ALS患者からの拒否

 

 今日、設立総会の報告をするため、呼吸器を付けて入院中の”ALS患者支援の会”の副代表を訪問した。

 既にいくつかのニュースで設立総会のことを取り上げていただいたこともあり、副代表は設立総会の内容を知っていた様子だった。

 そして、テレビに映っていた僕の様子から「だいぶ疲れているようだが大丈夫か?ALS患者の天敵は肺炎。検査は定期的に受けないといけないよ。」と、クチパクながら僕の体のことを心配してくれた。

 ありがたいことだ。

 それからしばらく話をしているうちに、この病室に「もう一人ALS患者が入院している」ということがわかり、「お互い頑張りましょうね」と言いに行くと、「来るな!」と体全体を使って拒否された。

 びっくりした。

 どうやら、この人は、入院を機に、家族が見舞いに来なくなってしまったそうだ。

 一方、僕は、家族に恵まれ、この日もパートナーがそばにいてくれた。

「同じALS患者同志であればすぐに分かり合える」という僕の考えはもろくも崩れ去った。

 この人の心を少しでも癒すにはどうしたらよいのか?

 新たな問題が僕の頭をぐるぐる駆けめぐった。

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