庁内公募

 

 僕が勤める役所には、「庁内公募」という制度がある。

 これは、”既に定められたいくつかの職場”に勤務を希望する職員を公募する制度で、その”いくつかの職場”には、これまで僕が意識して行ってきた「意識改革」の担当課もあった。

 「もう無理をするのは止めよう」「去年、職場に混乱を起こしたからにはその結果が出るまで、”骨を埋める”気持ちでここにいよう」と心に決めていたのだが、「無理かどうかは人事担当課が決めるもの」「思っていることを言わずにいると後で後悔する」と決心し、こんな内容の文書を人事担当課に送った。

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 この役所では、「行政のプロフェッショナル」である職員の育成を図っていて、僕も、困難にぶつかったとき、いつも「行政のプロフェッショナルとは、高い専門能力及び先見性と洞察力により、自ら課題を探し出し、考え、行動して迅速に解決策を見出していくことによって、県民にとって”価値ある行政”を提供できる人材であること」 という、この役所における「行政のプロフェッショナルの定義」を繰り返し読み、自分の仕事の仕方を日々見直しているところです。

 さて、話は変わりますが、よく「意識改革には時間がかかる」ということを耳にします。

 しかし、これは本当に正しいのでしょうか?

 例えば、少し太りぎみの人が、健康診断で身体の異常が分かったことがきっかけで、「健康のために毎日マラソンをしよう」「甘いものを控えよう」という意識改革を一瞬で行います。

 問題は、「意識改革した気持をいかにして継続(習慣化)させるか」ではないかと思います。

 僕は、しばしば「以前は君のように”改善をしよう”と熱かったが、なかなか周りの理解が得られないうちに気持ちが冷めてしまった」とか、「意識改革担当課の研修を受けては、”このままではいけない”と意識を変えて職場に帰るのだが、職場の理解を得られないうちに 、いつの間にか、”いつものような仕事”をしてしまう。」という話を聞きます。

 つまり、これまでの意識改革担当課の取り組みは、多くの職員の「意識改革」を成し遂げていったのです。

 ですから、後は「意識改革した気持を継続させる職場をどうやって創っていくか」が課題なのだと思うのです。

 それは、「月に1回マラソンをしても効果が出ない」のと同じで、できるだけ毎日(または毎週)行う方法を確立する必要があります。

 この”回数”については、十分気を付けておかないと、「月に1回マラソンをしても効果が出ない」という”当たり前の結果”を、「マラソンしても効果は出ない」と勘違いする人がいるように、「 意識改革担当課の意識改革の取り組みを行っても効果が出ない」と勘違いする人が出てくる可能性があります。

 去年、「毎週金曜日の13時から14時まで班員によるブレインストーミングを実施したら仕事の質を向上できた」という、非常によい取り組みをした職場がありましたが、だからといって、「全ての職場で毎週ブレインストーミングをしなさい」といってもいきなりは無理でしょう。

 「だったらどのような方法であれば、比較的無理が無く、全ての職場で意識改革の火を消さない環境にすることができるか?」

 この方法を、意識改革担当課長を中心に「職員の意識改革」に熱意と意欲のある皆さんと一緒になって検討したいと思い応募いたしました。

 人事担当課のみなさまには、日々、僕の病気のことを気遣っていただいており、僕自身、夜中まで仕事ができる体力はないのですが、「職員の意識改革への取り組みは、熱意と意欲と実績があり、パソコンが使えて話ができればできる仕事」と思い応募した次第です。

 「平均年収が700万円もあり終身雇用制度が約束されている役所」において、5000人中で500人だけ評価する”人事評価制度”を導入しても、残りの4500人が今以上にやる気がなくなれば、全体としては大幅なマイナスになります。

 その面から見ても、人事評価制度と合わせて「意識継続制度」も導入する必要があるのではないでしょうか。

 それではよろしくお願いいたします。

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 この文章を読み返しているうちに、「僕の中に、まだ、こんな熱い気持ちが残っていたんだ」と感じることができたことが少し嬉しかった。

 
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