聖なる夜の物語
渚君の場合PART2
Made by FUCK"n太郎
「まぁ、これでも飲みたまえ、」
クリスマスを二週間後に控え、どす黒い欲望に身を馳せるもなぜか夢破れ、涙を流すカヲルの姿が第三新東京市の一角のうらぶれた老人の家にあった、
うらぶれた老人・・・・・冬月コウゾウは語る、
「愛とはすなわち哀・戦士編じゃよ・・・・・・・・・」
そろそろボケがまわってきたのだろうか?冬月が意味不可解な事を口走る、
「冬月じーちゃん、意味がわからないのですが・・・・・・」
「ふぉっほっほ・・・ガンダムの劇場版二作品目じゃよ、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ついに冬月の老人性痴呆症、通称アルツハイマー病が来るところまで来たのだろうか?カヲルは絶句するしかなかった、
( なんで僕はこんな所に来てしまったんだろう・・・・・・・・ )
カヲルは冬月にだされたお茶を啜りながら自分の行動を後悔した、それもそうだろう、年金暮らしのうらぶれたボケ老人の冬月に色恋沙汰の相談などできるはずも無い、
どのくらい時間がすぎただろうか、目の前の冬月はただにたにたと笑っているだけで、壊れた人形の様だ、手もとのお茶もだいぶぬるくなってきている・・・・・・・
と、カヲルがここにいても意味が無いと悟って帰ろうとしたその時、今までアルツハイマー病の進行でへらへら笑っているだけだった冬月が急に口を開いた、
「さて、渚君、何で君はあそこで泣いとったのかね?」
カヲルがここに来てもう三十分になる、やっとの事で冬月が本題に入ってくれた、まったく、ボケ老人は動作が遅い、
「それは・・・・・・・・・・・・・・」
カヲルは今日あった出来事を包み隠さずに冬月に説明しだした、そのカヲルの説明を冬月は何度か肯きながら聞いていたが、ちょうどカヲルの話が例の三人がもみくちゃになって倒れていたと言う所まで来ると、急に目の色を変えた、
「ほう、三人で・・・・・・・・近頃の若いもんは進んでおるのう・・・・」
やはり冬月はアルツハイマー病に違いない、カヲルと同じ勘違いをしてなぜか鼻の下を伸ばしている、ボケ老人のうえにスケベジジイである、
「それで、渚君は好きな男の子が他の女の子とアレな事をしておったから泣いておったんじゃな?」
冬月がカヲルの言ったことをある程度理解してカヲルに尋ねると、カヲルは物悲しそうにコクリとうなずいた、
そんなカヲルを見つめて、冬月は少しだけ考え込むと、ふいに席を立って家の奥に歩いて行き、小さな瓶を手に持って戻ってきた、
「ならばこれを使うと良い、これの効果は絶大じゃよ、ふぉっほっほ」
冬月が手に持ってきた怪しい瓶の中には深緑色の液体が入れられていた、
その怪しい瓶を見て、カヲルは冬月に尋ねた、
「冬月じ〜ちゃん、その瓶はなんですか?」
「これはな、こんな事もあろうかと昔の部下の赤木というマッドサイエンティストに作らせたほれ薬じゃよ、こいつを飲ませればその少年はイチコロじゃ、」
冬月の説明にカヲルは目を輝かせて喜んだ、まさか本当にほれ薬が存在するとは・・・・・・・冬月恐るべし!
「ありがとう、これでシンジ君のハートは僕の物さ!」
カヲルが冬月からほれ薬の入った瓶を受け取って喜ぶ、と、その時、カヲルの喜びの声を聞いた冬月の顔色が険しくなる、
「渚君、今なんと言ったのかね?」
冬月は少しにやけたような、それでいてこわばったような表情でカヲルに問いかけた、そんな冬月のただ事ではない形相に、カヲルが今言ったセリフをもう一度復唱する、
「ありがとう、これでシンジ君のハートは僕の物さ、って言ったんだけど・・」
そのカヲルのセリフを聞いて、冬月は突然笑い出した、まるで頭のねじが一本飛んだかのように・・・・
「そうか、君の好きな男の子というのは碇のところの息子じゃったのか?シンジ君といったな、彼はたしかに良いのう、わしも狙っておったのだよ」
まさか、冬月もシンジの事を狙っていたとは・・・・・・・・・まぁ、それも考えられる事だろう、冬月は昔、教え子だった碇ユイに手痛くふられているのだ、それで、彼女にそっくりなシンジに目をつけていたというのにもうなずける、
「冬月じ〜ちゃん、僕と貴方は趣味が合いますね、」
「そのようじゃの、渚君、君は良い趣味をしているよ、」
「でも、シンジ君はたとえ冬月じ〜ちゃんでも渡しませんよ、」
「ふぉっほっほ、厳しいのう、渚君、」
カヲルと冬月の友情は今、さらに深まり、二人はそのまま冬月が発作をおこして倒れるまで笑っていたのだった、
さて、カヲルが冬月の手からほれ薬という強力な武器を手に入れていた頃、同じくシンジを狙う赤鬼と青鬼こと、惣流アスカラングレーと綾波レイはというと、駅前にあるデパートで、シンジにあげるプレゼントを物色していた、
「レイ、アンタは何をあげるの?」
「えへへ〜、秘密だよ〜〜〜、」
二人で楽しそうにそんな事を言い合いながらデパートの通路を歩いていく、
「良いじゃないの、別に教えても減るもんじゃないわよ!」
「ん〜とね、最初は手編みのマフラーにしようと思ってたんだけどぉ、難しいから止めちゃったの、だからセーターでも買ってあげようかと思うんだけど・・・・・」
レイがそう言いながら、男物の服売り場に入っていく、そんなレイにアスカは自分は別なところに行くと告げた、
「アタシはあいつが欲しがってた新しいS−DATを買ってあげようと思うから家電売り場に行ってみるわ、」
アスカはそう言うとレイを残してエスカレーターの方に歩いて行った、
「ふぅ〜ん、アスカはS−DATをあげるんだ、でも、私のセーター作戦にはまだまだ続きがあるんだから、」
レイはエスカレーターの方に歩いていくアスカを見送りながらクスッとほくそえんだのだった・・・・・・・・
さて、ついにシンジ獲得のため動き出したレイとアスカ、しかし、最終兵器を手に入れたカヲルもまたシンジのハートを狙っている、
はたしてシンジは誰に微笑むのか?
カヲルのほれ薬は本当に効くのか?
そして、レイのセーター作戦とは・・・・・・・?
多大なるどす黒い思惑を胸に秘め、三人の戦いはついに最終章へ、
次回、「聖なる夜の物語・・・・・・渚君の場合PART3」に続く
君は、生き延びる事ができるか?
FUCK"n太郎さんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます。
冬月さん、ガンダムファンだったのか!それもファーストガンダムファンとみた(笑)
カヲル君が貰った惚れ薬はなんと!MADリツコさんが作ったもの・・・大丈夫なの?(^^;)冬月さんが言うように「イチコロ」かもしれない(笑)
冬月さんもシンジ君を狙っていた・・・シンジ君もてもてですね(もてたくないなあ)
アスカちゃんとレイちゃん、仲良く?プレゼントを物色していますね。レイちゃんのセーター作戦とは何でしょうか?
とっても素敵なSSをくださったFUCK"n太郎さんに皆さん感想を送りましょう。
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
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