「パソコン奮闘記」 

PartW 「パソコンはどうなる?」



再びワープロ

「ヨッシャー 頑張るぞ!」と思いながら、パソコンにインストールされている「Word、Excel、Access」のどれから取り掛かろうか。Wordはワープロの代替品なので面白くない。Accessは私のような素人には荷が重い。そういう訳で、まずはExcelの操作をマスターしようと思った。こうして、簡単な計算表やグラフ作成などできるようになった頃(平成7年4月)、私は人事異動により部署が変わった。当然、その団体の事務担当も離れ、同時にその先輩によるマンツーマンのパソコン指導も終了することとなった。

さて、当時の私は入社9年目で中堅に近いクラスであるが、配属先(管理部署)では全くの新人である。まずは自分の仕事を覚えるほうが先だ。その部署では、事務的な案内文や会議資料、挨拶文などを作る機会が多く、表計算ソフトよりもワープロソフトの方が利用頻度が高い。

仮に、パソコンが私の机(近く)にあったならば、これまでワープロで作成された文書を「テキストコンバータソフト」で変換し加工したり、最初からパソコンで作成できるだろう。ところが、私の机の横には「ワープロ」がある。その部署の仕事に限って言えば、わざわざ席を立って、しかも慣れない「Word」で文書を打たなくとも、机の横のワープロを使用したほうが時間的なロスもない。

本気で、パソコンを利用しようと考えるのならば、文書等の作成は昼休みや時間外を利用してやるしかない。私はそこまでの覚悟が無かったのだろう、再びワープロに逆戻りである。


●オフコンの入れ替え

さて、当時の会社には、先輩が持ち込んだパソコンに加え、平成7年初めに導入したパソコンがある。その持ち込まれたパソコンは、青年団体の名義になっており、ましてや担当を離れた私は使いにくい。最初に導入したデスク型パソコン(MS-DOS版:5インチフロッピー)は、お蔵入りして稼動していない。結局、自由に使えるパソコンは1台だけだ。

一方、ワープロはポータブル型を中心に導入が進み、3人に1台ほどの数にまで増加している。本来ならば、「ワープロを入れるくらいならパソコンを!」と言いたいところだが、なにせ値段が大幅に違いすぎる(当時はワープロ1台が10万円超、パソコンが50万円超)。
また、パソコンの利用価値を私を含め社員が未だ良く理解していない。

そうした中、基幹業務を処理してきた「オフコン」の入れ替え問題が出てきた。導入後12年も経過し、ハード(サーバー1台、端末5台)の老朽化はもちろん、ソフトもほとんど改良していない。その入れ替えは誰が担当するのだろう。社内には情報系の部署はもちろん無い。ある日、その担当の件で上司に尋ねたところ、「私にせよ」との指令が下った。素人の私には荷が重すぎると思ったが、業務命令ともなればやるしかない。

幸いにも、この入れ替え問題については、上司や後輩などが企業視察を行うなどして、ある程度研究されており、その下地はできている。さらに、一番苦労する導入予算もすでに承認されている。操作上不都合な点を変更し、新しい機種に入れ替えれるだけだ。ほとんど業者に任せれば良い。


パソコンはどうなる?

果してそれで良いのだろうか? その当時、1台のサーバーで「基幹業務と情報系業務」を併用するシステム構成(端末はパソコン)を導入する企業が増え始めていたのである。それを採用しなくて良いのだろうか?との疑問が生じてきた。

ところが、業者によると、その様なシステム構成(情報系はWindows.NT)で導入した事例はあるが、今一つ信頼性がなく保証しがたいとの弱気な返事である。私はシステムに詳しくないので、その言葉を信頼するしかなかった。仮に、コンピュータ関係に詳しい社員が数名いたならば、今どのようなシステム構成になっているのだろう。今でも当時を振り返りそう思うのである。

結果的に、サーバー1台と、オフコン端末5台を入れ替えるだけのシステム構成に落ち着こうとしていた。しかし、例え転んだとしても、ただでは起きたくない。

まず、導入予定の端末1台をパソコン機能を持つ機種(Windows.3.1:Word、Excelインストール済み)に変更した。これで、パソコンが1台増えたことになる。
そして、オフコン端末で行っている基幹業務の操作を既存のパソコンでできるような構成にした。これで、オフコン端末が1台増えたことになる。
さらに、オフコンで管理している得意先データをパソコンにダウンロード゙して加工できるようなソフト(SKYLINK)も導入した。これで、基幹業務との連携が図ることができる。

すなわち、「パソコン機能をもったオフコン端末」と「オフコン機能をもったパソコン」が登場したのである。「本当は、こんなシステムにしたかった」と願う担当者としての意地だったのかもしれない。(当時は、データの共有というネットワークの重要性までは理解していなかったが・・・)

このオフコン入れ替え問題は、平成8年3月に無事終了したが、なぜか気分的に後味が悪い。情報機器の予算を使い果たしたため、パソコンの台数が増加しなかったからだ。一方、世間では、ものすごい勢いでパソコンの普及率が増えている。これで良かったのだろうか? そう思いながらも、私はというと相変わらずワープロを使用している。

パソコン導入までは、まだまだ遠い道程である。