「・・・ホントに?」
「いいでちよぉ?」
「こんな場所で?」
「まかせるでし!」
「無理じゃあ・・・ないかな?」
「にゃはははは! もんだいないでち!!」
「・・・」
「・・・どぉかちたでちか?」
「リツコ14/30」
− 3人デートりつこ −
Made by JUDD
25 June 02:16 PM ー オーバー・ザ・レインボー(艦内通路)
「・・・(にまぁ)・・・」(・・・(ニヤソ)・・・)
「・・・」
・・・妙な話になっちまったなぁ?
ケンスケはそう思い、ミサトの顔をまじまじと見た。
冗談として受け流し、笑って収める手もあるが、とりあえず・・・相手はネルフの作戦課長で。
『どこまで本気なんだかねぇ?』
相手の見かけと肩書きと。 その著しいギャップこそ、彼の迷いの原因だった。
碇シンジとその他の二名――例の博士と赤毛の少女――が用事とやらで出掛けて以来、ミサトが口を開くたび、その問題が彼を悩ます。
「潜水艦も見れたらなぁ?」
自分のそんな呟きに、喰いつく方も喰いつく方だが・・・。
と、ケンスケの目の前で、ミサトがチャキっと携帯電話(裏側には「迷子の場合はこちらまで」とのシールが貼られている)を取り出した。
ピ、パ、ペ、ポ、ピ、ペ、ポ、パ、ポ、ペ♪(トゥルルルル♪・・・トゥルルルル♪・・・ッピ♪)
「・・・?・・・」(← ケンスケくん)
「・・・もぴもぴ? せんちゅいかんでちか?」
(・・・もしもし? 潜水艦ですか?)
「・・・お?」(← ケンスケくん)
「・・・わたちはねるふのかちゅらぎともうちまちゅが?」
(・・・私はネルフの葛城と申しますが?)
「・・・は?」(← ケンスケくん)
「・・・りかしゃんなんかようはないでち。 ねるふのかちゅらぎいちいでし」
(・・・リカちゃん(電話)になんか用はありません。 ネルフの葛城一尉です)
「・・・へ?」(← ケンスケくん)
「・・・うちょじゃないでち。 ねるふのさくちぇんかちょうでし」
(・・・嘘じゃありません。 ネルフの作戦課長です)
『ウソだろ?』(← ケンスケくん)
ケンスケは頭を抱え、そのまま通路に座り込んだ。
25 June 02:20 PM ー オーバー・ザ・レインボー(甲板。通称:潜水艦見学組)
先の電話から数分後、ケンスケとミサトは飛行甲板から海を見ていた。
そこにフラリと現れたのは、つい先刻、三途(さんず)の川を渡り損ねた例のナンパなヤサ男である。
「おっ、いたいた。 葛城、子供達・・・イヤ、今はお前もそうなんだが・・・彼らをほっぽって、ケンスケ君とお散歩とはね?」
「あんちゃになんかかんけいないでちょ!」(アンタになんか関係ないでしょ!)
「ま・・・まぁ、そう怒るなよ? さっきはオレも冗談が過ぎた。 謝るからさ?
なっ、葛城?」
「・・・ちゃく、ちょ〜やっていちゅもちょうちがいいんだかりゃ!」(・・・ったく、そうやっていつも調子が良いんだから!)
「まぁ葛城も、そんなオレに惚れてたんじゃあ・・・違ったっけ?」
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶわきゃ! にゃ、にゃにもいまちゃらそんなはなちをむちかえちゃなくちゃって!!」
(ば、ば、ば、バカっ! な、何も今更そんな話を蒸し返さなくったって!!)
「顔・・・真っ赤みたいだが? もしかして、もしかすると・・・図星だったカナ?」
「・・・なっ!?」(・・・なっ!?)
安易で陳腐でしかも軽薄。 三拍子揃った安手の昼メロが突如目の前で始まった。
が、一人傍観者であるケンスケにとって、問題の核心は、既視感のあるその低俗なストーリー展開よりも・・・実は。
『この人・・・ロ○コン?』
「ロリ○ン」とはアレでナニだが、表面上は正しくソレで・・・。
「ヘンタイ野郎」(加持リョウジ)との関わり合いを恐れた彼は、即決即断、即座に辞去を申し出た。
「・・・あ、あのぉ〜? 俺、帰りますね? 後は、ど、どうぞごゆっくり・・・」
と、彼がモゴモゴ言いかけた時。
・・・ザッパーン!
「ほ、ほりゃほりゃ・・・けんちゅけくん!? ちぇんちゅいかんよ!? ちぇんちゅいかん!!」
(ホ、ホラホラ・・・ケンスケ君!? 潜水艦よ!? 潜水艦!!)
照れ隠しのつもりだろうか、やたらとミサトがはしゃいで言った。
「お・・・おおぉ〜〜っ!!」
甲板右舷、吹き上げられる水しぶきに、相田ケンスケの目がキラキラ輝く。
ミリタリーマニアと人の言う・・・ある意味彼も十分に「困ったちゃん」の一員だった。
25 June 02:27 PM ー 大型輸送船(貨物室内。通称:EVA二号機見学組)
「Ahem!(えっへん!) アナ〜タのショゴ〜キと違って、ジっ戦用のersteのモデルネ、コレは? ア〜、ニホン語では、「サイショの」・・・でしたかネ?」
「・・・」
「・・・」
・・・ハンパに喋れる外人はコレだからなぁ?
シンジとリツコは言葉もなかった。
『・・・リツコさん? 彼女って・・・なに人なんですか?』
『う・・・う〜ん? 確か資料にはドイツ人のクウォーターだって・・・三ヶ国語ほど混じってるみたいだけど』
『何ですか「クウォーター」って?』
『丸めて言うと「ちょっぴり」ドイツ人・・・かしらね?』
『「インチキ」ドイツ人、ってコトですか?』
『・・・そこまでは言わないけど。 ところでシンジ君? コウモリさんの寓話(ぐうわ)を知ってる?』
『え〜っと・・・? 何でしたっけ、ソレ?』(・・・人類でもニュータイプでもないコウモリさん達は、ヂオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を・・・)
EVA2号機の頭部に上り、二人の頭上から滔々(とうとう)と、得意満面で話し続けるアスカだったが、全くと言って良いほど「自身の話が無視されている」事態に気が付くと、シンジ達を指差しながら、今度はその場で猛然とまくし立て始めた。
「チョイトそこな二人! 他人のハナシは耳カポじって良く聞くネっ! ニホンのコトワザにもあるヨ!
ア〜・・・カベに白アリ、ジョ〜ジにメアリ〜?」
「じょ、ジョ〜ジ(George)にメアリ〜(Mary)って?」 (汗)
「多分、「障子に目あり」、でしょ?」
シロアリの出るあばら家の、つつましやかな恋愛物語とかじゃなければね? と、シンジの疑問にリツコが答える。
まぁ察するに、「カベに耳あり、障子に目あり」が正しいのだろうが、結局・・・ホントは何が言いたいのやら?
『・・・困ったなぁ?』
お手上げ状態の碇シンジが、おっかなびっくり彼女の名を呼ぶ。
「あ、あのぉ〜? え、えっ〜と・・・確か? ん〜〜? そ、「総理呼ぶならスイカ喰え」・・・さん、だったっけ?」
「ソ〜リュ〜・アスカ・ラングレ〜だっちゅうの!!」
「(・・・だっちゅうの?)あ、あ・・・そ、ソ〜リュ〜さんね? そ、ソ〜リ〜(Sorry)?」
「アンタバカぁ〜? ヒトの名前ワスレルなんてチョ〜失礼ネ!?」
「ご、ゴメン。 ちょ、ちょっと長ったらし・・・い、いや・・・立派な名前だったからさ?」
「何もフルネームで呼ぶコトないヨ!? キョ〜からアンタ、ワタ〜シのコト「アスカ」って呼ぶネ?」
「あ、アスカ・・・ねえ?」
と、その時・・・貨物船が大きく揺れた。
・・・ズッゴーン!
滑りやすい足場の上、かてて加えて仁王立ちの「総理呼ぶなら」・・・じゃなくって、「惣流・アスカ・ラングレー」は、無論、ひとたまりもなかった。
「す・・・スイちュー笑撃はぁ〜〜〜〜っ!!」(ドップラー効果)
「しょ・・・笑撃?」
「多分・・・衝撃、ね?」
アスカの立ち位置は、シンジ達の立っている中二階の船内通路より更に上方に位置しており、そのせいか、揺れも相当大きかったようである。
一度はその場で何とか堪えた彼女だったが、二度目の揺り返しで見事・・・まっ逆さまにEVAを浮かべた冷却液へとダイブした。
・・・どっプァ〜〜ンっ!
「ある意味・・・ブザマよね?」
「いや、結構・・・親しみやすそうな人の気が?」
二人はのほほんと、波紋の広がる水面を見詰めていた。
25 June 02:26 PM ー オーバー・ザ・レインボー(甲板)
「・・・うおぉ〜。 結構デカイよなぁ?」
「・・・ね?」(・・・ね?)
「・・・葛城か? こんな物騒なモン呼び出したのって?」
潜水艦見学組――なし崩しで加持もお仲間――の三人が、浮上してきた潜水艦を甲板上から覗き込む。
すると・・・下からも同様に、こちらの様子を軍服姿の数人が見上げていた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
その内一人が呼びかける。
「・・・葛城一尉はどなたかな?」
「・・・わたくちでちゅが?」(・・・私ですが?)
ハイっと手を挙げミサトが答えた。
その途端・・・静まり返る無蓋(むがい)艦橋。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
別の男が再び問うた。
「あ、あの・・・ネルフの作戦課長はどちらでしょうか?」
「・・・こちらでしが?」(・・・こちらですが?)
いよいよもって困惑の体で、互いに顔を見合わせる。
その様子を目の当たりに、加持がボソボソ小声で言った。
『ぜんっ、ぜんっ、信用されてないみたいだなぁ? どうするね? 葛城作戦課長殿?』
『あいちゃちゅがわりに・・・いっぱちゅぶちこんでやろうかちら?』(挨拶代わりに・・・一発ブチ込んでやろうかしら?)
『お・・・おいおい、葛城? さっきみたいのは、もう止めとけよなぁ? シャレにならんぞ、実際?』
『じゃあ、どうちゅるっていうんでちか?』(じゃあ、どうするって言うのよ?)
『・・・そうだなぁ? 代わりに俺だってコトにしとけば? どうせココだけの話なんだし?』
『・・・ちゃく、ちかたにゃいわね?』(・・・ったく、仕方ないわね?)
その回答に片手を挙げて、加持リョウジが笑顔で言った。
「すんませんねぇ〜? ちょっとした冗談ですよぉ〜っ! 俺がネルフの課長なんですぅ〜〜!
これ、ウチの「娘」の加持ミサト・・・カワイイでしょ?」
「・・・むちゅめ!?」(・・・娘!?)
よく聞こえるよう配慮して、メガホン代わりに両手を口に、今度は多少大声で、である。
加持の答えに安心したのか、下の方でも「なぁんだ」と安堵の空気がその場を包む。
と・・・胸を撫で下ろしたらしい先の人物が、今度は加持に呼びかけて来た。
「ところで・・・なんですが。 浮上の理由は何でしょう? 至急に、との事でしたが?」
ソイツは俺も知らないし・・・。
加持が視線をミサトに向ける。
「なんて答えりゃ良いんだ? 葛城?」
・・・ズバーン!!
輸送船が水煙に覆われたのはその時だった。
25 June 02:32 PM ー 大型輸送船(艦内通路)
「・・・何だって私まで・・・」
プラグスーツを両手で広げ、赤木リツコが思わず呟く。
隣でアスカがそれを聞き、リツコ相手にピシャリと言った。
「ツブツブ(ブツブツ?)言わんとサッサと着るネ! この船沈めば、アンタも死ぬデショ!?
イッショに乗るのが安産(安全?)ネ!!」
「わ、分かったわよ!」
私が乗ったら(シンクロの)邪魔になるのに・・・。
不承不承の同意の後で、もっともらしい理由を挙げるが、リツコの本音は少し違った。
『改めて見ると、これ着るのって・・・何だかとっても気恥ずかしいのよねぇ?』
ボディラインが丸出しだし・・・。
デザインしたのは自分のクセに、この期に及んでこの言い草だ。
シンジが聞けば、泣くぞ・・・多分。
「ウキャーっ!! エッチ、スケベ、バカ、ヘンタイっ!! 覗きたいならゼニ払えっ!」(・・・ゼニ?)
「ち、ち、ち、違うって、アスカっ! 僕はただ・・・グエっ!」
思い悩むリツコの背後で、突然アスカの声が上がった。
悲鳴というより怒声に近いが、どうやらシンジが覗いたらしい。
いずれ何かの誤解だろうが、諜報二課のレポート通り・・・間の悪さと不器用さ「だけ」は、父親譲りに違いなかった。
「若いっていいわよねぇ・・・?」
的の外れた感想を、しみじみリツコが呟いた。
−3人デートりつこ− <終わり>
〜シンジ君と愉快な仲間たち♪〜
シンジ 「あっ、綾波!」
レイ 「・・・何、碇君?」
シンジ 「あっちに新しいパイロットの子が来てるんだけど、一緒に行かない?」
レイ 「・・・どんな人?」
シンジ 「え〜っとねぇ? 外人の女の子で、確かスペイン・・・いや、フランス人だったかなぁ?」
レイ 「・・・名前は?」
シンジ 「う〜ん・・・? あれ? ど忘れしちゃった!」
レイ 「フランス人なら・・・フランソワさんとか?」
シンジ 「・・・そういう柔らかい感じじゃなかったような?」
レイ 「外人で・・・硬い感じ? ・・・キャサリン(Kathryn)さん?」
シンジ 「あ・・・多分、そんな感じカナ?」
レイ 「・・・?・・・」
キャサリン「・・・へくちっ!」
シンジ 「あ、キャサリンさんだ!」
レイ 「キャサリン・・・なの?」
キャサリン「まだ・・・覚えてクレてないのネ」(シクシク)
シンジ 「綾波、キャサリンさんと仲良くしてね♪」
レイ 「碇君がそう言うなら・・・キャサリンと仲良くするわ」
キャサリン「もう・・・キャサリンでいいわヨ」(シクシク)
JUDDさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
ミサトさんは電話をかけるにも一苦労しますね。お子ちゃま言葉なので相手に信じてもらえないですね(^^;)加持さんはケンスケにロリ○ン呼ばわりされるし(笑)
アスカちゃんは相変わらず日本語が変ですね。でもそのお陰でシンジ君に好印象?を与えました。
そしてお約束の使徒襲来、そして着替えを覗くシンジ君、羨ましいぞ。
シンジ君、早くアスカちゃんの名前を憶えましょうねと感想を送りましょうね。
とっても素敵なSSをくださったJUDDさんへ感想は掲示板かjun16に送ってくださいね。JUDDさんに送っておきます。
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
SSroom_5 −3人なかよしりつこ− -修学旅行りつこ-
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