プロ意識

  ALSと診断されて以来、月に一度血液検査を受けているのだが、ここ数ヶ月の間、CPKという項目の数値が高く、医師から「無理をしてはいけないよ」と言われている。
 このCPKは、激しい運動によって筋肉を酷使した時に高くなるそうだ。
 「少ない筋肉にもかかわらずがんばって使っている」という事の裏返しであろうが、仕事場では、その”がんばり”の結果が「他の職員の事務作業の量の1/10にも満たない」のだから複雑な心境だ。

 ところで、先日から「職場や事務の改善案」を上司に提案していたが、その中でも”去年の2月から提案していた内容”がやっと採用される見通しとなった。

 「1年がかりでやっと1つ改善された」といううれしさがある一方で、「事務手続き上で問題があり住民からも苦情があった内容」の改善に1年もかかったことに素直に喜べない自分がいた。

 こんな状況だと、「お昼休みの窓口当番をしている人は、昼食は窓口当番が終わった後の休憩時間に取るべきではないか?」という改善案などは、住民から「昼休みに対応してもらってすいませんね」と恐縮されることもあることから導入は何年も先になるかもしれない。
 ましてや、「定期的に職場内の打ち合わせをして情報の共有化や改善策を検討する」といった「真の意味でも事務改善」などは、検討さえしてもらえない可能性もある。

 もちろん、上司が検討してくれるのを待ってばかりいるわけではなく、「毎日のようにお酒のにおいをさせて出勤してくる人」や「昼休みに来客の待合席のソファーで寝ている人」に対する事項など「明らかに住民に不快感を与えること」は、「もし上司の方がすぐに改善させないのであれば人事課に直接相談します」と宣戦布告をしたケースもある。

 とはいうものの、自分の事務作業を代わりにしていただいて人たちに意見を言うのが心苦しくなるのも事実。

 しかし、少なくとも元気になるまでの間は、事務作業が人並みにできない以上、他の職員の能力を0.1でも向上させることが、僕が”プロの公務員”として給料分の仕事をしていく唯一の方法のように思える。

  「プロ意識」
 どんな状況に置かれようとも、給料をもらっている以上は、その意識だけは忘れずに仕事に取り組みたいと思っている。

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