あくしゅ

 

 昨日、寝る前に、娘に「お父さんのこと好き?」と聞いたら、「う〜ん、きらい」と言われた。

 理由は分かっている。

 僕は、子供達がケンカをしているとき、「年下の娘が悪い」と思ったときは、たとえ泣いていようが「”ごめんなさい”は?」と言ってしまうからだ。

 大人の人たちは、得てして年上の子に「お兄ちゃんなんだから」という傾向があるが、僕は、自分が小さいときに言われ続けていたこともあり、子どもには、この言葉を一度も言ったことがない。

 しかし、その度に、娘が「おかあさーん」と言って僕から離れてしまうのを見ると本当に辛い。

 昨日も同じことが起こり、「せめて寝る前には仲直りしたい」と思ったが、そうは問屋が許さなかった。
 抱っこもできないし、子供の協力がなければ抱きしめることもできない僕にとっては、もうどうしようもない。

 「またか・・・」と思いながら、今日を迎えた。

 朝食を一緒に取っている時は普段通りの会話ができた。
 内心、「よかった、よかった」と思いながら家を出て保育園に行き、車を降りるとき、娘が「おとうさん、あくしゅ!」と言って手を伸ばしてきた。
 長男が言ったことをまねしただけなのかもしれないが、朝から2人の子供達に握手を求められると、とても幸せな気分になる。

 最初に手を出してくれた息子に、そして、昨日のことを水に流して?手を出してくれた娘に「ありがとう」と言いたい。
 

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