疲れたマッサージ

 

 今日、家族でデパートに買い物をしに行った。

 といっても、子供達は遊技場で遊び、僕はそれを見守る役で、買い物はパートナー一人でしてもらった。

 しかし、パートナーとしては、「一人でゆっくり買い物ができること」が楽しいらしく、一方、子供達も「お菓子食べ放題の遊技場」が楽しくてたまらないようだった。

 しばらくして、楽しい買い物に満足げな顔でパートナーが帰ってきた。

「見て、これ。水晶玉。水晶って、悪運を取り払うって知ってた?家族全員分買ってきたの。」

 そこへ、ご機嫌な様子のおかあさんの姿を見つけた子供達が駆け寄ってきた。

「わあ、きれい。これ、僕の?」

 急に僕の廻りはにぎやかになった。

 しかし、その”にぎやかな家族”は、時間と共に疲れが出てきて、次第に、”不機嫌な家族”になっていった。

 家に帰って夕食を終え、子供達を寝かし終えたパートナーが、眠い目をこすりながら起きてきて、眠気と格闘しながら、いつものように僕にマッサージをしてくれた。

 そして、こんなことを言ってきた。

「ねえ、このマッサージは本当に効果があるの?」
「僕は”ある”と信じてるけど?」
「そう?残念ね〜。効果がなければマッサージしなくて良いのにね〜」

「何を言っているんだ!?」と驚いたが、重い瞼が落ちないように必死に頑張ってマッサージをしているパートナーを見ていると、「申し訳ない」という気持が先に出てしまった。

 それからしばらくして、パートナーは目が覚めてきた様子で、「さっきはきついこと言ってごめん」と言ってきた。

 人間は、疲れてしまうと、思ってもいないことを、つい、口にしてしまうことがある。

 もちろん、僕も例外ではない。

 これからは、こんな誤解を避けるため、「お互いが疲れないようにする」工夫をしていく必要がありそうだ。  


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