職場待機

 

 今日、県の幹部が直接若手職員などに対し、県の行財政の厳しさを伝え、職員の意識改革を促す事を目的とした「意識改革キャラバン」が開催された。

 そして、その主な内容は以下のとおりだった。

◆キャラバンメンバー:総務部長、意識改革担当課長、大学教授など

◆内容:講演会・意見交換

◆参加者の募集方法
・幹部は動員
・若手職員には、開催まで1週間を切った時点で、所属を通じたメールでの案内が一回

◆そのメールを見た若手職員:5人に1人(知人を対象にした調査結果)

◆メールを見た人の中で参加の応募をした職員:20人に1人( 〃 )

 開催まで1週間を切った時点での案内に、参加の相談を上司にするのはちょっと勇気が必要だったが、なんとか了解を得ることができた。

 残った日数は、当日の「部長・課長・教授と行う意見交換」のシュミレーションに費やした。

 「意識改革担当課長」への想定質問は以下のとおり。
@「意識改革キャラバン」の目的は?
Aあなたが送った案内のメールはどれくらいの職員が見たと思うか?
Bメールを見た職員の中で、参加の応募をした職員はどの程度だと思うか?

 「総務部長」への想定質問は以下のとおり。
@あなたが意識改革を促したいのは、「メールを見ない人」でもなく、「メールを見ても参加しようと思わない人」でもなく、「メールを見て参加しようと思う人」なのか?
Aもしそうだとしたら、100人に1人のやる気のある職員の意識改革を促すと、「県庁」という組織は変わると思うのか?

 そして、「教授」への想定質問は以下のとおり。
@安定した職業である公務員において、このような手法で、本当に職員の意識改革は促せると思うのか?間違っても低下しないか?
Aこれらのことを踏まえて「本当に職員の意識が改革できる方法」を総務部長と意識改革担当課長に提案してほしい。

 こんな事を再確認しながら出勤し、総務係に開催時間を聞いたら「あれ?聞いてないの?あなたの参加は承認されなかったそうよ」とのこと。

 理由は「半分以上の班員が外勤しているのだから職場で待機すべき」ということだった。

 驚いた。

 この時期は、来客者や電話による問い合わせも比較的少なく、税務一筋30年のベテラン職員が2人も残っている。
 そんな中、腕もろくに上がらない僕が3時間ほど席を空けたところで何の問題があるんだ?
 それにこの班の責任者にはきちんと了解も取っている。

 どの上司の指示かはすぐにわかったが、なぜ、当日まで僕に言わないんだ?

 もし、今朝、早く出勤せずに直接会場に行っていたらどうなっていたんだ?

 訳がわからずに、職場にいた3時間に僕が対応した電話は2回。 

 その2回の電話を決して軽視しているわけではないのだが、その2回の対応のために参加を許可しないなんて・・・

 その人は、自分の判断によって、「メールを見て、かつ、参加しよう」と思う「100人に1人のやる気のある職員」の意識が低下する可能性を考えなかったのか?もっと伸ばしてやろうと思わなかったのか?
 それに、「僕には次回がないかも知れない」ということを考えなかったのか?

 2回の電話のためだけに・・・。

 思わぬ落とし穴に、3時間、怒りと寂しさに浸ってしまった。

 その夜、いくつかのニュースで、「県が職員の意識改革を本気で行おうとしている」という内容で「意識改革キャラバン」が紹介されていたが、なんだか、「県民へのポーズ」をしているだけの茶番を演じているようで滑稽に見えてしまった。


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