政策と研修

  この自治体では、平成15年度に入庁した職員から、新規研修の一環として政策提案書を全員に作成させて、部長に直接プレゼンテーションをさせている。
 しかも、「私の提案に関係のある部長にプレゼンテーションさせてほしい」と要望する職員もおり、実に頼もしい限りだ。
 僕も、去年、この地域の観光振興の一助となりたいと思って、知事と副知事の前で政策のプレゼンテーションをしたこともあり、このやる気に満ちた職員の気持ちもわかるし、この研修も一見有意義であるように思った。

 しかし、この新規研修の担当部署から「力作ぞろいですので、みなさんぜひご覧ください。」という趣旨の連絡があり、がっかりした。

 この担当部署は、「政策とは何か?」「研修とは何か?」ということを全く理解していない。

 ”政策”とは「振興のため策」であり、その評価には美術品のような”力作”などはなく、有効であれば「即事業化」されるべきである。
 そして、その政策に不十分なところがあればそこを指摘してあげること、これが”研修”である。

 ただ「○○をしました」という形だけの茶番ではとても職員の意識改革はできない。
 いや、それどころか、若い職員に対し「公務員というところは上司の言うとおりに資料を作っていれば結果はどうでも良い」という従来の”公務員の発想”を植え付けることになりかねない。

 さて、我々がプレゼンテーションした政策提案についても一言。
 昨年の12/28の仕事納め式の時、知事が「今回提案を受けたものは各課におろしている。実現できるものについては予算化を考えていきたいと思う」と言われた。
 プレゼンテーションをしたのが11/8であったことから「もう各課の意見を聞けるはず」と思い、その日のうちに関係課に行った。
 しかし、関係課からは「そんな話は今までなかった。今日の”仕事納め”の時の知事の話を聞いて、今、急いで資料収集を行っている」とのこと。
 もともと僕らが参加した”政策提案@プロジェクトA”は、横断的なチームを構成し、そこで事業化できる政策を構築することが目的であったはずなのに・・・
 このプロジェクトの担当部署は、この”プロジェクトの目的”や”知事の指示”を無視していたのだろうか?

 もしかしたら、”新規研修”も我々が参加した”政策提案@プロジェクトA”の担当部署も全て”人事課”の中にあることが、従来の”公務員の発想”を打破できない根元であるのかも知れない。

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