少年よ珍話になれ

第壱話

初号機妄想!?

Made by 幻都





「はああ」

少年はため息をついた。

何でこんな事になったんだろう?

少年は見知らぬ天井を見つめながらそう思った。

今朝も目覚めは普通だった。

登校中に青いルノーにのった黒ずくめの男達にさらわれるまでは…

少年はちらりと主犯と見られる女性に目を向けた。

女性…、葛城ミサトとかいったかは勤務中であるのにもかかわらずに酒を飲みながら金髪の女性と話していた。

「どうするの?もう、奴はそこまで来てるんでしょ?レイはあの状態だし…」

「だから変わりのパイロットを呼んだんじゃないのよ」

なんかそんなことを話している。

二人とも美人だがシンジはあまり関心が持てなかった。

だってあまりに年増過ぎるから…

早く、赤毛の女の子来ないかなあ、来たら即効で口説き落としてドイツにお婿に行くのになあ。

終いには知らないはずの女の子のことを考える始末。

でもそれじゃ埒があかないので一応、こう呟いてみた。

「あー、これロボットですか?」

目の前には気づかない方がどーかしてんじゃないの?アンタバカァ?ってくらいでかいロボットが立っていた。

「ええ、人造人間エヴァンゲリオン、ロボットとは少し違うわ」

「人造人間、猫型ロボットじゃないのか」

どこをどーみてもあのとぼけた猫型ロボットではなかった。

だからポケットなど当然ついておらず、ナイフは出しても秘密道具は出しそうになかった。

変わりになんのためについてんだかわからない角と誰の趣味でつけてんだかよくわかるピンク色のエプロンが目に眩しかった。

「これも父さんの趣味?」

「そうだ」

頭上から声がした。

見れば夜道を一人で歩いていたらすれ違う十人中八人の女性に防犯ベルを押されてしまいそうなそんな如何わしい髭面のおっさんが偉そうにこっちを見下ろしていた。

「父さん!!」

「久し振りだな、シンジ」

「十年以上も息子ほったらかしといて自分はガンダム作って遊んでるとはどーゆー事だよ!?」

「シンジ君、これはガンダムでもないわよ」

リツコはすかさず突っ込んだ。

だが、父ゲンドウは無視して続けた。

「お前を呼んだのは他でもない、エヴァに乗れ」

「はあ?」

シンジは耳を疑った。

「乗れってこの人造人間ハダカエプロンに?」

「エヴァンゲリオンだってば」

リツコはシンジの頭をぺチンと叩いた。

ミサトは四本目のエビチュの缶を開けながらこういった。

「もうこの際それにしたらん?」

「あんたは黙っときなさい、だいたい勤務中に酒なんか飲んでいいとおもってんの」

「だってこれが私の動力源だも〜ん」

ちっとも反省しないミサトにリツコはクククと意味ありげに笑った。

俗に言う科学変態の笑いと言う奴だ。

「とにかく今すぐ止めないと…、開発中の三号機に入ってもらうわよ…魂ごとね」

「わかったわ…止めるわよ」

三号機、人呼んで惨号機なんかに溶かされたらどんな恐ろしいことになるか目に見えている。

使徒に乗っ取られた挙句に目の前の人造人間にボッコボコのズッタズタにされてそのままゴミ捨て場にポイだ。

それにまだ人間をやめたくないミサトは大人しくエビチュを飲むことを止めるしかなかった。

「乗れ、シンジ、お前しかいないのだ」

「いい…嫌だよー!」

シンジは叫んだ。

当然だ、たかだか十四才の少年が久し振りにあった父親に得体の知れない兵器に乗りこむ事を命令されているのだ。

拒絶するのが普通だろう。

「無理ないわね」

ミサトは顎に指を置きながら同情するように呟いた。

「そんな、素肌にエプロンつけたロボットに乗ったなんてみんなにバレたら友達に馬鹿にされちゃうよ!!」

「そーゆー問題か!?」

リツコとミサトは突っ込みをいれた。

「何を言うか」

ただ一人表情を変えないゲンドウは紫色の巨人を見つめながらこういった。

「裸エプロンこそリリンの作った文化の極み、我ら人類の希望ではないか、それもわからん奴はおうちに帰れ!なあ、ユイ」

訳のわからん事を言いニヤリと口元をゆがめるゲンドウ。

「さすが…、ミスター特務痴漢」

ミサトは何故かはらはらと涙をこぼす。

「ユイさんは何でこんなの選んだのかしら」

リツコは目の前の男にすでに幻滅しかけてた。

ミサトはミサトで感動の涙を流している。

そんな中シンジは出口に向かって歩いていた。

「おい!シンジどこに行く」

「どこって、長野の叔父さんとこに帰るんだよ」

「なんで、まさか本気で裸エプロンの魅力がわからんなどと言うではなかろうな?」

「…紫色の物体にうれしそうにエプロン着せて死んだ母さんに見たててるような変態には付き合えないや、さよなら父さん、もう、二度と会う事も無いと思うけど、元気でね」

とぼとぼと歩いていくシンジにゲンドウは慌てた。

このままでは計画に誤差が出てしまう。

ならば奥の手を使うまでだ。

ゲンドウの眼鏡がキラーンと光った。

「待てシンジ!!」

「なんだよ、父さん」

呼びとめられてシンジは振りかえった。

ゲンドウは腕を組みながら何故か無気味に笑っている。

危険だ!

「ふふふ、ははははは、シンジ、実はな、エヴァのパイロットにはお前を除いてあと二人、パイロットがいる…」

「それがどうしたんだよ」

「まだわからんか、愚か者め、その二人は…紛れも無い美少女達なのだよ、しかもプラグスーツは男のロマンだ、言ってる意味がわかるな?」

「…と…父さ…ん?それってまさか」

シンジの未来さえまだ知らないいたいけな瞳が輝き始める。

シンジの頭の中にはまだ知らないはずの少女に名が素肌にエプロンつけて戦っている姿が思い浮かべられた。

そしてそんな彼女達に言い寄られながらえへらって笑っている自分、まさにこの世のパラダイスだった。

「ふっ、問題無い」

司令官の名台詞を聞くや否やとシンジはガッツポーズを取った。

顔はいつものどことなく情けない柔和な童顔ではなく、キリリと引き締まっていた。

「ふっ、父上、世界平和と人類生存のため僕はやりますよ、たとえこの身が砕け散ったとしても、くいなど無い!!」

「けっ、所詮こいつも親父似かい」

リツコは毒づいた

「よくいった!シンジ、レイを連れて来い!!」

数分後…

「いやー!いやー!」

しばらくして青い髪の女の子がリツコによって連れてこられた。

「いやあ!ロボットに乗るなんていやあ!」

「こら、レイ、わかんないこと言わないの」

「だって、あんな可愛くないのに乗れるわけ無いじゃない!」

「わかったわよ、今度零号機にお花描いたげるから我慢しなさい」

「そ〜ゆ〜問題じゃな〜い、ノーベルガンダムみたくしてくんなきゃ絶対乗らないからね」

ぷーと膨れる女の子。

赤い瞳で整った顔立ち、かなり可愛い部類に入る子だが。

膨れてたレイはシンジに気づいたようだ。

リツコの白衣をくいくいと引っ張った。

「あれ、もしかしてあの人が噂の?」

「そう、サードチルドレンの碇シンジ君よ」

「へえ」

シンジの顔をじろじろ見まわしながらこっちに向かってきた。

「初めまして、私はファーストチルドレンのレイってゆうのよろしく〜」

「こちらこそ…」

シンジは握手しながらため息をついた。

確かに美少女だ…小学校低学年にしては。

「おいおい、父さん話が…」

「レイ!!今日こそ、この新型プラグスーツ!付けてもらうぞオオ!!」

ゲンドウは青いエプロン片手にこっちに突進してくる。

この瞬間シンジは目の前の父親に完全に幻滅した。

レイはシンジの後ろに身を隠す。

「やめて下さい、馬鹿!!」

「ユイっ…!!」

ゲンドウの体にリツコ奥義MSアタックが直撃した。

体がそのまま十メートル先の壁にぶつかる。

「ありゃ〜、ま〜た腕を上げたわね」

「妹を思う姉の気持ちはATフィールドさえものともしないのよ」

リツコは目頭を押さえた。

あんたらが使徒たおせっちゅ〜ねん。

「くくく、見事だ、見事だよリツコ君」

ゲンドウは言っちゃった目で戯言をうめいていた。

ズガーン!ズガーン!!

その時ジオフロントが大きくゆれた。

「ちっ、やつめ、もう嗅ぎ付けたか!早く乗りこめシンジ、レイ」

「え〜、僕乗る気ないし〜」

ロリコンではないシンジはもはやさっきのやる気などすでに失せていた。

パラダイス計画が失敗に終わった今彼にエヴァになど乗る理由はないのだ。

だがゲンドウは慌てる様子を見せずにシンジの耳元で甘く囁いてきた。

「…確かにレイはまだ未成熟だったが…、セカンドはもう…、すごいぞ(ニヤリ)」

「えっ、どーゆー風に?」

「ククク、とにかくワガママで気が強く扱いにくいが、本当は寂しがり屋で実は一途で甘えん坊、おっと機密をしゃべりすぎた、まあ、帰る奴には関係ないか、だが、実に惜しいな、彼女は上珠なんだがなぁ」

シンジは何かの期待で瞳を輝かしている。

そんなシンジを横目で見ながらゲンドウは続けた。

「お前には失望だ、せっかく私がおまえの将来を考えて選んでやったというのにな、パイロットにならないんじゃあな」

ゲンドウは名残惜しそうに首を振るとシンジから身を離した。

シンジの体から何かほとばしるようなアツイものが頭にのぼってきた。

理性など妄想が吹き飛ばしている。

エヴァに乗る恐怖はすでに吹き飛んでいた。

「父さん、僕はエヴァ初号機パイロット碇シンジです!自分にやらしてください」

「そうか、じゃあ、手始めに外にいる使徒を殲滅しろ、そのためのネルフだ!」



第三使徒サキエル…人の姿を捨てた人類は破壊の限りを尽くしていた。

戦自さん達の戦車踏むは、戦闘機落すは…もう手がつけられない。

先ほどN2爆撃とかいう特殊爆弾を受けたがぴんぴんしている。

まったく、自分はただアダムと飲みに来ただけなのに。

なんでこの街の住人は自分に攻撃してくるのだろう?

こらこら、そこの飛行機あまり近づくな、俺に触れたらATフィールドで火傷するぜ。

俺達使徒にはバル○ンなど不要と言われる由来はこの為だ。

神は俺達に虫刺されでかゆくならないためにこの力をお与え下さった。

おかげ様で俺は生まれてこの方蚊に刺された事などない。

くくく、絶対の力ATフィールド、もって生まれなかった人類ようらやましかろう?

さすがにN2爆撃とやらには少し日焼けしてしまったがこの力を持たない貴様等にこの私は…。

ドゲシ!!

思いっきり後ろから蹴られた。

何奴!?

そいつは青かった。

「見つけたわよ!極悪宇宙人」

びしっ!

サキエルに指を突きつけられた。

「私がいない間に町のみんなを苛めるなんて許せない!」

苛めてないって苛められてんのはむしろ俺のほう。

サキエルは手を振って否定を表すがレイちゃんには通じなかった。

「あんたなんて月に変わってェ」

その時青いルノーが走ってきてセーラー服姿のミサトが飛び出しびしっとポーズを決める。

「殲滅よん!」

「ちょっと〜、ミサトお姉ちゃん、先に言わないでよお〜」

「ふふふ、早いもん勝ちよん」

「まったく、お姉ちゃんったらもうそんなことしていて可愛い歳じゃないんでしょ〜?」

「や〜ね〜、レイちゃん、わ・た・しは十八よん」

「そ…そうだったのかあ」

「待て待て、信じちゃだめだ」

ノロノロとやってきた初号機が危うく信じかけていたレイを止めた。

「はっ、そういえばミサトお姉ちゃんお酒飲んでた、お酒は二十歳になってから…危ない危うく騙されるとこだったぁ」

「ふふふ、ばれちゃあしょうがないわね、そうよ、私は二十歳、花も恥らうお年頃よん」

ま〜た嘘ついちゃってリツコ、ゲンドウ、シンジ、サキエルはそう思った。

しかしレイだけは…

「そ〜か、二十四歳のサ○エさんが異様に老けて見えるのもこう言う事だったのか〜」

一人で解釈している、もうついていけない。

サキエルは思った。

やはり人と我らとは互いに絶対理解し合えない存在…特にこいつらのことは絶対理解できんと思うぞ。

「あれぇ?シンジお兄ちゃん、動き鈍いねえ」

「初心者なんだからすぐには無理だよ」

シンクロ率はかなり低く、動かせてもゆっくり歩くのがやっとだ。

これではとても戦えるもんじゃない。

「そんなわけでレイ、ガンバ、僕ここで見てるから」

「も〜仕方ないなあ、じゃあいくよ、サッキエルちゃん」

パレットガンが火を吹いた。

サキエルの体に弱化ウラン弾が直撃する。

「―――!?」

リリンが私の体に傷をつけたのか?

なるほど貴様もATフィールドを操るか。こしゃくな!!これでも食らうがいいわ!!

サキエルが放ったエネルギー弾が零号機に向かう。

「綾波バリアー♪」

零号機は初号機を盾に向かいくるエネルギー弾がすべて受け止めた。

「この程度?」

零号機はチッチッチと指を振るう。

そして全弾すべて受け止めた初号機は…

「いてぇよ!(まじで)、助けてよォ〜!(いやほんと)、アスカぁまたいつもの様に僕を馬鹿にしてよお…(気分はEOE)」

もう、レイにバリアにされた事で身も心もボロボロである。

だが、何故かエプロンは傷一つついていない。

ゲンドウ曰く『絆だから…(ポッ)』

サキエルは不敵な笑みを浮かべた。(どうやって?)

くくく、なかなか楽しましてくれるではないか。

だが、教えてやろう、リリンと使者の絶望的な実力の差を。

「これからが本番よ、サキエル」



「レイちゃんパンチ!」

ドゴ!

「レイちゃんキック!」

バキイ!

「なぜこんなもの地球に落す!?(意味不明)」

ドカ!

「え〜い、トドメの綾波ショット!!」

ズガアアアアアアン!!

こんな戦いが十分間続いた。



結果、レイは負けた。(何故!!)

「むきゅうう〜」

零号機は地面に沈んだ。

サキエルは夕日に向かって勝利のVサインした。

その時シンジは気絶していた。

『シンジ、おい、シンジ!!』

父の声。

「父さん?」

シンジは瞳を開けた。

『レイはやられた、後はお前だけだ』

「無理だよ、動く事さえままならないんだよ?」

『どうでもいいからたたかえ、勝ったらキスしてやるから』

「いらん」

シンジは嫌そうにゲンドウを睨んだ。

父親の愛に飢えていても髭眼鏡にキスされて喜ぶほど落ちちゃいない。

ゲンドウは不思議そうに首をかしげる。

『はて、昔はよくしてやってたんだが』

「本当なのそれ!?」

シンジは慌てた。

親父はこくりと頷いた。

「ああ、小さい頃のお前はとても可愛くて…つい唇を…」

「おえっ!汚されちまった!!」

シンジは本気で涙した。

よりによってこんな親父に唇を。

僕のファーストキスの相手は結果はどうあれあの子じゃなかったのか!?

「ふふ問題ない」

「大有りだ!!変態親父!!」

「ならば…、今度こそ自分の幸せをつかめばいい、一週間後にはドイツからセカンドがくる」

「えっ」

「ここでお前が戦って勝ってさえくれれば…、もう孫を作ってもかまわんぞ」

孫…その言葉がシンジの背中にのしかかった。



『アスカ!』

『シッ…シンジ、何よノックもしないでいきなり!』

『我慢できないんだ、僕、君が可愛すぎて、ずっと好きだった』

『嘘…シンジがあたしの事を?』

『嘘じゃないさ、もう君無しじゃいられないんだ』

『馬鹿…あたしもよ、ずっと待ってた』

二人の唇がゆっくりと近づいていく。

そしてその夜、二人の神話が始まった。



「っつシャアアアアアアアアアア、邪魔だあ!!」

シンジは立ちあがりサキエルに一撃を食らわした。

ハイスピードアンドパワー。

あまりの妄想だけで鼻血が止まらない。

『シンクロ率89パーセントですって、馬鹿な!』

驚き慌てるリツコの声。

なんて力だ…!?

サキエルは慌てて初号機から身を離した。

「逃すかアアアアア!僕の幸せエエエエ!!」

妄想する初号機は離れたサキエルを追いかける。

くっ!!図に乗るな!!

カッ!

サキエルの本気のエネルギー弾が初号機に向かって放たれた。

だが

「来週はハネムーンだアアアアアア!!」

攻撃はすべて初号機に当たる前に拡散していく。

妄想によって作られた強力なATフィールドが攻撃を防いだのだ。

妄想する初号機はあらかじめ装備されてあるナイフを抜いた。

いやナイフではない。

プログレッシブ・菜切り包丁だ。

抜くや否や包丁を構え初号機は地を蹴った。

「むっ!?思いだすぞおお!あの包丁さばきはユイの!!」

ゲンドウは興奮し鼻血をたらす。

「必殺ジャガイモぶった切り!!」

妄想した初号機の一撃が使徒の核を薙いだ。

俺の負けか、アダムよ?

サキエルは心の中でアダムにそう呟いた。

ドガアアアアアアアアンン!!

第三使徒サキエルは過激に自爆し最後を遂げた。

「なんてすさまじい、妄想がシンクロ率を左右するなんて新発見だわ」

リツコは唾を飲みこむ。

そして隣にいたゲンドウは鼻血をたらしながらうんうんと頷いていた。

「うむ、やはりあの包丁技をシンジはユイから受け継いでいたか…」

包丁技って言うかただ思いっきり切りつけただけなのだが…。

リツコは呆れたような顔をした。

「もしかしてユイさんお料理下手なんじゃ?」

「ふっ…問題ない」

ゲンドウは新婚の頃食べていたぶつ切りのジャガイモいりカレーを思いだし涙した。



知らない天井だ。

シンジは目を開けた。

隣にはマンガを呼んでるレイがいた。

「おはよう、レイ」

「あっお兄ちゃん、起きたんだ」

「ここは?」

「ここはね」

「はあい、お目覚め?」

扉から出てきたのはミサトだった。

さっきまでのセーラー服ではない。

私服を着ていた。

「ここは私の家よ、きのうの戦い見事だったわ」

「いやあ、でもなんで僕がここに?」

「私があなたを引き取ったの、レイもここで暮らしているわ」

ミサトはニッコリと微笑んだ。

「人数は多い方がいいでしょ?ね?」

「そうですね」

「わあい、シンジお兄ちゃんと一緒に暮らせるんだぁ」

レイはぴょんぴょん飛び跳ねる。

シンジははにかむ様に微笑んだ。

「ありがとうございます」

「私の勝手でやったの、お礼を言われる筋合いはないわよ」

頭を下げるシンジにミサトは手を振った。

「いやいや、一人なら心細かったでしょうし」

「だからぁ、お礼を言われる筋合いはないって、だって」

レイとミサトはにやりと笑った。

その時の笑みはまるで悪魔の様だったと後日シンジは語る。

「あなたは家政婦として招いたんだ・か・ら」

掃除道具が渡された。

この一式はトイレ掃除。

「じゃあしっかりとお願いね」

「否アアアアアア!!」

この時から碇シンジ十四才の主夫生活が始まったのだ。



――そのころドイツでは。

「え〜、サードチルドレンが使徒倒しちゃったの〜?」

赤い髪の女の子が不服そうにうなった。

三十前後の武将髭の男が少女をなぐさめる用に彼女の頭を撫でる。

「ああ、第三使徒をな」

「キー、くやしー!あたしが倒すはずだったのにィ!」

少女は地団を踏んだ。

長い綺麗な髪の毛が上下に揺れる。

「まあまあ、まだまだチャンスは沢山あるんだしさ」

男は少女を懸命になだめた。

だが少女は一向に聞こうとしない。

「行くの」

少女はぐっと涙をこらえた目で男を見上げる。

「えっ?」

「行くのォ!日本へ」

「おいおい、まだ日本へ行くのは早いよ、予定は来週だぞ」

「そんなの知らないもん、あたしがいなきゃ駄目なんだもん!!」

むちゃくちゃな事を言う少女に男は困った様に顎をしゃくった。

この子は一途な上に頑固なとこあるからな。

言っても聞かないか。

「よおし、俺もあそこの司令官には用があるし、行って見るとするか」

「わあい、あたしが一番なんだからね!!まってなさいよ、サードとファースト!」

セカンドチルドレン、惣流=アスカ=ラングレー、小学三年生は勝気にそう叫んだ。

――後日、日本である少年が裏切ったな!僕の期待を裏切ったな!父さん!!とかいってバットを持ってネルフに殴り込みにいったかどうかはまた別の話し。

少年達の戦い(生活)はまだ始まったばかりなのである。



〜後書き〜

はじめまして皆さん、幻都と申します。

SSというものを書くのはこれが初めてです、最初は真面目なLAS書こうかと思ってたけど、なぜかこんな風になってしまいました。

感覚は名作エコ綾波シリーズです。

今回はなんかネルフの変態司令官率いる変態集団ばっかでしたがこれからはほのぼのコメディで行きたいと思ってます。

では、サッキー、カモン

サキエル「お読みくださった皆様に心から感謝します(ぺコリ)」


 幻都さんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
 
 SS初書き、初投稿ですね。後書きに書いているように真面目なLASが壊れたゲントウ、妄想シンジ君、齢誤魔化しミサトさん、姉リツコさん、そして小さいレイちゃんになってしまいましたね(笑)

 ゲンドウの誘惑でエヴァ(なぜかエプロン付)に乗ることになったシンジ君、でてきた美少女レイちゃんは・・・同い年ではなかったんですね、年下(小学生)なので彼女ではなく妹扱いになってしまいますね。

 レイちゃんが彼女対象外なので望みはセカンドチルドレンのアスカちゃん。でしたがアスカちゃんも小学三年生、シンジ君見事に裏切られましたね(^^)

 そしてミサトさんとレイちゃんと一緒に住むことになったシンジ君は・・・不幸にも主夫の道を歩みだしましたね(逃げだしたいんでしょうね)

 シンジ君はとことん裏切られるんですねと感想を送りましょうね。

 とっても素敵なSSをくださった
幻都さんに皆さん感想を送りましょう。

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


 第弐話 ひとりでできるもん!!

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