事故、再び

  昨日起こった”いろんなこと”についてちょっとだけ。

 僕は、指が自由に動いていた頃、「家族で音楽をやりたい。まずは僕から何か始めよう」と思い、音色がとても好きだったオカリナの練習をしていた。

 そのささやかな夢を「子どもに託したい」と思い、1年ほど前、長男をピアノの個人レッスンに連れて行ったことがあったが、子どもの「その気がない」気持ちがとても伝わってきたため通わせることを断念した。

 そして、昨日、今度は「音楽教室」に連れて行ってみたところ、とてもその教室を気に入ったため、しばらく通わせることにした。

 「家族全員」という夢が叶うかどうかはわからないが、長男がピアノに興味を持ってくれたことがなんだかうれしくてしかたがなかった。

 その嬉しい気持ちは夕方まで続き、長男に「お父さんに見せたいものがあるので外に行こうよ」とせかされ、少し気を緩めながら玄関を出たところ、長男に手を引っ張られてバランスを崩してしまい、ころんでしまった。
 そして、目の前の”段差のあるレンガ”で頭と顔をぶつけてしまった。

 すぐに、頭から血が出ているのはわかった。

 でも、思うように筋肉が動かないため身動きが取れない。

 空を見ながら「もう、いいよ。勘弁してよ。楽にしてよ」と思っていた。

 しかし、子ども達が、”大丈夫?といった顔”をして僕の顔をのぞき込んでいたことに気づき、我に返って、長男に「お母さんを呼んできて」とお願いしたところ、迅速に呼びに行ってまた戻ってきてくれた。
 そこで、娘が、ボーと僕を見ていたので、「○○(娘)を家の中に連れて行ってくれないか?」とお願いしたところ「わかった」と言って娘の手を引いて玄関まで戻っていった。
 そして、子ども達と交代した形でパートナーが出てきて、僕の状態を見てすぐに救急車を呼んでくれた。

 5分ぐらいすると、救急車のサイレンの音が聞こえ始めたとき、玄関口から「お父さん、もう救急車が来るからね」という声がした。

 「3歳の子がここまでしてくれたのに34歳の大人が音を上げるわけにはいかない」
 そんな気持ちで救急車に乗った。

 その後、救急病院で3針縫い、子どもを預けている親戚の家に行った。

 その家に行くと、2人の子どもが出迎えに来てくれた。

 しかし、長男は僕の手を引っ張ることを拒み、娘は”長男が部屋でころんだだけ”で泣き始め、その夜も何度も泣き出しては目を覚ましていた。そこで、「ほら、お父さんはこんなに元気だよ」と元気な振りをすると、やっと寝付いてくれた。

 今回の事故は、3針縫ったあげく、根本まで折れた歯が1本、深くまでひびが入った歯が1本、大きめの絆創膏が顔に2カ所と手のひらに1カ所、両膝と右肘が強打によって思うように動かなくなっているなど、肉体的にも結構つらい。
 その上、5回もこけたショックにより、「またこけるに違いない」という気持ちが、その状況をフラッシュバックするたびに起こってくる。

 そして、何よりも、「精神的に大きな支えになっていた子ども達」に大きな心配を掛けてしまったことが、何よりも辛かった。

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