明るくなって

 

 僕は定期的に病院に行って薬をもらっている。
 そんなに効果があるとは言われていないが気持ちの問題。

 というわけで、今日も仕事を早退して病院に行った。
 医者の話によると、「もし、定期的な検査の結果、症状がある程度悪化していると判断されてしまうと”特定疾患”の認定からはずされてしまい、薬も貰えなくなる」らしい。

 だから、いつも急に電話をして検診を受けずに薬だけもらうようにしていたが、今日は運悪く医者の都合が合ってしまい、検診を受けることになった。

 病院に行く足取りが重くなった。

 病院には16:30頃着いたが、クリスマスイブの夕方は看護婦さんもそわそわしている。
 待っている客もいなかったが、担当医が「待ってました」とばかりに出迎えてくれた。

 しかし、担当医にこんな話をされ驚いた。
「実は、先日、いくつかの病院を回ってきた人がこの病院に来て最終的にあなたと同じ病気と診断され落ち込んでいたが、”同じ病気を診断され3年経っても車を自分で運転して病院に来ている”あなたの話をしたら、明るくなってくれた。助かりましたよ。」

 自分のために日々がんばっているつもりが、いつの間にか、同じ病気で苦しんでいる人の役に立っていたことがわかり、なんだかうれしくなった。

 でも、その人も「その病気が治った人がいる」という話を聞いた方がもっと明るい表情になるに違いない。
 いや、その人だけでなく、もっともっとたくさんの人が笑顔になってくれるに違いない。

 なんだか、生きていることが、毎日「病気治れ」と祈っていることが楽しくなってきた。

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