花見

  昨日、夕方から2人のおばあちゃんを誘って桜を見に行った。

 風が多少あったことも手伝って、時折見せる見事な”桜吹雪”に、「お〜」という歓声を上げながら、ちょっと早い夕食をみんなで食べた。

 そして、食事を済ませると、子ども達の世話はおばあちゃん達に任せて、風の音に子ども達のはしゃぐ声、それに宴会の歌声を聞きながら、仰向けに転がって夕焼けに照らされている桜を見ていた。

 そして、そばでお弁当の片づけをしていたパートナーにこんな事を言った。

「1年前、ここに来たとき、”来年も来れるかな?”と言っていたような気がしたけど、また来れたね〜」

「・・・そうね。」

「しかも、危なげではあったけど、僕が運転して来れたね。来年も来れるかな?」

「・・・そういえば、あなたが病気の症状を初めて口にしてからもう4年と4が月が過ぎたね。もう、”元気なあなた”と過ごした時間よりも長くなるね。」

「今のうちに、”元気じゃない僕との時間”を大事にしておきなよ。いずれ、病気が治ったら”元気な僕との時間”しか体験できないよ。」

 つまらない会話だったが、僕にとっては、ここ数年味わっていない?”夫婦の温かいやりとり”のような気がして、なんだか楽しかった。

 しかし、今の僕には、実のところ、1年後のことを考える余裕はない。

 ただ、毎日、「明日は今日より元気でいますように」と祈っているだけだ。

 でも、それが続けられた結果として、また、ここの桜を”僕の安全運転”で見に来ることができたら 、こんなにうれしいことはない。

 やっぱり、病気は、治した方が楽しい時間が多そうだなあ。

 明日から、また、がんばろう、っと。

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