ドラえもん

 子供が保育園で、「今日は、良い子にしていないと、”ドラえもん”が見られませんよ」という話を聞いて帰ってきた。

 その効果はばつ群で、子ども達は、いつもとは違い、夕食やお風呂を”よい子”に済ませつつあった。

 しかし、子ども達がお風呂から上がったところで”ドラえもん”が始まってしまった。

 すると、子供達の動きがピタッと止まる。

 お母さんが「はやく洋服を着なさい」と言ってもいうことを聞かない。

 そこで、仕方なくテレビのスイッチを切ることにした。
 すると、長男が「何で消すの!良い子でいたのに!あ〜ん!」と泣き崩れた。

 洋服を着せたあと、再びテレビのスイッチを入れてあげたのだが、「さっきのところが見れなかった〜あ〜ん!」と勢いを増して泣き始めた。

 さすが僕の子供だけあって、”しつこさ”も父親に似ている。

 どうしようもなくなって、とりあえず、テレビのスイッチを切って話し合おうとしたところ、「何で消すの!あ〜ん!」と泣きながら、椅子に座っていた僕に飛びかかってきて、顔に全力のパンチをしてきた。

 「”体が小さい長男”がケンカに負けないように」と、折を見て、”ケンカの方法”を教えてきた成果が思わぬところで出た。

 そして、腕が上がらない僕は、何発か殴られたあと、反射的に長男と蹴り飛ばした。

 いや、”反射的”というよりは、”怒り心頭で”、と言った方がいい。

 「なぜ、こんなことで人をたたくんだ!」
 すごんで子供に詰め寄ると、慌ててパートナーが止めに入った。

 すっかり頭に血が上ってしまった僕は、”後始末”を母親に任せることにした。

 なぜ、こんな状態になってしまったのだろうか?

 保育園のせい?

 いや、いや、テレビを早く付けすぎた”親のせい”ではないか?

 そして、いつの間にか、僕の頭の中では、「どうしたら、いつもの”仲良し親子”に戻れるだろうか?」と考えていた。

 

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