朝、パートナーに起こしてもらい、服を着せてもらって何とか出勤。
職場では、受話器を取る場合にも両手が必要になってきた。
でも、以前ほどは話せなくなったとはいえ、電話の相手から「ご丁寧に説明してもらいありがとうございました。」と言われたことが嬉しい。
しかし、寝ても覚めても首をロープで絞められているような恐怖感がとれない。
それは、まるで、”砂を固めて造った台”の上で手を後ろに縛られ、首に”上からつるされたロープ”が巻かれているような状態。
一生懸命背伸びをして首が絞まらないように頑張っているのだが、ある日、突然、足下の砂が崩れ、首が絞まっていく。
そんな中、僕より長い間、台の上で踏ん張っていた人が、ついに「もう殺してくれ」と言った。
”言った”といっても、ロープが喉の奥まで食い込んでしまっているため、声はもう出なくなっており、”意思伝達装置”という機械を使って訴えているのだが、両手が使えないため本人の意思では死ぬことさえできない。
そして、今日、突然、僕の足下の砂が少し崩れてロープが首に絞まった。
恐怖感にたえられず、廻りで見ているパートナーに愚痴をこぼした。
すると、「あなただけが特別だと思わないほうがいいよ。・・・で、明日は仕事に行くの?行くんだったらお昼ご飯の準備をしないといけないから早く決めてね。」という激励。
あまりの怖さに「何で僕だけがこんな目に合うんだ!」と自分だけが特別に思えてしまう僕と、昨日と変わらない態度のパートナー。
僕は、「そばで見ているしかできない辛さ」が見えないまま、必死に愚痴だけを口にしていた。
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