友人との旅行

 

 大学の友人の家族といっしょに旅行に行った。

 彼とは、友人として気が合うだけでなく、パートナーや子供達の年齢、それに車の種類や色まで偶然会ってしまう関係だった。

 旅行は、この冬一番の寒さにもかかわらず、とても楽しく、子供達がすっかり仲良くなってくれたことがその楽しさを倍増させた。

 ただ、「畳に座った状態では自分で食事をすることができない」僕にとって、以前は一番楽しみだった「旅館での食事」が一番気を遣ってしまった。

 しかし、そんな僕の気持ちはお構いなしにはしゃぎ回る子供達や学生気分に戻った会話をしているうちに、そんな気遣いは徐々に消えていった。

 そして、部屋に帰ると、時間無制限で飲み直し。
 僕にとっては、普段は飲むことを控えているお酒を飲みながら語り合ったこの時間が一番楽しかった。

 翌日も、子供達は寒さを気にすることなく元気にはじゃぎまわり、大人達は訪れた水族館の「予想を超えたイルカショー」に興奮した。

 1泊2日ではあったが本当に楽しかった。

「涙の別れ」はなかったが、岐路の途中、昼寝から覚めた子供達が「わ〜ん、また○○君達に会いたいよ〜」と大泣きしてしまい、最後の切り札であった「お菓子やジュース」をあげても泣きやまなかったことにはホトホト困ってしまったが、それほど、楽しかった旅行に「思い切って行ってよかった」と改めて思った。

 ただ、彼が僕の子供達を自分の子供のように抱っこしてくれたことに、素直に嬉しくもあり、それをみているだけの僕が少し悲しくもあった。

 僕は他人と比較することは嫌いな方だが、でも、こんな父親にもかかわらず、彼の子どもと同じぐらい元気に遊び回っている子ども達をみていると、なんだか、ホッとした気持ちになった。

 
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