愛情の育て方

  もし、あなたが、仕事の量が多くてとても一人で処理できず、仕方なく他の人に手伝ってもらったにもかかわらず、その人が、自分の教えたとおりではない”自己流”で処理し、そして処理した後に”その資料を机の上に放り投げた”としても、あなたは”その人”に 対し、心から「ありがとう」という気持ちになれますか?
 そして、その事務量が恒常的なもので、毎日みんなより遅くまで仕事をしているのに、少しだけ仕事を頼んでいるだけで「僕も仕事があるんですけどね〜。自分でできないんですか?」と言われ続けることに耐えれますか?

 これは、人を介護するときも同じことがいえる。

 病気を患っている人は、24時間病気と闘っているのに「こんなこともできないの?」と言われながら手伝ってくれる人に対し、心から「ありがとう」という気持ちになれない場合がある。

 たまにしか患者に会わない人は「大丈夫?何か手伝えることない?」と言えるが、”毎日世話する人”はそんな事は言えず、逆に介護に疲れてしまって「もう愛情なんてわかなくなった」と言うことさえある。

 僕自身も、家の外では「できるだけ迷惑を掛けないように」という気持ちになるが、家に帰ると「きつい」という気持ちが表に出て「自分でやろう」という気持ちが薄れ、その結果、介護する人の負担を増やし、”注いでもらう愛情”を減らしてしまっている。

 かつてル・マンのドライバーだった人が接触事故により”死に至る大やけど”を負ったが、家族の愛情によって奇跡の回復を遂げ、「事故によって得たものはないが、回復の過程で家族や知人の大切さを得た」と言っていた。

 また、映画「スーパーマン」の主役であったクリストファー・リーブは、落馬して脊髄を損傷して首から下が動かなくなった時、子どもの「パパは手足は動かないけど、まだ笑えるね」という言葉に希望をもらい、”結果が全く出ないリハビリ”を5年間続けた後、奇跡的に指が動いた。そして、それは、脊髄損傷の患者に大きな希望を与えた。
 彼はいう。
「人はスーパーマンにならなくても良い。ただ、愛情と忍耐力を持って継続していけば誰でも奇跡は起こせる」

 僕は、家族に甘えているところが多分にある。
 そして、その”甘え”が口論の種となって、”家族の愛情”を減らしている。

 だから、今日から、僕は、たとえ時間がかかっても「自分でできること」は忍耐強く自分でしようと思う。

 ”家族の愛情”を最大限にしたければ、まずは、僕から「家族に迷惑をかけないようにしよう」という気持ちで、”家族への愛情”を最大にしよう。

 まずは衣服の着替えから。
 休み休みではあるが、一生懸命自分で着替えてみよう。

 それが「”家族の愛情”を育てる」ことになるかもしれないのだから。 

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