上司への提案

  「自分の10の力を50にできる人」と「自分の1の力を5にしかできないが、10の力の人たちを20にしようとする努力する人」

 いったいどっちが偉いのだろうか?

 今の職場に勤務して1年が経ち、「こんな僕でも、何か職場に貢献できることはあるはず」と思い、1年かけて”職場の現状”とそれに基づく”改善策”を作成し、それを上司に提案することにした。

 元気な頃の僕であれば、何も迷わずに、まず自分が率先して取り組んで「50の力」にして「みんなも同じようにすべきだ」と息巻いていたはずだ。

 しかし、自分の事務作業能力が他の人の1/10しかなく、どんなにがんばっても追いつけない現状に置かれた場合、「”与えられた仕事もろくにできないくせに何を言ってんだ”と思われるのではないか?」と考えてしまい、どうしても、上司に提案することをためらってしまう。

 なぜ、こんな事を考えてしまうのだろうか?

 もしかしたら、僕自身が「ハンディキャップを持っている人」を差別しているのではないだろうか?

 そういえば、昔は、自分が思っていることを理解してもらえないと「なぜこんなこともわからないんだ?」と思っていたような気がする。

 「自分が抱えている問題は、自分の中にある”壁の高さ”によって、その大小が決まる」

 理屈ではわかっていてもなかなかその壁の高さを低くすることができない。

 でも、何もしないと何も変わらない。
 そう思って約1ヶ月悩んだ末、今日、改善案を上司に提出した。

 この職場の上司はほとんど「その道20年以上」の人たちで占めており、これからもこの職場にいるであろう彼らに「これまで築いてきた”やり方”」を見直してもらうことは容易ではない。
 それに、「そんなに言うんだったら、まず、与えられた事務を全部一人でやって見ろ」と言われるような気がして、”提案した”ことによって、”自分の中にある壁”が低くなったとはとても思えない。

 しかし、提案したからには、その内容の善し悪しがわかるまではとことん闘ってみよう。
 そう、心に決めた。

 戻る