聖なる夜の物語
渚君の場合PART3
Made by FUCK"n太郎
「ついに来たんだね・・・・・・・この日が・・・・・・・・」
今日は12月24日、クリスマスイブ、どんな人間にも平等に訪れる聖なる夜・・・・・・・・・しかし、ここにいる若干一名の男色ホモ野郎、渚カヲルにとっては「性なる夜」なのであった、
「今夜こそシンジ君に男と女が等価値だってことを教えてあげるよ、」
カヲルが自室で小さな薬瓶を片手にトリップしていた、そう、この薬瓶こそカヲルの最終兵器、偉大なるボケ老人、冬月コウゾウ秘蔵のほれ薬であった、
「これを使えばシンジ君の愛と体は僕の物さ・・・・・・永久にね!」
そう呟いてまたもカヲルがデンジャーな妄想世界にダイヴする、
・・・・・・・・「シンジ君、今日こそ僕らの愛は成就するんだね!」・・・・・・
・・・・・・・・「そうだよカヲル君、僕達は一つになるんだ」・・・・・・・
・・・・・・・・「僕は君を愛するために生まれてきたんだ」・・・・・・・
・・・・・・・・「僕もさ、カヲル君、」・・・・・・・・
・・・・・・・・「ああ、シンジ君、僕だけなんだね」・・・・・・・
・・・・・・・・「そうさ、アスカや綾波はただの友達さ」・・・・・・・
・・・・・・・・「一生はなさないでおくれ、シンジ君、」・・・・・・・・
・・・・・・・・「一生かけて君を愛するよ、カヲル君」・・・・・・・
カヲルの妄想の中では二人のバックに薔薇が大量に咲き乱れ、
二人は全裸で抱き合っていた、
「ぐえへへへ、うひゃひゃひゃひゃ・・・・・・・・」
カヲルの目はもう焦点すら定まっていない、完全にドラッグ中毒者の目だ、
「ララァ・・・・・・・聞こえるよ、君の声が・・・・・・・君もシンジ君と僕の愛を祝福してくれているんだね」
ついにカヲルはララァと交信を始めた、ここまでくれば異常者も裸足で逃げ出すだろう、今の彼は精神崩壊したカミーユよりも性質が悪かった・・・・・・
一方その頃、カヲルと同じくシンジを狙うおなじみの赤鬼と青鬼はというと、もうすでにシンジの家にきてゲンドウとお茶を飲んでいた、
「おじ様、今夜はクリスマスイブですね、」
アスカがにこやかにそうゲンドウに言うと、ゲンドウはいつに無く上機嫌な顔でサングラスを押し上げて言った、
「そうだな、アスカ君、レイ君、今夜はゆっくりしていってくれ、」
どうやらゲンドウは若い女の子二人に囲まれて上機嫌のようだ、鼻の下も伸びまくっている、と、そんなゲンドウのグラスにレイがシャンパンをそそいでやる、
「さ、おじ様、クリスマスと言えばシャンパンですよ、」
「おっ、すまんな、レイ君、」
すると、ゲンドウは伸びきっていた鼻の下を更に伸ばしてグラスのシャンパンを一気にあおった、
「ふぅ〜、今夜は良い夜だな、さぁ、アスカ君もレイ君もお茶なんて飲んでないで君達も飲みなさい、」
そう言ってゲンドウがアスカとレイにグラスを渡し、シャンパンをそそいでやる、
「「ありがとうございます、おじ様」」
もうすでに碇家のリビングルームは六本木のキャバレーへと変貌していた、
しかし、そんなゲンドウの失態をユイが見逃すはずも無い、今までキッチンでシンジと共に今夜の料理を作っていたユイだったが、いきなりリビングに現れてゲンドウをしかりつけた、
「あなた!何やってるんですか!!!」
普段ならゲンドウはこのユイの一言で正気に返り、おずおずと自室に引っ込んだのだろうが、今日のゲンドウは一味違っていた、
「まぁ良いではないか、ユイも飲め、」
すっかり出来あがったゲンドウはユイに対して恐れるどころかユイにシャンパンの注がれたグラスを手渡した、
しかしその行動がまずかった、怒りをあらわにしたユイはゲンドウからグラスを取り上げると鬼のような形相でゲンドウを一喝した、
「ふざけないでください!あなたは料理が出来るまで部屋に入っておとなしくしててください!」
「はっ!シャア少佐、了解しました」
どんなに酔っぱらっていてもゲンドウはやはりユイには勝てなかった、
どこか物悲しい表情で自室に引っ込んで行くゲンドウの後姿を見ながらアスカとレイは「おば様には勝てないのね」と心の中で呟くのだった、
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!
と、ゲンドウが部屋を出ていったその時、玄関のチャイムが鳴った、このチャイムの音にアスカとレイは一抹の不安を感じていた、
( まさか・・・・・・・ね、アイツが来るわけないか、だってアイツは呼んでないもんね・・・・ )
( 玄関のチャイム・・・・・・・・・まさか・・・・・・カヲル! )
二人ともカヲルがこの場に来るということを極端に嫌っていた、カヲルがこの場にくれば楽しいシンジとのクリスマスイブも台無しである、
しかし、そんなアスカとレイの不安は見事に適中した、台所からチャイムを聞いたユイが玄関のドアを開けると、やはりそこにはあの銀髪のホモ少年が不敵な笑みをたたえて立っていた、
「こんばんは、ユイさん、シンジ君はいらっしゃいますか?」
「今からちょうどクリスマスのパーティーを始めるとこだったのよ、カヲル君もあがっていってちょうだい、」
「ありがとうございます、それではおじゃまします」
そう挨拶するカヲルをユイがリビングに連れてくると、アスカとレイは露骨に嫌な顔をしてカヲルに詰め寄った、
「アンタ、何しに来たのよ、あんたなんか呼んでないわよ!」
「え〜、なんで来たの〜、カヲルが来るとろくな事が無いのに〜」
すると、そんな二人の罵詈雑言などお構い無しにカヲルは涼しい顔で言い放った、
「僕はシンジ君に誘われたのさ、君達こそ僕とシンジ君の営みを邪魔しないでくれないか?」
このカヲルのセリフに赤鬼と青鬼は完全に切れてしまった、
「レイ、こいつつまみ出すから手伝って、」
「OK、アスカ、ひん剥いて道路に放置しちゃお、」
そう呟きながらアスカとレイがカヲルとの間合いをジリジリ詰めていく、
「シンジくぅ〜ん、二人が苛めるよ〜〜〜」
するとカヲルはキッチンにいるシンジのもとに走っていってシンジの足にしがみついた、
「シンジ、そいつを渡しなさい、今日こそ葬り去ってやるわ!」
「碇君、邪魔しないで、カヲルは今日こそお星様になるのよ」
いつもは冷静沈着なカヲルもアスカとレイのあまりの恐ろしさにシンジの足元で震えている、そんなカヲルに見かねたシンジがアスカとレイをたしなめた、
「ねぇ、アスカ、綾波、カヲル君は僕が招待したんだよ、だから怒らないで仲良くやってよ、」
シンジの説得にアスカとレイは渋々首を縦に振る、
「わかったわ、しょうがないけど今夜は一時休戦ね、」
「命拾いしたね、カヲル、」
すると、生命の危険から開放されたカヲルはシンジの手を握り締めて言う、
「ありがとうシンジ君、君は命の恩人だよ、」
そんなカヲルのセリフにアスカとレイはカチンときたが、これから実行する作戦に支障をきたすわけにもいかず、カヲルの事はあえて無視してシンジに言った
「シンジ、今ちょっと良い?」
「碇君、ちょっと来てくれない?」
「今?ちょっと待ってて欲しいんだけど・・・・・・・・まだ料理が出来てないんだ、後は煮込むだけで完成なんだけど鍋を見てないと・・・・・・・」
と、その時カヲルが気を利かせてシンジに言った、
「シンジ君、それなら鍋は僕が見てるから行っておいでよ、それにこっちにもいろいろと都合があるしね・・・・・」
「えっ、ありがとうカヲル君・・・・・・・・でも都合ってなんのこと?」
「いやいや・・・・・こっちの事さ、忘れておくれよ、」
「じゃあ頼むよ、カヲル君、」
そう言ってシンジはアスカとレイに連れられて自室の方へと向かって行った、
「しめしめ、これでこの秘密兵器が使える・・・・・・・」
シンジ達がキッチンを後にするとカヲルはポケットから例のほれ薬を取り出すと、近くでサラダを刻んでいるユイに言った、
「ユイさん、出来た料理から運んでおきましょうか?それぐらいなら鍋を見ながらでもできますし・・・・」
「あらそう、ゴメンね、カヲル君、」
カヲルが両手に料理を抱えてリビングに入るとテーブルにはすでに全員分のグラスが用意してあった、
「さ〜て、シンジ君のグラスはどれかな〜」
カヲルはそう呟きながらテーブルの上に目をやると、同じ様なグラスの中でひときわ目立つグラスを発見した、
そのグラスは他のグラスの様に透明ではなく、真っ赤に塗られており、表面に「シャア専用」と書かれていた、
「確かシンジ君はガンダムが好きだったはずだから、これがシンジ君のグラスだね、このグラスの中のシャンパンに薬を混ぜれば・・・・」
カヲルがグラスの中にほれ薬の液体を数滴たらす、
「これでシンジ君は僕の物さ、フフフ・・・・・」
カヲルがそんな事をしているとも知らずにシンジの部屋ではアスカとレイがシンジにクリスマスプレゼントを渡すところだった、
まずはアスカからわたすようだ、
「シンジ、これ、大事にしなさいよ、このアタシが買ってきたんだからね!」
そう言ってアスカが渡したのはシンジが前から欲しがっていた新型のS−DATだった、
「ありがとうアスカ、絶対大事にするよ、」
「じゃあ今度は私がプレゼントを渡す番ね、」
と、今度はレイがシンジに紙袋を手渡した、
「ありがとう、綾波、開けて良いかな、」
「良いよ、碇君、」
そう言ってシンジが紙袋を開けると中には白とグレーのボーダーのゼーターが入っていた、
「えへへ、私とおそろいなんだよ、」
そう言うレイも良く見れば同じデザインの白と水色のボーダーのセーターを着ている、だが、国宝級の鈍感さを持つシンジにしてみればおそろい、という言葉の持つ意味さえ理解していない様だ、
「あったかそうだね、ありがとう、」
しかし、そのレイのプレゼントを見たアスカは内心煮え繰り返る思いだった、
( レイの奴、上手いことやってくれるじゃないの、おそろいなんて・・・ )
だが、そんなアスカの怒りもシンジの屈託の無い笑顔によってかき消されてしまった、
「ありがとう、二人とも・・・・・絶対大事にするよ、」
そう言うとシンジは自室のクローゼットを開けて中から大小二つの包みを取り出して、大きい方をレイに、そして小さい方をアスカに手渡した、
「これ、僕からのクリスマスプレゼント、」
「うわ〜、エルメスのブレスレットじゃない、シンジ、これ高かったでしょ?」
「やった〜、あたしが欲しいって言ってたコートだ〜、碇君、覚えててくれたんだ、」
二人ともシンジからのプレゼントが予想以上だったので、喜んでいた、まぁ、好きな相手からもらう物だからどんな物でも良いと考えていたアスカとレイにしても、これだけのプレゼントをもらえば喜ぶのも当然である、
「じゃあ、そろそろ料理も出来たと思うからリビングに行こうよ、」
そう言うシンジに続いてアスカとレイがリビングに現れるともうすでに料理はテーブルに並べられており、あとはゲンドウの登場を待つのみとなった、
( フフフ、さぁ、シンジ君、その赤いグラスを取ってシャンパンを飲み干すんだ、そうすれば僕達は結ばれるんだよ・・・・・ )
だが、しかし、カヲルのもくろみは失敗に終わった、なんとシンジはその薬入りの赤いグラスが゛置いてある席ではなく、その向かい側の席に腰を落ち着けたのだ、
( なぜ・・・・・・・じゃああのグラスはいったい誰のものなんだい? )
カヲルがそう考えていると、カヲルにとっては一番あの薬を飲んでもらいたくない人物、いや、カヲルでなくともほれ薬を飲ませたくないであろう人物がその席に座って例の赤い彗星モデルのグラスを口元に運んだ、
ここまで説明すればもうお分かりだろう、ほれ薬を飲んでしまったのは・・・・・・・・・・・やはりゲンドウだった!
「ふぅ〜、美味い・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヤバイ、薬が効いてきたようだ、ゲンドウはグラスを置くとトロ〜ンとした目でカヲルを見つめている、
「カヲル君・・・・・・・・・・・・今夜は泊まって行きなさい!いや、むしろ泊まって欲しい・・・・・私と寝ようではないか!」
やはり薬は完全に効いたようだ、ゲンドウはそう無茶な事を呟くといやがるカヲルを引きずって自室へと消えて行った、
「助けて〜〜〜、シンジくぅ〜〜〜〜〜ん!」
カヲルの断末魔だけがリビングには響き渡るのであった、
ちなみにその後カヲルがどうなったのかは誰も知らない、後日アスカがカヲルにその事について聞いてみるとカヲルは
「誰にでも触れられたくない傷はあるものさ・・・・・・・・」
と言って口を堅く閉ざしたという・・・・・・・・・
終劇
FUCK"n太郎さんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます。
遂にカヲル君にとって最大のイベントがやってきましたね。クリスマスの妄想は普通の日の妄想よりも100倍凄いです(笑)
ゲンドウ、ユイさんには弱いですね、量産型ザクだ(グラスはシャア専用なのに)
アスカちゃん、レイちゃんシンジ君にプレゼントを贈って貰って大満足ですね。
そして期待?の惚れ薬は・・・合唱(--;)
とっても素敵なSSをくださったFUCK"n太郎さんに皆さん感想を送りましょう。
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
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