新採への手紙

  昨日、今年採用された20名の新規採用の方を紹介する組合紙を読み、今日、以下のようなメールを送った。

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 平成17年に採用されたみなさま。
 はじめまして。
 突然、メールをしてしまい、申し訳ございません。
・・・・・(自己紹介)。

 続きまして、本題である「みなさまのご意見」について、箇条書きでお聞きいたします。
(但し、ご意見を頂く時は「経験がある人の方が現状を把握していない場合」も多々ありますので、「経験がないから・・・」という前書きは要りません。)

◆事業への取り組み方
 県はいろんな事業を行っていますが、それが「県民のためになったか?」は考えずに、
ただ「事業を行った」という達成感だけを満喫する職員が非常に多いのが現実です。
 なぜ、そのようになってしまうのか?
 それは、
・本庁を中心に、資料作成に時間を取られて政策・立案にあまり時間を割くことができない。
・まわりから「別に仕事を増やしてまでそんなことしなくても・・・」と言われる。
・「○○をやっています」という上司や県民への「アリバイ作り」ばかり行って、「真の意味でのニーズを調査し、それにあった事業の改善」は余り評価されない。

 最初に、どんなによい発想を出したとしても、「やりっ放し」では無く、常に(偽りではない)市場のニーズを調査して改善しないと、その事業は、なんら効果をもたらさないものになることは、みなさんの経験(営業や受験勉強など)から周知の通りだと思います。

 僕は、何人かの”民間企業からの採用者”を知っていますが、1年もすれば、ほとんどの人が「公務員的手法」になってしまっています。
 「朱に交われば赤くなる」ように、大勢の公務員の発想を持っている上司の中に1人の民間人がいても状況を改善することなどできません。
 みなさんには、「そんな職員には成ってほしく無いなあ」って思っていますが、いかがですか?

◆僕を含め、ほとんどの人が、入庁当時は「県の発展のために頑張りたい」と思っています。
 しかし、その多くは、時間とともに「昔はそう思っていたが、今はね〜」という感じです。
 それは、なぜか?
・県民のことを考えなくても「上司の意向」に反しなければ出世ができる。
・県民のことを一生懸命考えても「上司が今まで県民の視線で仕事をしていなかった」場合には、反感を買ってしまい、結果、「少しの失敗で非難される」息苦しい雰囲気になる。
・県民のことをあまり考えなくても、普通に出勤していれば、いずれ、年収700万円ぐらいはもらえるようになる。

 つまり、「県民のことをあまり考えなくても」出世ができ、かつ、安定した収入を得る事ができる環境がもたらす「当然の結果」だと思うのですが、みなさんはこのような環境でも、初心を忘れることなく頑張っていく自信はありますか?

 少しショッキングなことを書いたかもしれません。

 実は、入庁5年ぐらい経った人が、「毎日議会資料作りなどに追われて大変だが、毎日が充実して楽しい」と言っていました。
 でも、本来、公務員は資料作りに満足するのではなく「県民のための事業の立案・実施」に全力を注ぎ、県民から「ありがとう」と言われて満足すべきだと思っています。

 ですから、もし、このメールを読んで、「何を言うか!僕(私)は、上司のためではなく、県民のために仕事をしてみせる」と熱く思われた方は、あと、10年でいいので、僕が言ったことを心の片隅にとどめていただけたらうれしいなあ、と思います。
 そして、そのような人たちが10名以上いたとしたら、あなた達が幹部になる頃、この県は歴史に残るような「想像を絶する発展」を遂げることと思います。

 それでは、そんな世の中になることを夢見ながら、僕は「僕の道」を前向きに走っていきたいと思います。

P.S.本当は、「直接話をしてみたい」が本音ですが、調整をするのが大変だと思い、このよううなメールをしてしまいました。

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 もし、僕が健康であれば、決してこのようなメールは送らずに、僕自身が「想像を絶する発展」を遂げるための努力していたと思う。

 しかし、このような病気を患ってしまい、少なくとも現状では僕は余り役に立たない。

 それに、病気を克服した後も、全国や世界中で難病に苦しんでいる人たちがいることがわかった以上、まずは彼らのために力を注ぎたい。
 治癒力の向上による治療法の確立の他にも、例えば、日本で適用が認められていない薬の導入に向けた働きかけなど、しなければいけないことがたくさんある。

 僕は、今後、福祉分野の向上に全力投球する。

 そして、これらの”福祉環境の向上”に必要不可欠な経済発展については、他の若い職員の方達に託したい。

 厳しい役割かも知れないが、”今年選ばれた20人”が、”志を同じくする先輩達”と一致団結して困難を克服していって欲しいと切に願っている。 

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