最近、よく、こんなことを考える。
「民間企業ではどのパターンの人が最も評価されるのだろうか?」
そして、それを以下のように「トンネルを掘る会社」の社員に例えてみた。
@ショベルカーなどの重機の使い方を勉強して、それらを活用して一人でトンネルを掘る人
A今更ショベルカーなどの重機の使い方など勉強したくはないが、これまでに培った”ショベルの使い方”を駆使して、昼休みも休まずに一生懸命トンネルを掘る人
Bショベルカーなどの重機の使い方を勉強したくはないし、休み時間は寝ているが、勤務時間は程々に働いて、トンネルを掘る人
Cショベルカーなどの重機の使い方を勉強して、その使用マニュアルを作成しては多くの人にそれらの使い方を説明することに時間を費やし、そのため、自分ではあまりトンネルを掘らない人
D現場監督の指示が間違っていたとしても、その間違いを指摘せずに、その指示通りに必死になってトンネルを掘る人
今の僕は、
「事務作業はできないが、先日、”課税事務マニュアル”を作成して、病気で休んでいる職員の代わりとして雇われた”月給10万円の臨時職員”を、3ヶ月で”年収700万円の職員”と議論ができる職員にした」ことから考えると、どうやらCのタイプであ
り、逆に他のタイプにはなろうと思ってもなれない。
では、それぞれのタイプの評価はどうなるのだろうか?
例えば、社員が自分一人であるという「タイプAの会社」で有れば、@が最も評価され、Dのタイプは費用だけがかさみ収入はゼロですぐに倒産してしまい、僕のようなCのタイプも必要ない。
また、多くの社員を抱えているが全ての社員が@のタイプである「タイプBの会社」でも、僕のようなCのタイプは必要ない。
更に、利益を無視して”趣味の一環”としてトンネルを掘っている「タイプCの会社」であれば、もちろん、Dのタイプの人が評価され、この場合も僕のようなCのタイプは必要ないし、「タイプDの会社」が
「成果ではなく働いた時間だけで評価する会社」であった場合、僕のようなタイプは、効率化によって”働く時間を減らす(つまり彼らの評価を下げる)”場合が出てくるため、煙たがられるだろう。
ならば、僕のようなタイプの人が評価されるのはどのような会社なのか?
それは、「これまで”ショベル”しか使ったことがない社員が多いが、それらの社員がショベルカーを活用するなどして、少しでも効率的に仕事をしたい」という「タイプEの会社」だけだ。
では、僕が勤めている県庁という会社はいったいどのタイプの会社なのだろうか?
僕は、この県庁を「タイプEの会社」と考え、「まだ、僕は会社にとって評価されうる人材である」と思うようにしているが、実際のところ、「タイプDの会社」、さらには「タイプCの会社」の噂さえ聞こえてくる。
そんな中、人事院の国家公務員に関する勧告が発表された。
今年の勧告は、例年行っている「給与水準」の調整ではなく、「給与構造」の改革が最大の焦点となっていて、「地方の地場企業に比べ、公務員給与の水準は高い」とか「仕事をしようがしまいが年功序列で給与が上がり、厳しさに欠けている」という批判を踏まえての勧告のようだ。
「地方の地場企業に比べ、公務員給与の水準は高い」
本当に高いのであれば、下げる必要があるため、僕は「仕方ないなあ」と思うしかない。
「仕事をしようがしまいが年功序列で給与が上がり、厳しさに欠けている」
確かにそのとおりではあるが、これに対する政策は慎重にしないと、状況がますます悪化する可能性もある。
勧告では、昇給区分を「極めて良好」「特に良好」「良好(標準)」「やや良好でない」「良好でない」の5段階にして、「極めて良好」と「特に良好」を全体の40%以下に押さえ、それ以外の段階の定期昇給をこれまでの75%以下に押さえる、としている。
確かに、これによって、人件費は抑えることができるだろうが、田舎の公務員でさえ40歳を過ぎたぐらいで年収が650万円である現状において、果たして有効だろうか?
僕の知人で”公務員の性格を良く知っている人”もこんなことを言っていた。
「この改正だと、上司への”Yesマン”ばっかりがいい思いをする時代になってしまいそうですね。これでは、上司に反抗する口うるさい職員は給料が上がらない→上がらないからやる気がなくなる→ますます仕事を改善しようとしなくなる→サービスの質が低下する、という悪循環も起こりうるし、・・・」
もし、僕が働いている県庁が「タイプDの会社」や「タイプCの会社」であれば、効率化を考えない「タイプAやタイプDの人たち」が評価されることになり、効率化に熱心な
「タイプ@やタイプCの人たち」は激減し、年収650万円に満足している「適当に頑張るタイプB」が激増する可能性も非常に高い。
そうなると、僕の知人の予測が現実のものになる得るだろう。
だから、やはり、「公務員と民間企業は仕事に対する意識が全く違う」ということをしっかりと認識した上で、勧告のような人事評価システムを導入する前に、まず、「少しでも効率的に仕事をしたい
職員が多い会社」にするための「意識改革のシステムの導入」が必要不可欠である。
そうしないと、未曾有の行政サービスの悪化を招くような気がする。
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