できなかったこと

 

 自分が思っていることと他人が思っていることは違うもの。

  例え自分の考えが正しくても、大多数の人がその間違いに気づかなければ、それ を納得させることは本当に気力と体力が必要になる。

  いくら説明しても「君は何も分かっていない」と、本当に分かっていない人から 言われる苦痛。
  もうその場からいなくなりたい心境になる。

  この時、僕は、自分の気力が昔ほど無いことに気づいた。

  「もう無理は止めよう」と思いながらも、「間違っている」と分かっている方向 に進んでいる人たちを見て見ぬ振りをすることができない。

  だから、その「間違っていること」だけはしっかり理解してもらって身を引くこ とにした。

  そして、今日、僕は、渋々ながらも「しっかり理解してもらったこと」を確認することができたことにより、その団体から身を引くことを決心した。
 難病患者連絡会は、「 難病患者全体の支援団体」であったが、僕に残された体力は、ALS患者支援の会のため、 そして何より家族のために使おう。

  そう決めた。

 もう、 無理はしないし 頑張らない。

「できること」を精一杯する。

「できることをできるだけ減らさない」ための決断だった。
 

 
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