すごい笑顔

 

  どうしても頭が痛くて起きれなかった。
 筋肉が無くなった首や肩を酷使した時にたまにおそってくる頭痛だった。
 本来であれば、今日は、息子が大好きな「デカレンジャー・ショー」を家族全員で見に行く予定であったが、「お父さんはちょっと頭が痛いからお母さんと行っておいで」と言って、僕一人が家に残ることにした。
 こんな時、一人で家に居るといろんな事を考えてしまう。
「もしかしたら近い将来、体が動かなくなって、こんな感じでもう家族とは一緒に遊びに行けなくなるのではないか?」

 布団にいると気が滅入ってきたのでパソコンに向かって”我信勝鍛”の原稿を作ることにしたが一向に気分は晴れなかった。

 数時間後、子ども達が帰ってきて、開口一番「お父さん病気良くなった?」と言った。
「子どもの笑顔を見るとお父さんは元気になるよ」と答えると、息子はニコっとして「これ?」と笑顔を創った。うれしくなって息子を抱きしめると、まだしゃべれない娘もニコっと 笑顔を創りながら僕を抱きしめてくれた。

 気がつくと、僕の中にあった弱音は頭痛とともに、もう、どこかに消えていた。

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