星日面通過観望記
まえがき

 前回の2003年5月7日に起きた水星日面通過の時には、職場に休暇まで出したのに「雨」で見る事が出来ませんでした。あれから3年半。その間に「2004.6.8 金星日面通過」を見る事が出来て喜びましたが、水星日面通過もやっぱり見たいです!前日の天候は晴れ間と雲が半々。徐々に湿度が上がりつつあり、なんだか文字通り「雲行きが怪しい」天候になってきました。でも、今回を逃すと日本で見る事が出来る水星日面通過は26年後の2032年11月13日となります。「おぃおぃ、そんなに待てるかよぉ〜!」ほんのわずかでもイイから「とにかく雲の切れ間が欲しい。」(金星日面通過の時にも言ったような....。)(;^^)

 雲の動きを気にしながら「観望+お手軽撮影」を目論んだいきあたりばったりの観望記をご紹介します。
 機材を紹介します。

 今回の機材は、相棒「P−2z」とビクセン「FL70S」です。もちろん鏡筒先端には「バーダープラネタリウム製のソーラーフィルター」を装着しています。このフィルタは、太陽の光を10万分の一に減光しますので、安全に観望出来ます。

 フィルターはフードの中に収まるように作りました。もちろんファインダーにも忘れません。
(忘れると十字線が燃えて切れますから。)
  【・・・・前日11月8日】


仕事が終わったten.は機材調達のために実家に赴く。そう!2004年金星日面通過の時に使ったバーダープラネタリウム製アストロソーラーフィルターの切れっ端が残っていたのを思い出して取りに行ったのです。「明日、天気大丈夫やろか?ちょっと雲が多くてやばいんじゃ?」とは思いつつも準備の無いまま不戦敗はいやだ。これから自宅に帰って鏡筒セルを測り、フードの内寸を測ったあとに厚紙工作をするのだ。

きっと晴れる。きっと晴れる。きっと晴れる。きっと晴れる!!

念仏のように唱えながらソーラーフィルターのセルを作る。

できた!(^O^)/


ん。。。。フィルターの切れっ端が残っている。対物レンズには使えないくらいの小さな銀紙。千代紙よりも小さいわぃ。

 そうだ!ファインダー用を作ろう。金星日面通過の時にはファインダー用のフィルターが無くて導入に苦労したのを思い出しました。使う広さはφ30mmくらいだし、残りを見ると「こりゃ、丁度良いわい」

こうして、一番重要な太陽の減光対策が終了しました。@前夜22時30分
 現地に到着したのは午前2時。ん?ちょっと早すぎるのでは?と思われた方も多いと思います。そう、未明〜日の出の現象ですから朝が早いのです。ten.は寝落ち+寝坊を防ぐために「現地就寝!即、観望!」を実践したのです。これなら遅刻は無いでしょう。なにしろ「即、観望」ですから。(;^^)


 就寝の準備も整い、目覚まし用に電波時計を持参しています。起床時刻のセットは「5時20分」。長崎の日の出は6時44分ですから一時間以上の余裕をもっています。これなら赤道儀のセットも充分に時間があります。気をつけなければならないのは極軸のセッティングは薄明時までに終了させておく事です。1998年春頃に出現した「ヘール・ボップ彗星」の時には出撃→組立→撮影→撤収→そのまま仕事へ出勤というハードな事をやっていました。当時、組立開始から20分で撮影に取りかかれるように訓練したものです。(ああ、懐かしい)そのころを思い出せば
「6時直前に起きても余裕のヨッチャンさっ!」なんて不届きな事を考えてしまいます。(←あとでこの余裕が命取りになる。)



 就寝時刻は午前2時45分。「3時間弱も眠れるじゃん。」と思いつつも、もしも寝過ごした事を考えて携帯電話のアラームを5時45分に設定。呼び出し音はにぎやかな「ルパン三世」に。(;^^)

 ・・・・・。Zzz。。。...(;−−)


 その「もしも....。」が起きてしまいました。

チャラッ!チャッチャッチャラ〜♪ルパン the thir〜d!真っ赤な〜薔ぁ〜薇はぁ〜♪

 やべぇ〜〜!!機材を一気に組み立てなきゃ。東の空が赤く染まっているぅ〜〜〜

「いやいや、落ち着け。。。キチンと組み上げるんだ。なぁに、ヘール・ボップ彗星の頃に比べりゃ余裕のヨッチャンさ。」20分後には西空高くに残る月を眺めてピント調整してるのさ。「ふっ。やっぱり使い慣れた機材はいいもんだ。」なんて考えながら、三脚運搬し、赤道儀のプラBOXを運搬し、機材道具を「エッチラ・オッチラ」運んでしまいます。


そこで気付いたッ!


明るくなっていくのが速い!このまま20分で組み上げても、そのころには北極星が見えずに極軸合わせが出来ないかも?!!!


「ふんぬぅ〜〜〜!!急げぇ〜〜ポラリスが消えるぞぉ〜〜!!」
「いや、落ち着け。。。つまらぬチョンボをして機材を倒したら元の木阿弥だ。」
「いや、空がかなり明るい!青空になってきた!やばい〜〜やっぱり急げぇっ!」


我が相棒「P−2z」を組み上げて、「さぁ、次は....っ!」と上を見ると....。 なぬぅ〜!雲が湧いているっ!!何も見えんバイ...。

 事もあろうか、望遠鏡のセットを終えて、これから極軸のセッティングをしようとした矢先に辺り一面に雲が貼っています。動きも速いし低空の雲です。この辺り一帯のみに湧いている雲のようです。


 某雑誌の星空川柳に「セッティング する間に雲も セッティング」なんてのがありましたが、まったくそのとおりです。極軸望遠鏡の中を覗いても青空っぽい雲っぽい色で何も見えません、ときおり、残像のように「チラッ」っと光るものがあるような気がしますが、もしかすると北極星かもしれません(と、言うくらい見えません)。これもひとえに「現地就寝!即、観望!」なんて余裕のヨッチャンしたから余裕のあるセッティングができないのですよ。自分のせいです。
「現地就寝!朝、寝坊!」になってしまいました。(爆)


    


   突然、パッ!っと雲が切れて北極星を完璧に認識。なんとか6時15分に青空の中の北極星でセッティングを終了し、事なきを得ました。

    # 三脚を出来るだけ正確に水平出しを行い、いざというときのためのコンパス(方位磁針)で
    # 偏角補正した上で、極軸の方位を出して極軸望遠鏡を覗いたところ「ポツン....。」と
    # 北極星が見えました。使い慣れた機材だと毎回同じような設置の仕方を行いますので
    # 極軸の高度調整もほとんど要りませんでした。こうやって機材の信頼性が増していくのですね。
星を見ようよ(^^)/に戻る  BACK
 雲の流れが速いです。

大村湾に光が戻ってきます。

太陽が出る前におおまかなピント確認と
倍率の調整・ズーミングの感覚を養っておきます。

(月と太陽は、ほぼ同じ大きさだし。^^)
やっと日の出です!雲を通して撮影していますので2枚の画像はフィルター無しの状態です。

   もちろん、この直後にフィルターを装着しました。眩しいのなんのって!
う〜ん。。。。大気の揺らぎでドヨドヨっとしている。
いくらかマシになってきました。 (07h00m撮像)
むっ!下の方に黒点が。こりゃ、水星本体よりもデカイではないか!

途中、いくらか休憩を入れながら撮像していきます。だいだい色の太陽が白銀に変わっていくのを見ながら、巨大黒点や水星本体をまったりと観望していました。
すこしづつ動いていく様子が分かります。(左:07h56m撮像、右:08h01m撮像)
わずか7分間での動きが判りますでしょうか?


そうそう!携帯電話でも撮像したんですよ。(^^)
結構写るものです。元画像では黒点の半暗部も写っています。(^^)
  07h38m docomo P900iにて撮像

 と、ここへ来ていきなり曇ってしまいました。南南西の風に乗ってネズミ色の雲が流れてきました。湿度も幾分か上昇した雰囲気もありますし、太陽面の空気の揺らぎがひどくなりました。黒点もブヨブヨした状態になり粒状斑も見えません。あらまあ〜しかたないねぇ。水星本体を見る事が出来てよかったです。

 もうすぐ9時になろうとしているのに一向に晴れる気配がありません。雲は相変わらず南南西からどんどんと流れてきます。ときおり明るくなりかけるのですが、雲の流れが丁度太陽のところと一致しているようで、見えそうで見えないやきもきした気分です。

 第三接触の時刻は09h08m42sということですから、あと10分もしないうちに第三接触が始まり、09h10h35sに第四接触で水星日面通過終了!です。ten.はこれからの10分の間、決して諦めることなく望遠鏡の側にいて、片時も手からデジカメを離さず千載一遇のチャンスを待つ事にしました。

残り時間もあとわずかになった09h06m
いきなりあたりに陽が差し、接眼レンズが光りました!「水星は!?おぉ〜!縁にかなり近くなっているぞぉ〜。第三接触直前です。
09h06m 水星は、ここからたったの2分しかかからずに一気に太陽の縁まで突き進みます。。あ、でも、また曇りました。でもチャンスを待ちます。
晴れ間、きたっ!!    09h10m 第三接触しました。
うぉぉ〜〜潜り込んでいくぅ〜!

09h11m撮像。


あぁ〜〜〜!!!またくもったぁ。。。。(;−−)

 今、まさに水星が太陽の前から過ぎ去ろうとしている瞬間を肉眼とカメラに収める事ができました。このコマを最後に太陽の光は接眼レンズを通る事はなく、電波時計が第四接触の時刻を表示しました。

この時点で、今回の水星日面通過という現象が終了しました。

 残念ながら第四接触は曇って見えませんでしたが、もしも晴れてその時刻を迎えたとしても目の前を通る水蒸気によってシーイングが悪かったので、水星が太陽を抜け出る瞬間(=第四接触)を視認する事は出来なかったのではないかな?と感じました。

 09h08mの太陽の中から外に向けてどんどんと水星が動いているのがわかったときにはかなり感動しましたよ。

 最後の最後まで諦めずに見続けてよかった。。。。




 ふと気付くと3メートルほど先で湯気が見えました。08h過ぎからの曇っている間に火熾ししていた七輪がお湯を沸かせてくれています。これは「お祝い」しなければ。(笑)

 お腹が空いたときに食べようと持ってきていた「どん兵衛@肉うどん」で心も体も温まりましょう!いやいや、普段から食べているのに今日は格別に美味いっす。

 

                「どん兵衛肉うどん」と、愛用の「七輪」

  いやあ〜なんとかなりましたねぇ〜。08hからの一時間近くの間、曇ってしまった時はどうなるのかと思われましたが、「晴れるときには晴れるし、曇ったときには仕方なし!しかし、出来る限りの事をして楽しもう」と腹をくくった瞬間に全てが始まった気がします。終了間際のヤキモキした気持ちや結果的に最後の最後に晴れてくれて一瞬一瞬が面白かったです。


  そういえば。。。。「現地就寝!朝、寝坊」 以外のトラブルはありませんでしたねぇ。
  いつもなら機材不具合ネタでぶっ飛ぶのに。(微笑)



   水星日面通過〜〜楽しかったぞぉ〜ありがとーっ!