僕が総理大臣だったら

 

 今日、とあるALS患者の家族から「相談がある」ということで、会いに行った。

 話を聞いてみると、その人の親がALSを患い、その病気の告知を受けたのが今年の頭なのに、今はもう身体が動かなくなり、話をすることもできなくなったそうだ。

 そこで、患者本人に直接あったところ、ほとんど無表情であったが、好きな歌手の話をしたときだけ、ニコっと笑ってくれた。

 僕は思った。

「なんとかその歌手にお見舞いに来ていたけないか?その歌手だったら、その人に”生きる勇気”を与えてくれるはず!!」

 家に帰ると、インターネットでその歌手の所属する事務所を探し、「ビデオレターでも構わないので、そのALS患者にエールを送ってほしい」旨のメールを送った。

 数日後、「この事務所ではそのようなサービスは行っていない」という返事を頂いた。

 「もし僕が総理大臣だったら違う返事だったのでは・・・」

 自分の非力さを恨んだ。

 その人にとって”ベストなこと”をしてあげれない自分が悔しかった。 

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