「リツコ14/30」
− 修学旅行りつこ −
Made by JUDD
25 June 02:36 PM ー 大型輸送船(EVA二号機エントリープラグ内)
「・・・起動しないわねぇ?」
操縦席を覗き込み、それ見た事かとリツコが呟く。
エラーコードを見れば判るが、エヴァの起動は特にシビアだ。
動いた後ならいざ知らず、操縦者以外のノイズの中で、しかも手順がいつものままでは・・・。
「・・・プチ(#)・・・」
ブツブツと呟き通しの「フォースチルドレン」(アスカはリツコもチルドレンだと思っている)の態度と口調が相当癪に障ったらしい。
惣流・アスカ・ラングレーは、乱暴な素振りでプラグ壁面の警告表示を叩き消すと、不満が七割、怒り三割といった按配(あんばい)で、パイロットシートにしがみ付く、「要らんごと言いの役立たずジャパニーズ約二名」に、イライラしながら喰って掛かった。
「ウっさいわネ! ワタ〜シのせいじゃないネ! ン〜、言語エラーってコトは、ア〜、アナ〜タ達がDeutschで考えていないからデショ!?」
「・・・Deutsch?」
「確かドイツ語で・・・「ドイツ語」の意味かしら?」
「というコトは、「ドイツ語で考えてない」って意味だから・・・って、ドイツ語ぉ!?」
驚くシンジに、記憶違いじゃなければね? とリツコ。
さすがは博士(高学歴)。 無理難題とは思わないのか、動じた様子は微塵もなかった。
『まぁ彼女の場合、言われてみれば、思考言語がドイツ語だものね?』
『ど、ドイツ語だものねってアッサリ言われてもなぁ? 幾らなんだって、彼女に合わせるなんて無理ですよぉ?』
『そうねぇ? でも、外国人の「女の子」(♀)と「お友達」(ゥ)になるいい機会でしょ? 努力してみたら? 結構可愛い娘なんだし?』
『いやその・・・カワイイとかそういう問題じゃないんですけど?』
・・・何を小声でボソボソと。
ひそひそ話す二人を睨んで、惣流アスカ(以下略)が更に続ける。
「起動しないにモンクあるなら、ワタ〜シに、“Sehr gut Deutsch sprechen”(ドイツ語お上手ですね)位、イワ(言わ)せてみるネ!?」
「ぐ・・・ぐぅと? しゅぷれっひぇん?」
「要するに、「動かしたいならドイツ語話せ」って言いたいようね?」
「え、ええ〜〜っ!?」
「ソレ〜くらい当〜然ネ!」
額にシワ寄せ、フンだ! と一言。
ソッポを向くのは勝手にしても、EVAの起動にドイツ語力(要駅前留学)が必要などと・・・。
『・・・この娘もけっこう無茶言うよなぁ?』
第一、起動の為には考えるだけでいい筈じゃあ、ともシンジは思うが、よくよく考えてみれば、「考える」のも「話す」のも、実質的には五十歩百歩だ。
『ドイツ語・・・ねぇ?』
いかにも着心地悪そうに、「胸パット付きプラグスーツ」(注1)の首回りを引っ張り上げて、碇シンジは、困惑顔でモゾモゾ一つ身じろぎをした。
胸は余るし腰はキツイしで、万全の自動フィッティングシステムとやらが聞いて呆れるが、ある意味で、そんな小事(しょうじ)は問題外だ。
(注1)女装パイロッ・・・じゃなくって、女性パイロット用です。 多い日もコレで安心ですね?
『こんな格好で・・・出たくないなぁ?』
サイズや色はどうでも良いけど、これで死んだら(注2)「変態サン」(注3)だよ・・・。
と、喋り続けるアスカの方に恨みがましく視線を向けて、シンジはふぅっと溜息を吐く。
(注2)皆さんお忘れのようですが、彼はいつだって命がけです。(私なら逃げますけどね?)
(注3)いわゆる一つの女装癖。 シンちゃんのパパだって、さすがに困ると思います。
『・・・また悩んでるみたいねぇ?』
そんな様子に気付いたらしい。 赤木リツコは暫し考え、隣のシンジにささやき掛けた。
『スネっちゃってるし仕方ないわよ? まぁ、一度だけでもチャレンジしましょ?
ダメならダメで、追い出されればコッチのものでしょ?』
『そ、そんな事言われても・・・確かにそうかも知れませんけど』
『まぁ、使徒も待ってはくれないしねぇ? ホントは私も困るんだけど・・・シンジ君だって、多少は心当たりあるんじゃないの?
ドイツ語?』
『う、う〜ん? こ、心当たりですか?』
コソコソボソボソいつまでも・・・。
ハッキリしない二人の態度に、アスカが横から食って掛かった。
「デ、ど〜するネ!? モンクだけ喋って逃げ出す気ぃネ? おマエ達、口先だけでチョ〜情けないネ?」
スカシ目で腕を組み、馬鹿にし切った態度で言い切る。
そんなアスカと視線が交差し、あわててシンジは顔をそむけた。
『逃げちゃダメ・・・かなぁ?』
我知らず、閉じたハッチに視線を向ける。
既にプラグはエントリー済み。 アスカがイジェクトしない限りは、絶対外には出られない。
『今更頼んでも、素直に出してちゃくれないだろうし』
テホンを見せてヤルから、アリ難く一緒に乗るネ? というのが、搭乗前のアスカのセリフで。
そんな彼女が、起動ごときにつまずいて、このまま素直に引き下がるとは・・・。
『やたらとプライド高そうだし、失敗したままじゃあ・・・やっぱダメなんだろうなぁ?』
となれば、ここは博士の言う通り、やりたいようにやらせてみるのが、今のところはベストの手段だ。
幾ら意固地な彼女でも、シンクロ出来なきゃ追い出すだろう。
「仕方・・・ありませんよね?」
「そういう事ね?」
シンジはようやく覚悟を決めると、おっかなびっくり口を開いた。
「・・・え、え〜っと。 ば、バームクーヘン、ソーセージ、ビール、じゃ・・・ジャーマンポテト?」(ドイツ名物シリーズ?)
「あ、アンタ・・・真面目にやらないとブチ殺すネ!?」
「・・・そ、そんなに怒らなくったって・・・」
結構マジメだったのにぃ・・・。
立つ瀬も無ければ浮かぶ瀬も無し。 一方的に叩かれて、シンジは床に「の」の字を書いた。(ぐっすん)
『・・・あらあら・・・』
そんなシンジの後を受け、やり難そうにリツコが続く。
「そ、そうねぇ? メッサーシュミット、ハッセルブラッド、カールツァイス・・・あっ、そうそう、ハイル・ヒ○ラー?」(マジ危険です)
「あっ、そうそう・・・って、アンタはアンタでネ○ナチかい!?」(スキンヘッドの困ったちゃん)
「・・・ね、ネオ○チとかって言われても・・・」
珍しく頬を赤らめ、肩をすぼめる天才科学者。
ドイツ語会話は不得意らしく、意外に結果は散々だった。(ショボ〜ン)
「もぉ〜〜〜っ、アンタ達みたいなおバカ相手にしてらンないネ! 言語をニホン語でフィックス! 再起動モードネ!」
アスカがブンっと振り返る。
「アンタ達、よく見ているネ!? ワタ〜シがお手ホン見せたげるヨ!!」
で、何を始めるかと思いきや・・・。
「フジヤ〜マ、ゲイ〜シャ、スゥシ、ニンジャ〜!」
・・・今度はアスカがダメダメだった。(発音がイマイチ?)
25 June 02:31 PM ー オーバー・ザ・レインボー(甲板)
「あれって・・・使徒かな?」
「ありぇって・・・ちとね?」(あれって・・・使徒ね?)
彼方の海を細目で見詰め、加持とミサトが立ち上がる。
空母の後方約二キロ。 明らかに、艦船以外の航跡が、くっきり水面(みなも)に刻まれていた。
距離がある上、沸立つ陽炎のせいもあり、水面下に居る相手の姿は確認不能だ。
とはいえ、攻撃されるリスクを恐れず、白昼堂々、空母戦闘グループの真っ只中に身を晒すなど、使徒以外にはあり得まい。
「かじくん、あちゅかかりりゅわよ?」(加持君、アスカ借りるわよ?)
「・・・」
使徒相手ならEVAしかないし。
指揮官然とミサトが言った。
「あちゅかには・・・いきなちでわりゅいんだけどね?」(アスカには・・・いきなりで悪いんだけどね?)
「・・・」
そう加え、ミサトが後ろを振り返る・・・と。
「・・・って、いないち!!」(・・・って、居ないし!!)
目の前では相田ケンスケが、「キミも苦労が絶えないねぇ?」とばかりに肩をすくめ、首を左右に振っていた。
で、どこに消えたとあちこち探せば・・・。
「葛城ぃ〜〜っ! 俺、大事な用あるからっ、おっ先にぃ〜〜〜っ! 死なない程度にがんばれよぉ〜〜〜っ!!」
いつの間に手配したのか、垂直離着陸機の後部座席にちゃかり収まり、明らかに「トンズラ体勢」の加持リョウジが、悪びれもせずミサトに言った。
「ふ、ふじゃけんじゃないでちぃ〜〜っ!」(ふ、ふざけんじゃないわよぉ〜っ!)
むきぃ〜〜っ!
緊張感のない顔で、よくもヌケヌケ敵前逃亡。 しかも、「この私」(5歳児)を見捨ててですって!?
これにはミサトもムカついた。
スタスタスタ・・・。
と、そんな場面に何たる偶然!
憤慨するミサトの前に、「対空ミサイル担いだ兵士」がタイミングよく通りかかった。
「Hey! You!」(ちょっとアンタ!)
ミサトが指差し呼び止める。
「...Me?」(・・・何か?)
ミサトは振り返った兵士に、加持の乗った飛行機を指し示すと・・・言った。(というより「言っちまった」)
「That fighter has beenhijacked by the terrorist!」(あの戦闘機、テ○リストに乗っ取られちゃったわよっ!)
「Oh?...What!?」(ふ〜ん?・・・な、何ですとぉ!?)
事情を知らない一般兵は、もちろんそれこそ大慌てである。
混乱する相手に乗じ、声を限りにミサトが吼えた。
「Target and explode! Fire!!」(ブッ飛ばしてやんなさい! ファイヤーッ!!)
「Yes,sir!」(イエッサー!)
ぼしゅ、ひゅるるるるぅ〜っ・・・ずぼ〜〜〜んっ!
「な、何すんだよっ! 葛城っ!?」
無論のこと指呼(しこ)の距離。 ものの見事に命中・撃墜・・・と、そこまでは良かったのだが。
「う、うきゃぁ〜っ! こ、こっちこにゃいでぇ〜〜〜っ!!」(うきゃ〜っ! こ、こっち来ないでぇ〜〜〜っ!!)
「うおぉぉぉ〜っ! コッチ来んなぁ〜〜〜っ!!」
濛々たる白煙を上げ、撃墜された戦闘機は、ミサトとケンスケにまっしぐらである。
ドッカァ〜〜ン!(墜落)
「うきゃ〜っ!」(うきゃ〜っ!)
「うおぉ〜っ!」
・・・んで、更にその下では。
「か、艦長ぉ〜〜〜〜っ! 空母の艦載機と子供達が落ちてっ・・・!!」
「な、何ぃ〜〜〜〜っ!!」
「うわぁぁぁ〜〜〜〜っ!!」
ズッシィ〜〜ン!(下敷き)
潜水艦の艦長、副長、外一名・・・意識不明の重態。
25 June 02:34 PM ー 某国 最新鋭攻撃型原子力潜水艦(甲板)
「いちちちち・・・あやうくちぬとこだったわ?」(いたたたた・・・危うく死ぬトコだったわ?)
「・・・ててててて・・・」
「ったく・・・葛城ぃ、あんま無茶すんなよなぁ?」
普通ブッ放すか? あんな場面で?
外見上は「トンズラ」でも、アレはあくまで総司令の・・・。
「・・・はぁ・・・」
・・・ンなこと言えるワケないし。
飛行機から引きずり出したアタッシュケースを抱えなおすと、加持はやや脱力気味にため息を吐いた。
『遅ればせながら臨戦態勢・・・か』
ふと見れば、艦隊全体が速力を上げ、各艦独自に回避行動を展開していた。
むろん空母も例外ではなく、艦隊外周に向け大きく舵を切り、彼らの乗った潜水艦からみるみる内に遠ざかる。
『・・・あ〜あ・・・』
急いで戻り、代わりの機体をチャーターしたい所であるが、呼び戻そうにも手段はないし、実際、戦闘中に迎えを寄越す筈もなく・・・。
結局のところ、総司令直々のミッションが初っ端からコケた訳だが・・・何、モノは考えようだ。
生きて本部にたどり着き、中身を渡せばいい話である。
『ベストがダメでも次善ってね?』
嘆いていても仕方がないし。
空路での離脱をアッサリ諦め、加持は、改めて甲板上へと視線を移した。
『それにしたって、良くぞここまで・・・だな?』
心底呆れた表情で、隣のミサトに向き直る。
「あ〜あ、派手にやっちまったな、葛城? こりゃあ、相当に高くつくぞ?」
「・・・はで? ・・・ちゃかく?」(派手? 高く?)
その言葉にミサトが見れば、周囲には戦闘機の破片がそこかしこに散らばっており、潜水艦の外殻も、あちこち大小傷だらけという有様だった。
「・・・あやや・・・」(・・・ありゃりゃ・・・)
文字通り濡れネズミとなり、すっかり「頭の冷えた」葛城ミサトが冷静になって考えると、あくまで概算だが・・・国連艦隊から請求されるであろう「輸送に係(かか)る追加費用」は、自身の俸給の「数百年分」という途方も無い額になる計算だった。
・・・ぶすぶすぶす。
その上、くすぶり続ける炎の中には、士官の「成れの果て」も点々と転がっていて・・・。
『め、めちゃめちゃやばいじょうきょうでちね?』(め、滅茶苦茶ヤバイ状況だわね?)
言うまでもなく被害は甚大。 が、ここまでの経緯を考えると、「職務遂行上やむを得ぬ」とも「何がしかの正当性が認められる」とも言い訳しにくい。
となれば間違いなく、「あの」ネルフの総司令なら・・・。
『・・・わたちのちょぶんは、ちゅいかのげんぼうかこ〜かくよね?(汗)』(・・・私の処分は、追加の減棒か降格よね?(汗))
身から出たサビ、とニヒルに構えているような状況ではない。
「生きる」とは至極経済的な概念で、実際、愛車のローンやら、おニューのスーツの分割払いやら、食費に光熱費、リツコに借りた飲み代だって・・・。
「・・・うにゅう・・・」(・・・うむむむむ・・・)
このまま行けば先細り。 おまんまの食い上げどころか、自己破産への道まっしぐらである。
『・・・いまはほちんがさいゆうしぇんよね?』(・・・今は保身が最優先よね?)
葛城ミサトは開き直った。
そりゃあもう大胆なまでに、思い切り良くキッパリと。
「あ・・・あたちじゃないわよ?」(わ・・・私じゃないわよ?)
「・・・って、お前なぁ?」
「・・・スゲ・・・」
・・・わらわらわら。
そんな時、血相変えた乗組員が甲板上に飛び出してきた。
「か、艦長ぉ〜〜〜っ!!」
「お〜いっ! 副長もコッチにいるぞぉ〜〜っ!」
「救護班を早くっ!」
その内一人が加持に駆け寄る。
「な、何があったんですか!?」
「ま、まあ、その・・・何だ?」
「・・・」
「・・・」
加持が答えに窮していると、視線を泳がせミサトが言った。
「ち・・・ちとのせいでち!」(し・・・使徒のせいよ!)
「・・・お、おい葛城!?」
「・・・マジ!?」
驚き呆れる二人を横目に、ミサトが再び繰り返す。
「みぃ〜んな、ちとのせいでち!」(みぃんな、使徒のせいよ!)
「・・・」
「・・・」
・・・それじゃあ使徒が可哀想だろ?
恥知らずなミサトの態度に、加持と相田は絶句した。
25 June 02:42 PM ー 大型輸送船(EVA二号機エントリープラグ内)
一方こちらは、「まだ」やっていた。
「・・・漣痕! 醍昆! 多魔葱!」(レンコン(注4)、ダイコン、タマネギ?)
(注4)たまたまこの漢字には、「砂地の水底に形成されるさざなみ(漣)状のでこぼこ」という地質学上の意味があったりしますが、実質もちろん単なる誤字です。(笑)
・・・ゼエハアゼエハア。
『また無茶な日本語だよなぁ?』
無理な姿勢が続いたせいか、両足ともに痺れっ放し。
碇シンジはモゾモゾと、ふくらはぎを揉み解(ほぐ)しつつ、「いつになったら諦めるかなぁ?」と先刻以来考えていた。
『・・・早く降ろして欲しいのに・・・』
真っ赤なプラグスーツにお揃いのヘッドセット。
そんな人間が三人も、かてて加えて、「本来一人用として設計」された狭くて暗いプラグの中、お馬鹿な事にギュウギュウ詰めで収まっていて。
「・・・」
傍から見ても異様だし、第一コレは専用機の筈・・・だったよなぁ?
と、シンジがボヤくその横で・・・。
「・・・でね? シンジ君、聞いてるかしら?」
「は、はい?」
やけくそ気味のアスカを余所に、博士は結構ご機嫌だった。
「・・・こうして狭い中で騒いでると、子供の頃を思い出すわね?」(・・・今は子供な筈ですが?(汗))
「こ、子供の頃ですか? な、何て言うか・・・さ、最近まで想像も出来ませんでしたねぇ?」
「あら失礼ね? こう見えても、私にだってピチピチ(死語)の高校生や大学生の時期があったんだから?」(・・・今や中学生では?(滝汗))
「ま、まあ? い、今は・・・モロ中学生ですし」
「でしょ? チルドレンしか入れないエントリープラグに入って、やっと実感出来たんだけど・・・私、若くなったんだなぁ?
ってね?」
「は・・・はぁ」
「これからは、シンジ君ともお友達よね?」(発言者 : ネルフ本部技術開発部技術一課 課長 赤木リツコ博士(30))
「・・・・・・・・・・・・・・・」(・・・沈黙・・・)
「何か・・・不服かしら?」
「い、いえ! ちょ、ちょっと違和感・・・じゃなくって!! ぼ、ぼ、ぼ、僕って、と、友達少ないから、う、嬉しいなっと、お、思いまして!?」
「そうよねぇ!? ああ、こうして無邪気に会話してると、何だか仕事じゃなくて旅行に来てるみたいよねぇ?
中学生だから・・・修学旅行?」
「ぼ、僕はまだ・・・行った事がないんですけど?」
・・・プッつん!(怒)
ほのぼの(?)とした二人の会話に、アスカが突然ブチ切れた。
「ヒト〜の後ろでピ〜チクパ〜チクっ! アンタら、いい加減にするネっ!」
ケンメ〜(懸命)にやっているのに、私は一人で仲間はずれネ!?
いい所を見せようと本部の二人を乗せたのに、今に至るもEVAが動かず、思惑倒れのアスカが怒鳴る。
「・・・」
「・・・」
・・・散々放って置いといて。
顔を見合わせるシンジとリツコ。
アドバイスしては撥ね退けられ、気を遣っては無視されて・・・いい加減に諦め切って、さじを投げればこの言い様だ。
さすがにリツコもムッとしたのか、口を尖らせ皮肉を返す。
「だって、「誰かさん」が「ヘッポコ」だから動かないんでしょ? 第一、そんな事言われても退屈だし。
ね、シンジ君?」
「・・・はぁ、まぁ・・・」
ムッとしたのは同じだが、積極的に関わる気もなく・・・。
碇シンジは相も変わらず、曖昧模糊(あいまいもこ)と返事を返す。
「チットは手伝えっツ〜のっ!!」
「起動作業は専属パイロットの仕事でしょ? ね、シンジ君?」
「・・・ええ、まぁ・・・」
・・・女の子同士のケンカって、見てて結構キツイよなぁ?
ちゃっかり僕も巻き込んでるし、とシンジは小さく首をすくめた。
そんなシンジに、シートを踏みつけアスカが迫る。
「シンジっ! ど〜シてそんなニセキンパツの味方するネ!? 正真ショ〜銘ドイツ産、天然ウ〜ル100%の赤毛じゃダメか!? シンジ、おマエ、ニホンのクサレ政治家みたくガイジン差別する気か!?」
「あら、シンジ君は差別したりしないわよ? ね、シンジ君?」
「・・・いや、まぁ・・・」
それより・・・使徒はいいのカナ?
二人の少女に挟まれて、身の置き場のないシンジであった。
−修学旅行りつこ− <終わり>
〜助っ人外国人〜(推定年俸2億円、使徒撃退オプション有り、学費・光熱費・医療費等免除契約・・・でも何故か「観光ビザ」で入国(笑))
シンジ「・・・う〜ん・・・」
アスカ「シンジ、どうかしたネ?」
シンジ「明日英語の小テストがあるでしょ? 復習してたんだけど、ちょっと忘れちゃった所があって・・・」
アスカ「ナ〜ンだ! そんなコトならノープロブレムね? 痔(辞?)を低うシテ、大卒のワタシに聞いてみるヨロシ?」
シンジ「そっかぁ! アスカって「元」外国人だもんね?」
アスカ「元って・・・大リーガーじゃあるまいシ。 で、一体ナニがわからんネ?」
シンジ「え〜と・・・ホラ、ここなんだけど?」
アスカ「フクスイ・・・ボンにカエらず(覆水盆に返らず)を英訳セヨ? ア〜! Okay、Okay、マッカせなさい!」
シンジ「やっぱりアスカは頼りになるよね!」
アスカ「ホッホッホッ! 当〜然ネ! もっとホメても足りない位ネ!?」
シンジ「で、どうなるのカナ?」
アスカ「英語にスルと・・・(カキカキカキ)・・・コ〜なるネ?」
― りぴ〜と・あふた〜・み〜(ワタ〜シの後に続くがいいネ!) ―
★ Mr. Fukusui didn't go back to his home town at the Bon Festival. ★
(フクスイさんはお盆に帰省しませんでしたとさ♪)
シンジ「ちょ・・・ちょっと違わない? 方向性とか・・・微妙に?」
アスカ「ん・・・? ボンってBonn(=ドイツの都市)のコトだったカ?」
レイ 「・・・・・・・・・・・・・・」(← いつの間にか隣で聞いてる)
シンジ「・・・あ、綾波!?」
レイ 「・・・みすたーふくすい・・・(カキカキカキ)・・・ぼん、ふぇすてぃばる・・・」
シンジ「あ〜っ! 綾波っ!」
レイ 「じゃ、碇くん・・・また明日。 Thank you(英)は感謝の言葉・・・Bon
voyage(仏)はご機嫌よう・・・」
シンジ「綾波っ! ちょ、ちょ、チョット待って! それ覚えちゃダメぇ〜っ!」
アスカ「・・・ダメ?・・・」
JUDDさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
アスカちゃんは頑張ってエヴァを起動させようとしますが、リツコさんとシンジ君のせい?で動きませんね(アスカちゃんがへっぽこだからかな)
優秀なリツコさんでもドイツ語は苦手でしたね。でも苦手があるほうが微笑ましくて親近感がもてますね。
一方ミサトさん達は無茶をしますね、責任逃れの言い訳も凄いです、子供の言い訳だあ(子供ですね)
まだ起動しないエヴァ、使徒は待ってくれないので大丈夫なのでしょうか、気になりますね。
アスカちゃん100%赤毛をシンジ君にアピール、シンジ君に気があるの?と感想を送りましょうね。
とっても素敵なSSをくださったJUDDさんへ感想は掲示板かjun16に送ってくださいね。JUDDさんに送っておきます。
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
投稿:リツコ14/30 -修学旅行りつこ-